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Eternal love to you

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それから数年。
蒼乃とは喧嘩やすれ違いなんかもしたが、順調に関係を深めていっている。
体を重ねるようになってから蒼乃は俺を『政宗』と呼ぶようになった。
その日は泣きそうになった…なんて沽券に関わるから墓まで持っていく秘密だが。
俺達は社会人となり、俺は伊達グループで社会勉強している日々を送っていた。
そんな時、親父に呼び出された。

「おお政宗、来たか。」
「親父。なんだよ、呼び出しての話って。」
「いやな、今度の総会で俺は引退をしてお前に後を任せようと思ってな。」
「W…What!?」

突拍子もない話に、飲んでいた茶を吹き出してしまった。
すかさずテーブルを拭き始めた小十郎を見ると、表情が変わっていない。

「…小十郎は知っていたのか?」
「はい。申し訳ございません、輝宗様から聞いておりました。」
「なぜ黙ってたんだ!?」
「小十郎を責めんなよ。俺が黙ってるように言ったんだ。愛する息子を驚かせたくてな。」
「…」
「わはは!大成功だぞ、小十郎。」
「はあ…」
「…あのなあ、親父。急にそんなこと言われても『はい、分かりました』って簡単に返事が出来るような案件じゃねえだろ。」
「ほう、少しは冷静さが身についたか。まあ、お前の言うことにも一理あるしな。だから、その前にお前の披露目でもしようかと思っている。政宗…お前、将来を考えているお相手はいるのか?」
「…何だよ、いきなり。」
「高校からぱったりと女っ気がなくなったから、同じ男として心配してたんだぞ。一度、試験勉強だと言ってつれてきたことがあるくらいじゃないか。」
「…よく覚えてんな。」
「いや待てよ、その割にはどこか余裕そうだったな。」
「…」
「小十郎は何か知っているか?」
「はっ…いえ、何も。」

小十郎が口を開く前にギロリと睨みを利かす。
だが、これは自分で言わなければならない。
俺が選んだのは蒼乃なんだから。

「…その前に確認する。伊達がそれなりの家柄だってことは俺も承知している。だからこそ…政略結婚、見合い結婚、なんてよくありがちなパターンを考えてんじゃねえだろうな?」
「…それを考えたこともある。だが、お前にそれを押し付けても納得せんだろう?俺は見合いだったがお前の爺様は恋愛だったしな、どちらでも構わん。それで、どうなんだ?」
「いるぜ。一生かけて守りたいヤツが。」
「…いい面構えだ。そうか、惚れた女がいるんだな。」
「ああ。」
「それならば、総会前に創立記念パーティーがあるからつれてきなさい。どうせ同伴出席が基本だからな、そこで皆に紹介するのも悪くないだろう。」
「…蒼乃はそういうのはあまり好きじゃないぞ。」
「ほう、蒼乃さんというのか。だが、伊達の人間として生きるのならばこれぐらいのことは受け入れてもらえんと困るな。」
「…」
「お前も蒼乃さんを伴侶と考えているならば、慣れてもらえるような努力をしなさい。」
「…分かってる。」
「ならば、異論はないな。創立記念パーティーで政宗の婚約者として皆に蒼乃さんを紹介する。」

笑みを完全に引っ込ませた親父の眼差しが俺に突き刺さる。
つまり、そこまでに腹を括れってことだろ?
蒼乃にプロポーズしろってことだろ?
分かってるさ。
蒼乃は絶対ぇに手離さない。
俺の隣にいていいのは蒼乃だけなんだ。

…Bring it on!

威嚇するように笑って犬歯を剥く。
愉快そうに口端を吊り上げる親父にじゃあなと告げて、俺は蒼乃に連絡を取った。


2016.05.09. UP




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夢幻泡沫