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Eternal love to you

04



視線を下に向けたままの藤原の隣に立ち、歩き出す。
2、3歩遅れてついてくるスピードに合わせてやれば、フッと藤原が力を抜いたのが分かった。

「…意外。」
「何が?」
「伊達君が。」
「俺?」
「うん。」

振り返ると、藤原は照れたように髪を弄びバッグを持ち直した。

「歩くスピード、合わせてくれてる。優しいね、もっと『俺様』なのかと思ってた。」
「Ah?」
「周りに女の子、いっぱいいるでしょ?だから割と強引に女の子を自分のペースに持っていくのかと思ってた。相手の気持ちは二の次って言うか…」
「…冷静に聞いてみりゃ、結構な言われようだな。」
「あっ、違うよ!?悪い意味じゃなくて、えっと…その…」
「『俺様』ねえ…」
「えっと、何て言うか!女の子のことは大事にしそうだけど、でも伊達君が買い物に行きたければその子が落ち込んでても付き合わせるみたいな…」
「…」
「えーと、その…あー…ごめんなさい。うまく言えないけど…いい意味でだからね!」
「…一つ教えてやる。俺は、本当に大事にしたい女はとことん甘やかすぜ。そんな風に俺が見えてたんなら、藤原が言う周りにいる女とやらは俺のオメガネには適わなかったってことだな。」
「…やっぱり俺様。」
「ってか、俺のこと見てはいたんだな。猿の野郎しか目に入ってないかと思ってた。」
「伊達君は目立つから。噂もよく聞くし、カッコイイし、自然と目に入ってくるんだよ。」

野球部の応援もしてるしね、とニッコリ笑う藤原に胸がチリつく。

「噂ってどんな噂だ?」
「本人に届かないから噂なんだよ。伊達君の名誉のために黙秘します。」
「ぜってえ悪い方だろ!?」
「さあ?」

クスクス笑って歩き出した藤原の隣を歩けば、今度はその距離を保てた。
それだけでテンションが上がるんだから、俺も大概なものだ。

「…と、着いちまったな。」
「あ、ホントだ。…伊達君、ありがとう。」

言うか言うまいかの葛藤が少しの間を生み出した後、藤原が感謝を口にした。

「は?」
「私に気を遣ってくれたんでしょ?」
「…」
「でもね、そこまで落ちてないから大丈夫だよ。」
「…アンタ、勘違いしてる。」
「え?」
「大抵の男は下心なしに女に優しくしないぜ?俺も『大抵の男』の一人だしな。」
「…」

空いてる手でスッと藤原の頬を撫でると、ビクリとした反応が返ってくる。
これって俺を意識してるってことだろ?
自然と口角が上がる。
俺のことを意識すればいい。
それで俺に振り向きゃいいんだ。

「今日のことは内緒にしてやるよ。」
「…ありがとう。」
「だが…」
「…『だが』、なに?」
「何もなしは面白くねえな。Hum, それならいっそ…」

いっそ二人で罪を犯せばいい。
ハテナでいっぱいの藤原の顔にぐいと近づく。
大きく見開かれた目から逸らさずに唇を奪ってやれば、思わずといった感じでぎゅ…とつぶられた。
構わない。
その方が俺の感触をリアルに感じられるだろ?
流石に舌までは入れなかったが、藤原の柔らかい唇を舐めたり食んだりして楽しんだ。

「…ぁ…っ…」
「…これでアンタは共犯だ。俺が仕掛けたから俺は黙ってる。アンタが言うかどうかは自由だが、な。」
「…言えるわけないでしょ。」

だよな。
ニヤリと笑った俺を見て、藤原は悔しそうに睨み上げてきた。
だけど、さっきのキスで頬が上気している。
そんな赤い顔で睨まれてもむしろニヤけるだけだ。

「…伊達君がホントは私のこと嫌いなのは分かったから。」
「は?」
「だって伊達君は好きな子を甘やかすんでしょ?今の伊達君、すごく意地悪だもん。」
「…アンタ、本当に分かってないな。好きな女に意地悪したくなるのも男ってモンなんだよ。」
「…小学生みたい…」
「ははっ、違いねえ。まあ、なんかあったらいつでも慰めてやるよ。」
「佐助に慰めてもらうからいいのっ!」

悔し紛れに藤原がバッグをバシッとぶつけてくる。
そのまま走って改札を抜けた藤原は、一度も振り返らずにホームに消えていった。


2016.03.03. UP




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夢幻泡沫