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それは、甘い
30
漸く食材のコーナーへ。
大量に買うべくカートを持ち出して、下の段には買った袋を。
上の段には籠をセットした。
「…それは何だ?」
「カートと言います。たくさん買うと籠が重くなるでしょう?そんな時はこれを使うと、移動するのが楽なんです。押して使います。」
「それがしも おして みとう ござる!」
「そこの小さいのが子供用だよ。使いたかったらどうぞ。」
「おおっ!!」
「でも、誰かにぶつけちゃダメだよ。もしぶつけちゃったら、すぐに謝ってね。」
「しょうち いたした!」
カートって足に当たると痛いよね。
足首の後ろとか、踝とか。
地味に、悶絶するぐらいに。
カートを取ったのは、弁と梵天君だった。
「松寿はいいの?」
「いらぬ。」
「そう。では、実践に移りたいと思います。」
「は?」
「これから各自で必要なものを買い揃えましょう。私は今日の夕飯分を買います。小十郎さんと猿飛さんは明日から必要なものを買ってください。」
「えっ!?いきなり!?」
「はい。お金も渡しますから、袋に詰めるまで自分達でやってみてください。」
「…無謀すぎねえか?」
「大丈夫ですよ。今までみなさんの適応力にどれだけ驚かされたことか。」
ホントに。
1回で覚えちゃうってすごい。
話の流れで大体掴めちゃうってすごい。
生きる力、ハンパない。
予算の入ったお財布を各自に渡しながら改めて感心する。
…それにしても。
紐のついたお子ちゃま用のお財布を首から下げてるって。
しかもキャラクターものの。
弁や梵天君達はともかく、いい大人の小十郎さんや猿飛佐助がシュールで笑えるわ。
しょうがないよね、家にあったのがそれなんだから。
職場の同僚に押しつけられて持て余してたけど、捨てなくてよかったわ。
でも…大人用の財布を用意してあげよう。
不憫すぎる。
「なあ、まり。俺と慶次にはねえのか?」
「ごめんね。2人には子供達の付き添いをお願いしたいの。」
「どういう事だい?」
「残念なことに、悪い人ってどんな世の中にもいてね。ここでも子供だけで行動すると攫われたり、子供がお金を持ってたら嘘ついたり脅して奪ったりする人がいるのよ。だから2人には弁達と一緒に行動してほしいの。」
「こんな平和そうな世でもそんな事をする奴がいるんだな。」
「うん。お願いできる?」
「ああ、任せといてくれよ。」
「それと、お買い物も見ててね。」
「おう。」
「まりよ、我を見くびるでない。」
「見くびってないよ。だけど、念のため。松寿達が危ない目に遭ったり、悪い子と間違われちゃったりするのが嫌なだけ。元親さん達と一緒にいてくれる?」
「…ふん。」
「ありがとう、松寿。お願いね、慶次さん、元親さん。」
ニカリと笑って頷く2人が頼もしいかも。
「じゃ、お買い物を始めましょう。終わったらサッカー台の端に待ち合わせってことで。全員が揃うまで、お店の外には出ないでください。私もうろうろとしながら買ってますので、分からなかったり何かあったりしらいつでも声をかけてください。小十郎さんと猿飛さんは、明日以降の食材を。賞味期限が書いてありますから、よく見てくださいね。」
「賞味期限?」
「その日までは美味しく食べられますよっていう、保証みたいなものです。」
「ほう。」
「それってどれくらい猶予があるの?」
「食材によってまちまちですけど…やっぱり、生ものはあまりもちませんね。2日ぐらいもてばいいんじゃないですか?」
「ってことは2、3日分を目安に買えばいいのかな〜。そしたら俺様達もかあとってやつを使ってみない、右目の旦那?」
「…好きにしろ。」
「子供達は、お菓子のコーナーで食べてみたいものを選んでね。」
「かしっ!」
「うん、異国のお菓子がいっぱいあるよ。この時代のお菓子もたくさん。」
「たのしみで ござるっ! さすけ、 まいるぞっ!!」
「弁丸様。俺様達、別行動だって〜。頼りないけど、風来坊か鬼の旦那と一緒にいってらっしゃいな。」
「ひどいなー、佐助は。」
「そうで あったな。 ちょうそかべどの、 まえだどの、 まいりましょうぞ! ぼんてんまるどのも、 しょうじゅまるどのも!!」
「お一人で大事ありませぬか、梵天丸様。」
「…問題ない。行くぞ。」
「かしこまった!!」
「うるさい、弁丸。」
「んじゃ、付き合いますか。」
「まり。夕餉、楽しみにしてるからな。」
「右目の旦那〜。俺様達も行きますか〜。」
「ああ。」
それぞれの目的の為に別れる。
オリエンテーリングみたいな?
そんな感じで散らばる武将ズをしばし見送った後、私ものんびりと歩き出した。
お弁当コーナーに行けば何かヒントになるものがあるとにらんで。
お惣菜やお弁当を覘きつつ考える。
洋食、ねぇ。
洋食って言ったら何だろう?
オムライス?オムレツ?コロッケ?
いや、めんどくさい。
パスタは物足りないって思われそう。
カレーは見た目でアウトだろうな。
ステーキ…そんなにお肉買えないし。
…あ。
「ハンバーグでいいか。嵩増しできるし、いろんな味で食べられるし。サラダとスープをつければ…あ、でもスプーンってどうなんだろう?お味噌汁が無難かな。」
挽き肉を求めに精肉コーナーへ。
大量パックをいくつか買って、その重さにげんなりする。
カートが一気に重くなった。
忘れちゃいけないのが、嵩増し用のパン粉。
それから順に回って、必要なものを籠に入れていく。
同じ商品を複数買うなんてあまり経験したことないから、ちょっと新鮮。
だけど、これが続くのかと思うと…。
やっぱり、気分は大家族のおかあさん的な。
「世のお母さん方ってすごいね…」
尊敬しちゃう。
2018.02.05. UP
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夢幻泡沫