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それは、甘い
17
せっかくなので、と買った服に着替えた子供達はルンルン気分。
そして私は可愛さの増した子供達を激写し続け、また武将ズに引かれた。
え、何で?
今度向かうのはメンズショップ。
大人組の着るものを一式揃えてしまいましょうね、ってことで。
「またそれぞれ選ぶでいいですか?」
「そうだな。」
「大人のサイズ表示は子供達と違うんです。アルファベットと言う南蛮の文字なんですけど。」
一人ずつに書いたメモを渡す。
靴下のサイズも一緒に添えて。
「分からないことがあったらすぐに呼んでください。センスあるから任せて!なんて大口を叩けませんが、アドバイスをがんばりますので。」
「あ、どば、いす?」
「えっと、助言ですね。あ、店員さんに聞くのもアリですから。むしろ、そっちの方がいい買い物ができます。」
「ああ、分かった。」
「それと、申し訳ありませんがここでも上限を設けます。」
ぐるっと見ての値段からおおよその計算をし、それを伝える。
まぁ、伝えたところできっと分からないだろうけど。
「では、いったん解散しましょう。このお店の中なら自由に見て回って大丈夫です。」
入口の近くにあったベンチで子供達と一緒に待つ。
「まりどの。 けさから それがしらの ほうへ なにやら いたの ような ものを むけて おられたが、いったい それは なんで ござる?」
「あぁ、ごめんね。これはスマホって言う機械だよ。」
「すまほ、とな?」
「うん。」
「どんな働きをするんだ?」
「うぅん…とねぇ、色々あるんだけど。さっきのは、みんなの可愛い姿を記録してたの。写真だよ。」
バッグからスマホを出し、画像を見せる。
「そっ、 それがしが… いたの なかに…」
「何と面妖な…」
「生き写しじゃねえか…」
うふふ、テンプレな反応をありがとう。
「そうだね。瞬時にその時の様子を静止画で記録してくれるから、後で見ることができるの。その当時の様子とか、その時の気持ちとか、こういう事あったよねとか、思い出にとっておけていいでしょ?」
例えばね、と松寿を抱き寄せ自撮りする。
「貴様っ!?何をっ!?」
「ほら、ね。松寿の驚いた顔と、私の嬉しい顔が残せるでしょ?」
やったね!
どさくさで松寿との2ショットを手に入れた!!
「おおっ! すごいで ござるっ!! それがしも、 まりどのとっ!!」
「うん。おいで、弁丸君!」
弁丸君はまだ5歳。
ひょいと脇の下から抱き上げれば、ストンと膝の上に抱っこできた。
「な、 なっ… まりどの!?」
「弁丸君、いくよ?はい、にっこり!」
ちょっと脇をくすぐると、途端にきゃあと楽しそうな笑顔。
そのままカシャリととって画像を見せてあげると、とっても満足そうにしてくれた。
松寿と弁丸君と撮れたんだから、狙うはあと一人。
「梵天君も一緒にどう?」
「…おれはいい。」
「そっかぁ、残念。そのうち一緒に撮ろうね。」
「…」
お、梵天君がチラリとスマホを気にしてる。
これは今後に期待できるかも?
「じゃあ、3人では?」
「厭きるほど撮ったであろう。もうよいわ。」
「松寿が冷たい…」
とかやっている間に、大人組も大体決まったみたい。
呼ばれてお店に入っていくと、それぞれが専属で店員を側に控えさせていた。
「…何かすごいですね。」
「あ?何がだ?」
「いえ…何も…」
「この方達のお連れ様ですか?いやあ、こんなにスタイルがよい方達がお揃いでいらっしゃるなんて滅多にないことなんですよ。張り切ってしまいました。」
「…あぁ、ありがとうございます。あの、一人頭大体どれくらいになりそうですか?」
聞いてびっくり!
全員が上限ギリギリの値段に抑えられていた。
「え、すごいっ!でも、あれ?私、言ってませんでしたよね?」
「お連れ様が教えて下さいました。その中でコーディネートしやすいものばかりを選んだつもりです。ご確認いただけますか?」
「あ…いえ、センスに自信があるわけじゃないので、そこは店員さんの腕を信じます。」
「ありがとうございます。」
「試着はしてみましたか?」
「はい、勿論でございます。弊社の商品をこう言うのもなんですが…どれもとてもお似合いで。」
「ありがとうございます。みなさんも試着してみて何か問題はありませんでしたか?」
ないと各自が首を振ったので、枚数だけ確認してレジに籠を4つ並べた。
先に着替える分だけそれぞれバーコードを通し、大人組は店員さんについてもらって試着室へ行った。
「4つ纏めてでいいですか?」
「…はい。」
「ありがとうございます。」
「いえ、こちらこそ。一人ずつ見てくださったようで、お手数を掛けてしまいました。」
「いいえ、それが仕事ですから。それに先程も申し上げましたが、本当にスタイルのよい方達ばかりでとても楽しかったです。イケメンですしね。」
「あぁ…男性から見ても、やっぱりイケメンですか?」
「ええ、それはもう。イケメンの見本市みたいですよね。少し分けてほしいぐらいです。」
「ホントですよねぇ。」
「お嬢さんも可愛らしい方ですから、よくお似合いですよ。」
「え?」
「あの中に、お相手がいるのでしょう?」
「ふふっ、残念ながら。」
店員さんと中身のない話をしている最中にも膨れ上がる合計に、現実から逃げたくなる。
そっと目を逸らした先はイケメンズが向かった試着室で。
タイミング良く着替え終わった彼らが、家で着替えた時以上に居心地悪そうに出てきた。
慶次さんは学生コンパにいそうなチャラ男系イケメン。
元親さんは肉体労働風なワイルド系イケメン。
猿飛佐助は正統派なシャープ系イケメン。
片倉さんは色気プンプンな大人系イケメン。
「…グッジョブです!」
「でしょう!?本当に楽しかったんですから!」
「いいお仕事されますね!口コミさせてもらいますっ!」
「ありがとうございます!お支払いは?」
「カードで。」
「これだけ買っていただいたので、割引しておきますね。」
「ホントですか!?助かりますっ!!」
「あ、でも内緒でお願いしますよ?」
「もちろんです!!」
相当な痛手だけど。
テンションが上がっているので、なぜか『これくらい問題ない!』と頭の中で叫ぶ私がいる。
すごいな、イケメン。
この人達を見たら、誰だってときめくでしょう!?
2017.10.23. UP
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夢幻泡沫