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花は輝き月は笑む
20
「桃、こちらへ。」
「…え?」
「儂の隣へ参れ。」
「あ…はい。」
幸村と佐助に視線で問いかければ、行けと促される。
言われるままに信玄の隣へ座り、幸村の時と同じように膝をつく。
「お怪我は?」
「儂も大したことはない。」
「…ご無事で安心致しました。」
「桃も無事な様で何よりじゃ。」
桃花の頭に大きな手を置くと、信玄はゆるりと笑った。
その笑顔に、彼女の顔も綻ぶ。
「…桃よ。こちらは伊達政宗殿と申してな、奥州を束ねておる。」
「Hey, kitty. It has just met before for a while. 成に何もされなかったか?」
「ちょっ、梵!ひどい!!」
慌てたように小十郎の隣に座った成実が反論する。
けれど、桃花は政宗の言葉に驚いて彼を見た。
だって…今、英語を話したよ…ね?
…この世界では英語も通じるの?
幸村様や佐助さん達は話してなかったけど、一般常識とか…?
「桃、何を驚いておる?」
「…あの…今、伊達様が仰ったのは…」
「ああ、桃は初めて聞くのか。伊達殿は異国語を話すのだ。」
「Oh, sorry. …じゃねえ、悪かった。そのうちアンタにも教えてやるぜ。」
英語…じゃなくて、異国語と言うらしい。
と言うか、この世界にも存在はするのか。
…苦手なのに、英語。
いや、異国語。
クツクツと笑いながら目を細める政宗に、桃花はバツが悪そうに視線を下げた。
「伊達殿。これは桃と申す。儂の娘だ。」
「Ah!?おっさんの姫だぁ?随分似てねえな。」
「母に似たのであろう。桃、挨拶せよ。」
「…」
いきなり敵の総大将に紹介されれば、困惑してしまうだけ。
挨拶もどうしていいか分からず、信玄の紹介に合わせて頭を下げるだけになってしまう。
それを上げられず、ただ床についた己の指先をじっと見つめていた。
「にしても、おっさんに年頃の姫がいたとはな。」
「…桃の母は儂に告げることなく桃を生んだのでな、儂もずっと存在を知らずにいたのだ。」
「落胤ってやつか。」
「つい最近になって幸村と佐助に連れてこさせた娘じゃ。桃がいたところはこの辺りとはだいぶ異なるところらしくてのう、行儀作法もしきたりも常識も持ち合わせてはおらぬ。」
「構わねえよ。何もねぇんなら、伊達に染めやすいってことだろ?いいじゃねえか。」
国主同士の話し合いに、桃花は付いていけない。
それは政宗の腹心も同じだった。
「政宗様。何を話されておいでですか?」
「喜ぶんだな、小十郎。この俺が正室を娶るぜ。」
「はっ!?」
「甲斐と同盟だ。虎のおっさんの姫を正室に迎える。」
「政宗様!?そのような話…この小十郎、一度も聞いておりませぬが?」
「Oh, そりゃそうだ。初めてしたからな。」
「政宗様!!」
「いいか、小十郎?上田城を奇襲したのは、元々そのつもりだったからだろ?おっさんの姫なら申し分ねえだろ。同盟を組むは、正室を娶るは…国元にいる重臣達も文句はねえはずだ、you see?…まあ、虎のおっさんとその姫がokayと言えばの話だがな。」
ニヤリと笑いながら横に控える小十郎を見ると、政宗は挑戦的な目を信玄に向ける。
「…桃よ、伊達殿が同盟を申し入れてきた。」
「…同、盟?」
「領地も儂等の立場も何もかも今まで通りでいい、と。」
「…隷属…ではなくて…?」
「そうだ。他の要求も一切ない。…ただそなたが奥州に嫁ぐだけでよい、とな。」
「甲斐の…武田の処分はなし、ですか?幸村様や佐助さん達も…?」
「That’s right. 悪い話じゃねえだろ?」
「…でも…」
ゆっくりと頭を上げて、桃花は信玄と政宗を交互に見る。
対等とは思えない座り位置。
本当に同盟なのか?
同盟と言う名の、隷属扱いでは…?
彼女の猜疑を感じ取ったのか、政宗は何気なく立ち上がって信玄の横正面に座った。
「…これなら納得できるか?The smart quick-witted princess?」
「桃、そなたが決めればよい。なに、嫌なら一戦交えるだけじゃ。」
豪快に笑い優しく目を細めた信玄だが、黙ったままでいる。
桃花は隣をじっと見つめるが、何も返ってこない。
縋るように後ろにいる幸村と佐助を見れば、幸村は苦しそうに眉をきつく顰めて俯く。
佐助は感情を殺した目で桃花を見返した。
…既に答えは決まっているのだ。
私は、甲斐には…上田には、もういられない。
視界が霞む。
瞼をギュッと閉じて何度か深呼吸すると、桃花は信玄に丁寧に頭を下げた。
声が震えてしまうのは、小さくなってしまうのは許して欲しい…。
「…私でお役に立てるのなら、喜んで。」
「…行ってくれるか?」
「はい…父上。」
桃花の最後の言葉に、信玄が驚いたように目を瞠る。
「…聞いたか?幸村、佐助よ、桃が儂の事を父と呼んでくれたわい。」
少しだけ掠れた声で後ろを振り返れば、二人は無言でグッと拳を握りしめて平伏した。
2014.06.23. UP
Hey, pretty my kitty.
Do not forget my existence?
I am a king and am smart, and I have force above all.
Am I cooler than a hot-blooded tiger?
Does it have better me to act as a partner of the love?
政宗様が最前線から引いてくれません。
というわけで、お相手は政宗様になりました。
ゆっきー大好きなんだけどっ!!
どうしてこうなった(汗)
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夢幻泡沫