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Eternal love to you

07



3年に進級してから、藤原の周りが騒がしくなった。

「猿飛先輩と別れたんだろ?お前いけって!」
「いや、いきてーけど!いきてーんだけど!!昨日も呼び出されたんだってよ。確か、5組のヤツに。」
「すげーな。今もだろ?どんだけ狙ってるヤツがいるんだ!?」
「何だよ、結局お前も気になってんじゃねえか。」
「だって普通に可愛いだろ!そりゃ気になるって。去年までは猿飛先輩と付き合ってたから対象外だったけど、フリーってんならアリじゃねえ!?」

いまさら割り込んでくるなよ。
俺はずっと藤原を見てたんだぞ!?
頻繁に聞かれるようになったこのテの話に苛立ちが募る。
唯一救われているのは、藤原が俺のこと避けずに接していること。
おかげで男の中じゃ親しい方に入ってるんじゃねえか?
…まあ、俺の告白は見事にガン無視されているが。
今は隣になっている藤原の席を見ながら溜息が零れる。
席の持ち主は不在だ。
昼休み早々に呼び出したヤツの後についていった。
早く帰って来ねえかと教室のドアを見ていれば、少しして疲れた様子で藤原が帰ってきた。

「戻ったか。」
「あー…伊達君。ただいま。」
「疲れてんな。」
「まあ、ね。これからお昼だし。」

そう言ってバッグからシンプルな包みと水筒を取り出す。
はぁと小さく息を吐きだしてから包みを広げるそばで、俺もビニル袋からパンをいくつか出して開けた。

「…え?伊達君も今から?」
「一緒に食おうかと思って待ってた。」
「え!?だって、お昼休み半分ぐらい過ぎてるよ?」
「じゃあ早く食おうぜ。」
「でも伊達君、真田君達は?」
「アイツらなら先に食った。5時間目、おじゃるだろ?当てられんだと。」
「…昨日の真田君、爆睡してたからね。」

クスクスと笑いながら弁当を広げ、小さくいただきますと言った藤原に合わせて俺もパンにかぶりつく。
よく見れば彩りも豊かでうまそうな弁当に、ついつい目がいってしまった。

「…うまそうだな。」
「これ?作ったの、お母さんだけど。」
「ふうん、てか少なくねえか?」
「いつもこれぐらいだよ。それより伊達君、今日はパンなんだね。」
「…」
「伊達君?どうかした?」
「…寝坊した。」
「え?」
「弁当作ってる時間がなかった。仕方ねえから、途中でコンビニに寄ってきた。」
「…え、まさか…毎日自分で作ってるの!?」
「ああ。」
「うわっ!女子力高いっ!!」
「…嬉しくねえ。」
「うわぁ、すごいねっ!すごいっ!!」

目を丸くして『すごい』を連発する藤原に気分がよくなる。
だが、これだけ昼飯が遅くなったのは…

「…今日は誰だったんだよ?」
「…言うわけないでしょ。デリカシーなさすぎ。」
「そろそろ落ち着いたらどうだ?」
「私は落ち着いてるよ。周りが騒いでるだけ。…あー…今、ヤな女の発言だったね。うわぁ、ヘコむ。」
「さっさと彼氏を作ればいいだけだろ。なあ、俺と…」
「『付き合えよ』?伊達君のソレって、もうネタだよね。」
「付き合おうぜ。」
「イヤ。伊達君の周りにいる女の子達に睨まれたくないもん。」

フイと視線を逸らして藤原が拒否を示す。
このやり取りも、もう何度もした。
何度もしたが、諦めるつもりはない。

「早く俺だけを見ろよ。」
「…他に良い子、たくさんいるでしょ。」

困ったように笑う藤原が、目を伏せながら水筒を傾けた。


2016.03.24. UP




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夢幻泡沫