13.バイ●ハザードオブゴロン







ようやくドドンゴの洞窟の最奥へと辿り着いた。


背中に大怪我を負ったけど、リンク達の足手まといにはなりたくないから頑張るしかないわね!



古代竜というだけあって、やはり威圧もインパクトも共に凄い。そりゃー色んな意味で…



頑張ってリンク、何かあったら出来るだけ助けるから!!





バイ●ハザードオブゴロン



キングドドンゴが歩くたびに洞窟が揺れる。それでもその凄みに負けないようにとリンクは両足で踏ん張った。

キングドドンゴの動きが止まった瞬間をつき、剣を掲げて駆け出した。


「うりゃあ!!」


大きな足に目掛けて横切りに振るう。が、固い甲羅で覆われた皮膚は簡単に剣を弾いた。
キングドドンゴは隙の出来たリンクを足で薙ぎ払う。

宙に放り出された彼は、一瞬驚きながらも中で一回転して衝撃を和らげた。


「う、固い…!」

「リンク!相手は普通のモンスターとは違うのよ!慎重に弱点を探って!!」

「うん!!」


見たところ、キングドドンゴはあの体の所為か動きが遅い。竜なだけに力は凄いかもしれないけど、これならゴーマの方が手ごわかったわね。

勝ち目がある!と思ってたら、突然キングドドンゴが身体を丸めた。


…?

「な、何?いきなり竜からダンゴムシに変化??」


どれだけ弱くなってるのよ。力どころか威圧も凄く落ちる(汗)
首を傾げながらも警戒心を解かないリンクは剣を構えた。

その時、キングドドンゴがリンク目掛けて丸まったまま転がってきた!所謂ローリングアタックというやつ?
いやいや呑気に言ってる場合じゃなくて!!


「リンク、ナビィ!其処から逃げて!!」

「っ!!」


リンクは身体をUターンしてこっちに逃げてきた。勿論尚もキングドドンゴは獲物を狙うため回転してくる。


「うわわわわ!!」


リンクは病み上がりのあたしを気遣ってか手を引っ張って逃げ道を誘導してくれた。

ココは一旦、この攻撃が止むまで逃げ回るしかないのかも…体力勝負ってところね!


ヒュ〜〜〜……


「?『ヒュ〜?』」


何やら頭上から落下音が。確認のため走りながらも首を上に…


ドゴッ!!


「Σあがっ!!?」


…あげる前に何かが既に落下。しかもピンポイントにリンクの上に!
気絶したリンクの上で、その何かは呑気に服についた土を払っている。そう、彼女『サリア』が。


「サリア!」

「舞!ごめんね、舞が怪我してるの忘れて落っことしちゃって…」

「そ、そんなコト言ってる場合じゃないのよ!!」


今度はあたしがサリアの手を掴んでその場から…
Σってあぁ!!し、しまった!リンク!!慌てて急ブレーキを掛けて後ろに振り返る。

リンクは、


「気絶してるわねv」

「キィヤァアァアアア!!!」


まるでムンクの叫びの如く!ってかまだキングドドンゴはローリングアタックかましてるんだから、非常に危険なのよ!!

キングドドンゴはリンクが倒れてる事に気づいてか、彼の手前で回転を止めた。
犬のように彼の体をくんくん匂っているけど。……まさか…


キングドドンゴの大きな口がめいいっぱい開かれ――――



バクッ


「食われとるあぁぁぁあぁあぁ!!!」


あろうことかその巨大な口でリンクをパックンチョ。上手そうに舌で口の周辺を舐めた。
そして今度はあたし達の方へ振り返りさっきのローリングアタックを!!


「どどどうしようサリア!!リンクが…リンクが消化される!!」

「サリア的にリンクなんか放っておくのが妥当なんだけど…このままだとサリアや舞にまで危害が及んじゃうよね」


いや、仮にもあんた仲間なんだから。


「ん、サリアに任せて!舞は怪我の事もあるしねっ」


サリアはそう言うとにっこり微笑んでキングドドンゴに向かって走っていった。
あああ…色んな意味で不安(汗)


キングドドンゴより少し距離を置いたところでサリアが止まる。キングドドンゴもそれに気づき止まる。

最初に聞いた唸り声を上げた。そして威圧のある睨みをサリアに向ける。

負けじとサリアも睨み返す。…サリアさん怖いです。キングドドンゴ後退。

サリアはテツ子を構える。そして後ろへすたすたすた……?


何と後ろには爆弾花があった!そしてその横へ立ち、構えは野球からゴルフへチェンジ。


狙いを定め、大きく振りかぶって、全身の力を出してフルスイーーーング!!!


ガッキーーンッ!!


何と放たれた爆弾花はキングドドンゴの口の中へ!!


―しばらくお待ちください―


ドゴオオン!!


キングドドンゴ爆発―――――!!!(…何であたしは呑気に中継なんてしてるのかね。)
見事口の中で爆弾花が爆発して、さすがに内側からの攻撃にキングドドンゴも苦しみだし、一直線に真ん中の溶岩に転がっていった。

……いやいやいや、このままだとリンクも焼け死ぬ!!

慌ててキングドドンゴの近くに走ると、ヤツの口の端から人間の足が見えた。躊躇なくあたしはそれを力いっぱい引っ張る!

ゾンビの如く這い出てきたのは、胃液を被り、体がまっ黒に焦げたリンクとナビィ……(汗)


「大丈夫?」

「…ケホッ」

『…ケフッ』


大丈夫じゃないようです(見りゃ分かる)
背後にいるそこ、密かに舌打ちしなーい。


キングドドンゴが転がっていった方を見ると、やつはものの見事に溶岩に沈んだ。辛うじて出た頭と両手も黒く焦げてしまった。

そしてそして、また何故かあのヒラヒラレースは無事のまま。……何で。

キングドドンゴの近くから、デクの木サマの時と同じような青い光と、ハートの器が現れた。


「やったよ舞!!」

「ありがとうサリア!まさか爆弾花を使うなんて思わなかったよ!」


しかもゴルフスタイルで。


「ふふ、外側が駄目なら内側と思ってv
さ、舞の怪我もあるし、さっさとこんな所から出ちゃおう!」


そう言うと、一足先にサリアは青い光の中へ入っていった。
あの…明らかにリンクとナビィのほうが重症なんですけど(汗)

とりあえず、サリアに遅れを取らないように、リンクの腕を肩に掛けてあたしは青い光まで誘導して行った。

…あ、ハートの器。


「って言っても、リンクは気絶してるのよね…」


彼の体を一度地面に横たえ、あたしはハートの器を取りにいった。
あたしが両手で持っても変化は起きず(良かった)リンクのところまで持っていった。

彼の胸の上に置くと、最初の時と同じように、ハートの器が溶け込んでいった。これで…またリンクは強くなったかな?


もう一度彼の体を抱え、青い光を放つ魔法陣へと足を踏み入れる。
あたし達の体を優しい光が包みこんだ。さて…これで炎の精霊石は貰えるかな?


そこであたしの意識は落ちた。











***





「…っ、……ん…?」


徐に目が覚めた。

…でも今は以前と違い、前も後ろも分からない真っ黒な空間にふよふよと浮いていた。



「リンク〜?サリアー!」


居るはずない友人の名前を呼んでみる。が、予想してた通り返ってくる返事は無かった。
どうしようかと思い、とりあえず歩いてみることに……


―くっくっく…ふはははは!!―

「な、誰!?」


歩こうとした矢先に、図太い大きな笑い声が響き渡った。
何だか…聞き覚えがある声ね。


―小僧と共にゴーマとキングドドンゴを倒したか…まあ良い。所詮奴らは下っ端に過ぎん。
…それよりまた会えて嬉しいぞ…―


この声は…男。しかもこんな黒い空間でおっさんのような声の主を過去を辿っていけば、辿り着くのは1つ。

あたしの目の前に一部黒い空間が歪んだ。
その中から出てきた肌黒い背にマントを靡かせ、全てのものを超越したような存在。


―舞―

「ガノン…ドロフ……」


黒い空間に現れたのは、あの超マッチョの露出狂、ガノンドロフ。
何でこいつがこんな所に…


「ちょっと、ココはどこなの!?」


―ココは光と闇の狭間、つまり『夢』だ―


「人の夢の中に勝手に入ってくるなんていい度胸ね…」


ホントは今すぐにでも殴ってやりたい。
けど、こいつに触れるのは何だか気持ち悪くてイヤだ(汗汗)


「!そうだ、あんたに1つ聞きたいことがあんのよ!!
何あのボス達!?何でショッキングピンクやらヒラヒラレースやらオカルト少女風味なのよ!?コンディションが可笑しいのよどれも!危うく嘔吐しそうだったわ!!」

―ふっ…お前に対しての愛故だ―

「謹んで返却させてもらいます。それにあれの何処が愛なの、寧ろあれじゃ嫌味だ嫌味!!」

―ん?女はああいうのが好みなのだろう?―

「それはそっち系の人だけでしょ!あたしは正常、ああいう色合いやふりふり物は大嫌いなのよ!!」


まず何でこいつの頭の中でそういう方程式が成り立っているのかが不思議でしょうがない。


―な、何!?お前は嫌いだというのか!?くっ…親切が仇となってしまったか!―


「魔王が親切してどうすんのよ…
兎に角正常に直して、でなきゃサリアとゼルダ姫呼ぶわよ!!」


史上最恐のタッグです。


「まあその話は置いておくとして、何より先にあたし早く目覚めたいんだけど。」

―なっ、俺と居るのがイヤだというのか!?―


はい


―ココで筋肉の素晴らしさと俺の愛の深さを身体に刻み込んでやろうと思ってたのにな…―

「やめてくれ。あたしの身がもたん」

―そんな事言って…本当は愛してるくせに☆―

「Σ気持ち悪ッッ!!いい歳こいたおっさんがやめてよ!」

―何を言う未来の夫に!世界制服を成し遂げた後はすぐに式を挙げるぞ!!―

「げっ!?ひ、人を勝手に妻にするな!この変態魔王!
あんたなんぞ腐ったゴミで十分!
そしてゴミと結婚して一生ゴミ屋敷で暮らせ!あたしの未来プランに亀裂ついちゃうじゃないの!!」

―嫌よ嫌よも好きのうち!!心配するな!!痛いのは最初だけだ!!―



誰かーーー!!変態が!変態がココに!!
頼む!早くココから抜け出させてくれ!!(号泣)舞!目覚めるのよ!(不思議のア●ス風)


―――カッ!


「!」


祈りが通じたのか、奴の背後から光があたしのほうに向けて集まってくる。ま、眩しい…


―ちっ、邪魔が入ったか…舞!!また会おう!!―


あまりの眩しさに目を瞑る。一瞬体がぐらっと揺れた。最後に聞こえたガノンドロフの声に心の中で全力否定しながら……





***




「―――ぃ…」

「う``〜……」

「…!…舞!!」


耳元で誰かに名前を呼ばれてる気が…
そっと目を開けてみる。太陽の光のまぶしさにおもわず顔をしかめる。視界一杯に広がったのは……


目の前に広がる金髪。人間独特の肌の色。……。


「Σぎゃああああああああ!!!??」


バチィィインッ!!

「おぶぅっ!!」

「ってリィィンクーーーー!!?」


何かと思ってつい引っ叩いてしまった。けどよ〜く見たら、その正体はリンク!
自分でも思っていなかった程力強く叩いてしまい、彼の体は近くの岩に激突。


『り、リンク!』

「リンク、ごめ…!大丈夫!?」

「だ、大丈夫……あー…蝶々が楽しそうにひらひらと〜……」

「Σ全然大丈夫じゃない!?しっかりしてーーーー!!!(号泣)」


これじゃ最初に会った時と何ら変わんないわよ!(4話参照)


「嬢ちゃんも大変だなー」

「そのまま逝け逝け〜!」


後ろで呑気に喋ってる二人!そしてその内の1人―――!!何を恐ろしいコトを言って……
…へ?【2人】

頭から噴水の如く血を噴出しているリンク(大丈夫か)を抱えながら、首だけを後ろに向けた。


「ダルニアさん!?」

「おう!さっきぶりゴロ!!」


そこにいたのは、ゴロン族の首領『ダルニア』。
どうやらキングドドンゴが起こしていた地響きが止んで、まさかと思い様子を見に来たらしい。


「それにしてもよくやってくれたなー!!ホントにオメエらは偉いゴロ!!」


気分がいいのかバシバシとリンクの背中を叩いてくる。あ、あ、あ!噴水が多くなった(汗)
あたしは叩かれそうになったけど背中の怪我が心配で上手く避け、サリアは睨みを利かせて叩かれるのを防いだ。


「こんなにちっちぇー身体でたいしたもんだゴロ。
それに比べて、あの黒き砂漠の民は卑劣な野郎だゴロ。精霊石をやらなかったぐらいでこんな大事起こしやがって…」

『!黒き砂漠の民!?』


あたし達が知ってる限り、そのワードが当てはまるのは只1人、

ガノンドロフを置いて他にない…


「(こんな所にまでガノンドロフの手が…あいつ、少しずつ世界征服を成し遂げようとしているのね)」

「だがお前らは違った!お陰で俺達の人間を見る目が変わったゴロ、今日からお前らは兄弟だ!!
さあ、兄弟の証としてこれを受け取れ!!」


ダルニアさんが天に向けて高く手を上げた。
頭上がカッ!と輝くと、彼の手に向かってゆっくりと何かが降りてきた。

赤い光を放つゴロン族の秘宝―――【炎の精霊石】だ。


ゆっくりと降りてきたものをようやく立ち上がるコトが出来たリンクに渡した。
二つ目の精霊石入手。


「ありがとう!」

「気にすんな、約束したもんは守らねえといけないしなゴロ」


ニカッと笑いながら頭を荒々しく撫でる。正に彼には兄貴という言葉が相応しい。


「これから俺達は兄弟だな!何かあったときは何時でも来るといいゴロ!!」


ダルニアさんの頼もしい言葉に頭を下げようとした時、彼の両脇に頭上からゴロン族が落ちてきた。
丸まっていた身体を戻すと、ゾンビのような体制で迫ってきた。


「今日から兄弟ゴロ〜」
「今日から兄弟ドロ〜」

「Σまたドロって言った!?」

「う、うわああああああ!!やっぱり怖いよ〜〜〜!!」


どうやら兄弟になった儀式みたいなもんらしいけど、迫ってくるのがあのゴロン族だから恐ろしい事この上ない。
最初の時の恐怖が蘇ったのか、リンクはまた身体を振るわせた。


「怖い怖い!!せ、迫ってこないで!!」

「むさ苦しい塊がサリアの舞に迫ってくるとはいい度胸ね。一発ちょこっと手を加えてデスマウンテンを噴火させちゃおっか。
あわよくば、サリアたちの妨げとなるリンク諸共ゴロン族の野郎どもを溶岩の中に陥れて排除…よしっ

ねえ舞ー!サリアの案どう思う〜?」

「果てしなく却下ぁぁ!!」


殺る気満々で恐ろしい事をのたまうな。何その「よしっ」っていうのは、殺る前の意気込み!?
意気揚々と言った感じで笑顔を振りまきながら話しかけてくるサリアに恐怖を感じつつ、がたがたと身体を震わせているリンクを勇ましく担ぐ。


「ダルニアさん、精霊石ありがとうございました!あたし達先急ぐんで、これで失礼しまああぁぁぁぁ…」(遠退いていく)


言葉が完全に言い終わる前に姿を消し、舞たちはデスマウンテンを下山した。
ダルニアも凄い速さに呆気に取られたものの、優しい笑みを浮かべて舞達の後姿を見送った。


「(頑張れよ、坊主達……)」










*****





++inハイラル平原++


「ゼハー…ッハーー……」

『お疲レ〜舞』


あのまま一気にカカリコ村も通過してしまい、勢いのまま走って行き着いたのはココ『ハイラル平原』
この旅で自分の肺活量が逞しく成長した事がイヤでも分かったような気がする…

何とか震えも治まったリンクも隣で溜息をついている。まああんなインパクト強いもん連続で見せられたらね。


「さてと…残る精霊石もあと1つ。と言っても、次は情報も何もないんだけど…」


頭をガシガシと掻きながらあたしは空を見上げた。
そんな視界にナビィが飛び込んでくる。


『ねえ、ナビィ思ったんだケド…この精霊石って女神様達の色を表してると思うんダ。
今まで手に入れたのはフロル様の色【森の精霊石】、ディン様の色【炎の精霊石】デショ?
だから残る1つはネール様の色―青。』

「青ってことは……水?」

『かナァ?ナビィはそう思ったんだケド』


う〜ん、でも確かにナビィのいう事にも一理あるわね。あたしはその女神様たちのコトよく知らないんだけど、今までがそうなってるなら試してみても正解かもしれない。


「リンクとサリアはどう?」

「僕よく分かんないから、ナビィの言うとおりでいいよ!」

「サリアもだよ」


二人からの了解も得たし、じゃあ今度は『水』ね。
意気込んで一歩足を踏み出した…のはいいものの。


「…………水って?」


水の多い場所なんて分かんないよ。
助けを求める視線を頭の上にいる妖精に向ける。


『水って言えば【ゾーラの里】…カナ?』

「ゾーラの里?」

「あ、サリア知ってる!ゾーラ族って言う特殊な種族が住んでるのよ!」


サリアが頬に指を当てながら思い出したように教えてくれた。そう言えば…確か、デクの樹サマの体内の時、デクナッツ3兄弟への脅しでそんな言葉言ってたような…(汗)
特殊な種族って辺りが気になるけど、でも物知りの二人がそう言ってるならそれでいいか。


「じゃあゾーラの里って所に行ってみようか。何処にあるの?」

「川を伝っていけば行ける筈だよ。ゾーラ族は世界中の水を管理しているみたいだから」

『丁度ソコに川が流れてるヨ!これを伝っていったらいいヨネ』

「?……??」


あたし達が話していると1人頭の上に?マークを飛ばしまくるリンク。大丈夫かねキミ…一応使命任されている身なのよ?


「何だかよく分かんないけど、兎に角この川を伝っていけばいいんだね!!」

「そういう事。じゃあ行ってみようか?
いい、リンク?あくまでも慎重に、冷静に行動するのよ?一人で突っ走っちゃ駄目よ?」


顔を覗くように問いかければ元気一杯に首を縦に振った。
デスマウンテンの時のように先頭をリンクが歩き、その後ろをあたしとサリアが歩いていく。


「でも…この川結構流れが速いわね。落ちたら危なそう」

「舞、あんまり岸に寄っちゃ駄目よ?」

「ん、大丈夫」


確かにあまり岸に寄り過ぎると川へ落ちてしまいそう。サリアの忠告を受け、大人しくあたしは彼女の横に位置着いた。

少しばかり道の狭くなった小道へ入る。
その時、草むらからゴブリンのようなモンスターが何体か現れた。それに気づいたリンクが逸早く剣を鞘から抜いた。


「二人とも下がってて!!」


リンクはあたし達から視線を外すと、一番近くにいたゴブリンに斬りかかった。3体くらいリンクの周りを取り囲み、はらはらしながらソレを見つめる。


リンクに気をとられてた所為か、サリアの後ろに背後から忍び寄ったゴブリンがこん棒を振り上げた。
それに気づいてあたしは振り返る。


「サリア!後ろ!!」

「!キャッ」


咄嗟に身体を動かし、サリアは横に飛んで避けた。こん棒はサリアに当たることなく、地面に向かって落ちる。

応戦をしようと、彼女も鉄パイプ(テツ子)を構えた。
サリアに敵の攻撃が当たる事無く、あたしは安堵の溜息をついた。


誰かが言ってたのに…どんな状況でも気を抜いてはいけないと。なのにあたしは、命取りとも言えるような隙を見せてしまった。


勿論都合のいい状態のあたしを敵が放って置くわけない。ましてや武器なんて持ってないんだから。

背後に何かの気配を感じ、目を見開く隙もなく…



ゴッ!!

あたしの後頭部に、ゴブリンのこん棒が振り落とされた。


「!!」


悲鳴を上げる間もなく、あたしの体はふらりとよろめき、


「―――あっ」


ばしゃーーーーん!!!

いきなり足ががくんとなり、次の瞬間には冷たい水の中に足を踏み外してダイブ。音に気づいたリンクとサリアが振り返る。


「舞!?…くっ」


こっちに向かおうとしたけど、邪魔をしてくるゴブリンに手を焼いていた。いかん…このままだと溺死してしまう。何とか自分の力で岸に上がらないと……

だが頭の急所を突かれたのか、あたしの意識は朦朧としてきた。どんどん体の感覚もなくなっていく。




「舞―――――!!!」




薄れてゆく意識の中、リンクの叫び声に似た声が聞こえた。




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