機嫌良く鼻歌を歌いながら千代紙を細工する。
夏に用意してもらった余りを小さくちぎり形を作っていけば、年に一度の有名な木と再会した。
飾りをつけるために細々したものを切っていると、喜多さんが政宗様の御渡りを伝えてくる。
「Hey, honey. 邪魔するぜ。」
「ご機嫌麗しゅうございます、政宗様。如何されましたか?」
「何かねえと来ちゃいけねえか?」
「いいえ、そのようなことはございません。」
言葉遊びをするようにクツクツと笑う政宗様に、私も笑いを含ませながら返す。
「今日は一段と冷えるから桃で暖を取るつもりでいたんだが…」
「…私で、でございますか?」
「Yes. 一つの布団の中、俺の腕の中で…」
「まあっ!」
「…と思ったんだが、本当に邪魔したか?」
「いいえ、そのようなことはございません。」
広げていたものを横に置き、政宗様を迎え入れる。
「…本格的な冬が近づいてきている。雪国は眠りの時期だな。」
ブルリと体を震わせ、火燵に入り寛ぐ姿はまるで猫のようで微笑ましく思う。
「で、honeyは何をやってんだ?」
「カードを作っていました。」
「Card?」
「はい。このように紙を小さめに千切り、形を作っていくのです。作ってみますか?」
「Okay, 楽しそうだな。」
政宗様は『伊達男』の語源になるぐらいセンスが良い。
きっと素敵なものが出来上がるのだろうな、と横目で見ながらそう思った。
「わぁっ…政宗様が作られたもの、とても素敵です。」
案の定、仕上がったカードはあの時代のものにも見劣りしないぐらい大層な出来だった。
部屋の片隅に置いてある火鉢の上に乗せている鉄瓶から筒茶碗に湯を入れ、砕いた金平糖を少しだけ入れて溶かし政宗様に差し出す。
それをグビリと飲んで、政宗様は一息つかれた。
頬杖に体を預け一仕事終えた後の気だるさを滲ませながら、カードに見入っている私を楽しそうに見る。
「Thanks. アンタのもなかなかだぜ。温かみがあって、崇高としていて、桃らしい。」
「ありがとうございます。」
「にしても、ちっと疲れた。休む。」
「では、何か掛けるものを…」
「いい。」
そう言って、政宗様は私の横にススッと寄ってくるとゴロリと横になられた。
…私の膝を枕にして。
「政宗様っ!?」
「柔いな、桃。」
下から手を伸ばし、私の頬に触れる政宗様が穏やかに笑う。
「こんな日を過ごすようになるとは、数年前まで考えもしなかったぜ。」
「…どうぞお眠りください。一時でも気が安らぎますよう…」
「ああ、thanks.」
私が政宗様に安らぎを与えられるとするのなら、こんな嬉しいことはない。
静かに閉じられた瞼の上にかかる髪をさらりと撫でても、手を払われることも鋭い目で刺されることもなくなった。
この時期になるとよく流れていた歌詞が自然と頭に浮かんでくる。
今日は十二月二十四日。
聖夜、プレゼントを贈り合う愛の日なのだから。
「…悪ぃ、マジで寝てた。」
「起きられましたか?よく眠っていましたよ。」
「…Ah, 火燵は人間を堕落へ追い込む魔力を持ってやがる。それに、桃んとこの火燵は他のに比べて温かくねえか?」
「そうでございますか?」
「ああ。」
「…特にこれと言った工夫はしておりませんが、保温性の高いものを使用するようには致しております。」
「Fum. なら、俺も取り入れるか。後で教えてくれ。」
「分かりました。それならば政宗様、こちらをお受け取りくださいませ。」
用意して置いた盆の上に先程作ったカードを添えて、政宗様に差し出す。
「プレゼントにございます。」
「For me?」
「Yes.」
異国語で答えたことが意外だったのか、政宗様が目を大きくされる。
そのすぐあと、三日月形になった瞳で被せてあった布を取った。
「…これは?」
「毛糸という糸で編んだ…何と言えばいいのでしょうか?敷物にしてもいいですし、肩に羽織ってもいいですし、膝にかけてもいいですし…」
「…なんだかよく分かんねえけど、温かいな。」
「はい、この火燵にも使用しております。」
「Oh, だから温かいのか?さっそく使わせてもらう。」
2015.12.01. UPIT
2016.12.24. EDIT