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Eternal love to you
03
「あ…」
「伊達君。部活帰り?」
「ああ。藤原は?」
「佐助を待ってるの。野球部が終わったんなら、もうちょっとかな。」
読んでいた本を閉じながら藤原がグラウンドを覗く。
だが…
「Ah?サッカー部ならとっくに終わってるぞ。」
「え?」
「残ってるヤツなんてほとんどいねえと思うが。」
「…」
俺の言葉に、藤原はスマホを取り出した。
無言で画面をなぞっている横顔を盗み見れば、明らかに泣きそうな顔を一瞬だけした。
「…ふふ。佐助、先に帰るって。」
「アンタを置いてか?」
「用事ができちゃったみたい。」
「だってアンタ、ずっと待ってたんだろ?アンタ、仮にも彼女なんだろ?普通、彼女を置いて帰るか?」
「仕方ないよ、佐助だもん。」
「なあ、あんま言いたくないが…それってアンタ、猿にあそ…」
「言わないでっ!」
あまりいい言葉でないそれを口にしようとした俺を、藤原が鋭く止める。
その勢いについ止まった俺を見て、藤原はさみしそうに笑った。
「知ってる。佐助の一番は私じゃないよ。」
「…じゃあなんで…」
「しょうがないでしょ。好きなんだもん。」
「アンタ…」
「佐助には内緒だよ?知られたら、たぶん…サヨナラされるから。」
「…」
「佐助の一番は2組のかすがちゃん。それも分かってて、私がそばにいたいの。」
「…報われないな。いや…猿が恵まれてんのか?」
「…どっちも報われないよ。」
「分かってんなら…」
「一緒にいる時は優しいもん。それでいいの。」
困ったように笑う藤原に、体が勝手に動いた。
彼女の肩を掴み、グイと俺の方に向かせる。
驚いて大きくなった瞳に、自分をしっかり映した。
「いたっ…」
「俺にしとけよ。」
「…え?」
「猿なんかやめて、俺にしとけって。」
「伊達君…?」
「アンタが好きだ。俺と付き合え。」
俺の言葉にますます大きくなる瞳が忙しなく揺れる。
「…」
「…」
「…あ、の…私、佐助と付き合ってるの。」
「知ってる。」
「一番じゃないけど、付き合ってる。」
「ああ。」
「…伊達君とは付き合えない。」
「…」
「ありがとう。…ごめんなさい。」
「…いや、急に悪かった。」
フッと両手の力を抜く。
困惑したように動きの止まっていた藤原は、やがて俺に背を向けると帰り支度を始めた。
俺も床に投げ捨てたバッグを拾う。
「…送ってく。」
「ううん、大丈夫。」
「もう遅い。」
「大丈夫だから。」
「構えんなよ、友人として送るだけだから。」
「友達…?」
「ああ。それくらいなら問題ねえだろ?」
「…うん。」
「なら、ほら。行くぞ。」
「…駅まで、ね。」
2016.02.18. UP
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夢幻泡沫