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Eternal love to you
14
「…」
「ほら蒼乃、行くぞ。」
会場へ入るのを躊躇っている蒼乃の手を取り、自分の腕に絡める。
そのまま歩き出そうとした俺を、蒼乃は止めるようにして腕を引いた。
「ちょ…ちょっと待って…。」
「どうした?」
「や、あの…会場が立派過ぎて…私には、ちょっと…」
「俺のそばにいれば心配ないだろ?行くぞ。」
蒼乃の背中をポンポンと宥め、ドアボーイが開けた空間へ誘う。
豪華なシャンデリアが吊り下げられた大広間はとても華やかな場だった。
コクリと蒼乃の喉が鳴るのが聞こえる。
クラッチバッグを握っている手も力んでいるのが分かる。
相当緊張してやがるな。
俺は何度も経験しているが、こういう場が初めてのヤツは気後れもするだろう。
大丈夫だと小さく耳打ちすると、蒼乃はごめんなさいともっと小さな声で返してきた。
「気にすんな。アンタはニッコリ笑って頷いていればいいさ。」
「…頑張る。笑顔、ね。」
「That's right.」
俺の顔を見上げてきた蒼乃にニッと笑ってやれば、蒼乃も控えめに笑い返してくる。
会場に入ってまずしたことは、親父を探すこと。
後ろからボディガードよろしくついてくる小十郎に親父のいる場所を聞けば、すぐに見つかった。
「親父。」
「おお、政宗。…お前、本当にそういう格好がよく似合うな。」
「まあな。紹介する、蒼乃…藤原蒼乃さんだ。」
「初めまして、藤原蒼乃と申します。」
「これはご丁寧に。政宗の父です。」
「本日はこのような場にお招きいただきありがとうございます。」
「こちらこそ、来ていただけて光栄です。…と、堅苦しい挨拶はここまでで。いずれ娘になる人だ、仲良くしましょう。」
「っ…」
驚いたように蒼乃が俺を見る。
どういうこと!?と目で訴えかけるなって。
プロポーズしただろ!
「親父に話したんだ、蒼乃にプロポーズしたって。結婚すればアンタは俺の嫁。親父は舅になるだろ?」
「結納などの細かい話は蒼乃さんのご両親も含めて話し合いましょう。こんな綺麗なお嬢さんが娘になってくれるなんて嬉しいなあ。」
「…ありがとうございます。よろしくお願い致します。」
「後で俺の婚約者として紹介するからな。」
「え!?」
「…まさかとは思うが。政宗、話してなかったのか?」
「Ah〜…悪い。」
「蒼乃さん、気の利かない息子で申し訳ない。でも、どうか気楽に楽しんでいってください。」
「…ありがとうございます。」
「それにしても、伊達グループのトレードカラーのドレスがよく似合う。政宗が見立てたのか?」
「Yes.」
「これは紹介が楽しみだな。その前に、関係各所に挨拶に行くとしよう。蒼乃さん、少し政宗を借りますね。」
「はい。」
「小十郎、蒼乃を頼んだ。」
「畏まりました。」
蒼乃の額に口を寄せ、安心させる。
小十郎が入れば何の心配もいらねえ。
俺は親父と挨拶まわりに出た。
2016.05.23. UP
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夢幻泡沫