16.変態退散!!



青が広がる広大な空。その中にある一際輝く太陽が、同じ青色を宿す湖を照らす。


その中にある4つの影が、波紋を広げながらぷかぷかと浮かんでいた。





「お主らには本当に感謝しておるぞ、有難うゾラ」










変態退散!!





話しの冒頭から分かったかもしれないけど、あたし達はあの後無事ジャブジャブ様の中から脱出した。
今はジャブジャブ様の周辺にある湖の真ん中。


初めてこんなに深い湖を見たリンクははしゃぎ、サリアはそれをチャンス☆とばかりにテツ子を構え、今あたしはナビィと共にルト姫と対面している。


「皆が無事に抜け出せたんだもの、こっちとしても本望だよ」

『ルト姫、早クお父さんのところに戻ってあげテネ!』

「うむ。じゃが、何かお礼をしなければならないの…」


スイー、と水に波紋をたてながらリンクとサリアがこっちに戻ってきた。


「お礼なんていらないさ!そんな気を使わなくていいよ」

「そうよルト姫。気にしないで?」

「ふっ…そんな事言って、お主らの顔には欲しいと書かれておるゾラ」


何もかも見通したかのような笑みで、ルト姫があたし達を視線で射抜く。
確かにあたし達は彼女から欲しいものがある。

それは第3の精霊石であり、最後の石、【ゾーラのサファイア


でも、言いにくいことこの上ない。自分の身を呈してまで必死に探していた大切な母の形見。それをくれなんて言えるものじゃない。

だがそれをものともせぬ、空気も切り裂きそうな言葉をさらりと言ってのける少女がここに。


そのサファイアを頂戴


ピシッ

場が彼女の一言によって凍りつく。


「さ、サリア!この空気を読んでの言葉を選んだの!?」

「勿論!でももたもた言っても伝わらないものよ。ここはスパッと言ってスパッと斬って邪魔するものは全て排除のノリでいかなきゃ!!」

しちゃ駄目よそんなノリ!!
ああごめんなさいルト姫、あの…サリアも悪気があって言ったわけじゃ…」

「分かっておる、それに、その言葉が真実だという事もな」


ルト姫は口元に笑みを浮かべ、瞳を伏せた。
彼女の言葉に首を傾げつつ、リンクに近寄っていく彼女を静かに見つめた。


「リンクよ…わらわを身を呈してまで守ってくれた事、誇りに思ってよいぞ」

「?うん」

「この【ゾーラのサファイア】は、母上からもらった形見なのじゃ。
じゃが、お主らに捧げるなら心残りはない。」


ルト姫は、【ゾーラのサファイア】を愛しそうに、寂しそうに見つめる。


「これを渡していい時は、わらわのフィアンセを見つけた時だけと言われておるのじゃ。
言わばこれはゾーラ族流のエンゲージリング。」

「えんげーじ、りんぐ?」

「あらまー」

キャ〜!

「ありがたく受け取るのじゃ!!わらわはそなたに授けるぞ!」


水面を移動し、ダルニアさんの時のように手を天高く掲げた。
頭上がカッ!と光り輝き、湖に反映するかのような青い光がリンクの手元に下りてくる。

両手を差し出すと、光り輝くモノは光を弱めストンと手に落ちた。


3つめの精霊石【ゾーラのサファイア】ゲット!!


「っ!ぃやったーーーー!!これで全部揃ったぞ!!」


本当に嬉しそうに、リンクは水をバシャバシャとならせながら体を跳びはねらせる。
遠まわしに結婚申し込まれたの気づいてないのかねあの子は(汗)
でもよかった…確かにこれで全部が集まった。


「(これであたしも…元の世界に帰れるのよね)」


やっとお母さん達に会える。いや、仕事ばかりで会える確立なんて無に等しいけれど。


「舞」


いつの間にか、舞い上がっているリンクから離れてルト姫があたしの許に来ていた。


「どうしたの?」

「これを受け取って欲しいゾラ」


あたしの手を取り、手のひら大の真珠を渡した。
中には見たことのない変わった色の珊瑚が入っている。


「これは?」

「その名の通り、珊瑚の真珠ゾラ。それを煎じて薬にするがよい、お主の背中の怪我もたちまち治るじゃろう」


へ〜…見た目が綺麗だから煎じるなんて中々勇気がいる!
アクセサリーかと思ったからね(汗)











「……わらわは、この里の姫君ゾラ」

「?」


ふとルト姫が瞳を伏せながら口を開く。


「【姫】という特別な存在のため、周りの者達も特別な扱いをするのじゃ」


一かきする度に、水面に波紋が広がっていく。


「だから、同じ身分に見られることがなかったゾラ。それが悲しかった」

「…そうなの」

「じゃが、わらわがそなたと初めて会った時、わらわから突き放したにも関わらず、モンスターに襲われているところをおぬしが助けに来てくれた。」







「嬉しかったゾラ。バリネードにやられそうになった時も、必死に助けようとしてくれるお主に、わらわは心の底から感謝しておる」


「ありがとうゾラ、舞」







「ルト姫…そんなのいいのよ。
あたしも、ちょっとの間しか一緒にいられなかったけど、楽しかったから」


あたしの言葉にルト姫は頬を赤くして優しく笑った。
あたしもつられて微笑む。


その後は何も言葉は交わさなかったけど、あたし達はどちらからでもなく強い握手を交わした。


















わらわは、初めて恋をしてしまった。その相手が、まさか人間だとは思わなかったゾラ。


できる事ならもっと近づきたい。そう思う心もまた事実。


じゃが…分かっておる。リンクが、舞に惹かれていることぐらい。

本人は気づいておらんかもしれん、もしかしたら本当はそう思っておらんかもしれん。


わらわはそれを望んでおるが…じゃが、それが彼らのとっての幸せであるのなら、わらわは黙って見守るゾラ。


わらわはリンクと共に、舞の事も好きなのじゃからな。

彼女はわらわの、初めて出来た良き友ゾラ……


















*****




++inハイラル平原++


「さあ後はこれをゼルダ姫の許に届けるだけだね!!」

『ウン!』


ようやく3つ揃った女神様の力を宿す【精霊石】
それを届けに、今2人と1匹が宅配に行きます(宅配違)


「それにしても、サリアも気の毒よね。ココで帰っちゃうなんてさ」

「そうだよな。森の様子が気になるって言って帰っちゃったけど…」


そう、サリアはコキリの森が気になって故郷の森に帰ると言った。
あまり離れてなかったことが幸いで、彼女はあまりモンスターに出会わずに向かえただろう。

折角ゼルダ姫と会えたかもしれないのにね。


『………』

「ナビィ、どうしたの?」

『空が…空が暗イの』


彼女の言葉通り、何故か今日の空には黒雲がかかっている。
一雨きそうね…


「大丈夫、城下町までは多分降らないから」

『ううん、そうじゃないノ。何ダカ不気味な感じ…』

「不気味?」

「あれ?ねえ、門が閉まってるよ!!」


ナビィの言葉ばかり気にしてたものだから、前方に見える建物に目が行かなかった。
まだ夜にはなってない、それにも関わらず門はしっかり閉まっていた。


「おーい!誰か開けてよ〜〜〜!!」

『ダメね。完全に閉まっテる』

「うーんそうね〜、こういう時は…リンク!オカリナ出して!」

「え?う、うん。
…(ゴソゴソ)…出したよ?」

「レッツサリア召喚

『Σやめテーーーー!!』


やっぱり駄目?(駄目)
あたしの頼みに天然少年がオカリナを吹こうとした時、タイミングよくも門が開いた。


「あれ?開いた…まさか門自体が意思を持ってたり?」

それはそれでまた怖いネ…(汗)』

「じゃあ中に……」


入ろうと一歩リンクが踏み出した時、城下町からひづめの音が聞こえてきた。
確認しようとした矢先、それ自らこっちに向かってきた。

それは白い白馬。そしてそれに跨るのは2つの影。


「―――舞!!」

「ぇ…ゼルダ!?」


ハイラル王国の王女ゼルダと、馬を操るインパさんが見えた。
ゼルダが手を伸ばそうとした時、インパさんが何かに気づき馬のスピードをあげた。


「っ!舞、これを!!」


何処からか出した、両手サイズのものを取り出し、思いっきり投げた。
豪速と変した物体は流星の如く飛んでくる!


ゴンッ!!

そのまま見事リンクのおでこにヒッツ。
しかもバウンドして、上手い事ソレは水の中に落ちてしまった。


…………。だ、大丈夫?リンク」

「ぁいって〜…(涙)」
『い、今回復ヲ!』


今狙って投げたのかなあの人。物凄いコントロールの良さに目を奪われる。

通り過ぎていったばかりだというのに、何故か馬の鳴き声が近くから聞こえた。


「ちっ、逃がしたか…」


ビタッッ!!
ちょっと待って…今の声は何だか聞き覚えがあるわよ?
しかもあまり好くない記憶しか残らない声が……


「まあいい、直に捕まるのだからな。」


意を決してリンクに続くように顔を上げる。
そこに現れたのはあたしの会いたくない奴NO.1の男


「おい、小僧!と我が妻


いつぞやの変態でたーーーーーーーーー!!!!!


「な、お前は…!!」
「(ボソッと犯罪言うな犯罪を!)」

「今白馬を見た筈だ。どっちへ行ったか教えてもらおう!!」

「っ、誰がお前なんかに教えるか!!」


リンクは背中に掛けてある短剣を引き抜いた。
威勢のいい姿に喉の奥でくくくっと笑う。


「庇いだてする気か…面白い、いい度胸だ。
邪魔をするというのなら、お前を倒してマイプリンセス、愛しの舞を我が物に!!!」

「彼が庇いだてしてるのはそっちじゃないわよ」


頭のネジが数本どころか数万本抜けた魔王参上。
リンクはガノンドロフの言葉に気がついて、あたしを庇うように前に立った。


「ほう…」

「リンク!危ないわ」

「舞に手を出そうとするなら…僕が許さないぞ!!」

「やるのか、この俺と…面白い、気に入ったぞ!」


Σとうとうそっちに手を出し始めたか!?
何だかいろんな意味でリンクの方が危ないと感じた時、ガノンドロフの手のひらに何かが集まりだした。
ナビィが危ない!と叫ぶが聞こえた途端


ドンッ!

「がぁっ!?――――っ!!」

「リンク!?」
『リンク!!』


発せられた光の力により、リンクの体が吹き飛ぶ。そのショックでオカリナが手元から落ちる。
町と平原を繋ぐ門に設置されている岩に頭を打ち、ずるりと体が落ちた。


「他愛もないな…」

『チョット!あんたリンクに何すんのヨ!!』


落ちたオカリナを持ってリンクの許に駆け寄る。
仕返しとばかりにナビィがガノンドロフに突っ込んでいく。


「邪魔だ!」

『キャッ!?』


いとも容易く、ナビィでさえも軽くあしらわれ、彼女の体の光が薄れ、地に落ちた。
慌てて足元に落ちているオカリナを持って、両手で包むように彼女を拾う。


「ナビィ!だ、大丈夫!?」

『うっ…舞、ゴメ……』

「ふんっ…これで邪魔者がいなくなったか」


ガノンドロフの声が背後で聞こえた。
考えるよりも先に体が動き、ナビィを下ろしてリンクの短剣を奪い、それを両手で構える。


「ほう?」

「こ、これでもリンク達と旅してるんだから。
あたしだってやろうと思えば出来るのよ!」

「強がるんじゃない。剣先が震えているぞ。
慣れない物に触れた者が、実戦で上手く使いこなす事は出来ないぞ」


確かにガノンドロフの言うとおり、あたしの体は震えている。


「変態魔王が知ったような口聞かないで!!
彼らにこれ以上傷をつけたら許さないわよ!」

「ふむ…敵対する夫婦が涙ながらに剣を交わし、愛を深めるというシチュエーション……いい!!!
萌える!!

「おっさんが萌える言うな!!
深めるも何も愛なんて微塵もないんだってば!」

「やめろ……っ、舞に…手を出すな…!!」


頭を強く打った所為か、あまり力の入ってない体でリンクがガノンドロフを睨んでいた。
それに気づき、さっきと同じ技でガノンドロフが止めをさそうとする。


「あっ!」

「……まあいい。今日のところは助けておいてやろう」


「小僧!俺の名を覚えておくがいい…オレの名はガノンドロフ!世界の支配者となるものだ!!」


凄く威圧のある奴の声に、空気がびりびりと揺れる。
それに唖然としてる内に、ガノンドロフがひょいっとあたしの体を抱えた。
げっ!?


「なあっ!?ちょっ、何すんのよ!」

「舞!!」

「貧弱なお前には不釣合いだ、舞は俺が頂いていく。
そこで自分の無力さに嘆いていろ!!」


ガノンドロフが乗ったのは、ゼルダ達の乗っていたのとは正反対の黒馬。
抵抗するが虚しく、あたしは敵わずに乗せられた。


「離してったら!おっさん犯罪犯そうとしてるのよ!?」

「ふふふふ…ココからが俺達の薔薇色人生の始まりだ!」

何処かの詩人かおのれは!!
ヒィッ!?なっ、ちょっっ!気持ち悪いっ!人の尻触るな!!
いーやーだーーーー!!!」


完全に馬に乗ると、黒馬は一度高く鳴き声をあげる。
そのままひづめを鳴らし、黒雲の一層暗いところへ向かって走る。


「嫌だこんなの!!あたしはリンクという美少年がいるというのに!ナビィという癒しの存在がいるのに!!こんなキチガイまがいのおっさんと愛の逃避行だなんてっっ!!」

「俺はお前に会うためだけにココまで頑張ってきたんだぞ!!
いつかはお前のファーストキッスを!
いつかはお前の処女をとろうと思って、ココまで這い上がってきたのだ!!!」

既に犯罪実行宣言!?
いゃぁやぁぁぁああ!!リンクぅぅぅ!助けて!!ヘルプミーーーー!!」




―――…舞が……僕を呼んでるっ

「あ…舞……」


弱弱しくしか伸ばせない手は直ぐに地面に落ちた。
遠くで怖さのあまり涙を流しながら助けを呼んでる彼女の姿が、見えなくなってしまう。


それは間もなく僕の意識が落ちてしまった証拠。















「(あ``あ``あ``あ``…何であたしがこんな思いでこんな野郎と一緒に乗らなくちゃいけないのよ!!)」


只今元女子高生が(直ぐ後ろにいる男に)怖さのあまり(そりゃ嫌でも流れる)涙を流しています。
今自分の貞操に危機を感じるしかない。


「ふっ、俺の夢がこんなに早く形となるとは思わなかったぞ」

「あたしだってこんな現実認めたくないわよ…」

「認めたくないほど嬉しいのか!?全くお前は…可愛い奴だな☆


そう言いながらおっさんが人のおでこをツン☆としてきた。

……………ぶほっ(吐血)


「気持ち悪いわあああああ!!!」


つい嘔吐しそうな勢いが体にまで影響して、あたしの体は馬から振り落ちた。
それに気づいたガノンドロフも馬と共に止まる。
そのまま走って行ってくれれば良かったのに…!!


「おでこが…おでこが汚れた!」

「嬉しかったからってそんなに悶えるんじゃない。興奮するだけだぞ

「語尾に☆つける勢いで何言ってんのあんたは!
って言ってる傍から人を組みしかないでよ!!」

「世界征服を成し遂げる前に、ココで俺達の子供を作っておくか…v

人の年齢考えて言ってんのそれは!?


広い草原が広がる中央で、今わたくしの貞操が奪われつつあります。
ああもう!誰でもいいからどうか…どうか助けてよ!!












――――――――








―――ゴオォォン…


『ココが…時の、神殿……』


白一色で染められた神聖な建物。
その昔、此処に女神様達と賢者様たちが力を留めたと言われている。


「…っ」

『リンク!まだ、頭痛ム?』

「平気だよナビィ。それより…早く封印を解いて、舞を助けないと……っ」


途切れる意識の目前、彼女の姿が見えたのを覚えている。
悲しくて、恐怖と不安に包まれた負の表情。

きっと今も、怖がっている。僕達の助けを待ってるんだ。


『そうネ…さ、あの台座に精霊石をはめ込んデ!【時の歌】を奏でるのヨ!』

「うん!」


目と鼻の先に見える立派な造りの台座。
そこにある窪みに【コキリのヒスイ】【ゴロンのルビー】【ゾーラのサファイア】をはめる。

2、3歩そこから離れて僕はゼルダが投げてきた【時のオカリナ】を口にする。

小さく音を奏でるのは―――【時の歌】


ゴゴゴ……


時の歌に反応して、前方にあった壁が消えた。
壁のなくなった向こう側に見えたのは、また違った形の台座と、つきたてられた剣。


『あ、あれは…伝説の剣【マスターソード】!!』

「マスター…ソード?」


台座につきたてている剣、ナビィが伝説の剣って言ったけど。
これを取れば…舞を助ける事が出来るかもしれない。


『リンク、抜いテ!マスターソードに力を借りるのヨ!!』

「ん…」


ドキドキとなる鼓動が響き、僕は両手を剣の柄に翳す。
集中するため、目を閉じる。

脳内に浮かぶのは、舞の笑顔と…あの悲しそうな顔。


「お願いだ…どうか僕に、彼女を……舞を守る力を僕に…!!」


全身の力を込めて、台座から剣を引き抜く!
青い光が僕の周りを取り囲み、僕の意識を奪っていく。


これで…舞を、守れる力が……







――――――――



[一方その頃、ガノンドロフに連れ去られた舞は…?]




「ぬぎぎ…!い、いい加減諦めなさいよね変態魔王!!」

「この美しく白いすべすべした肌を目の前に諦めるものか!!観念して抱かれろ!

「あんたの部下にも一人や二人いるでしょうが!!
今の年齢からしてあんたヤバイ事しようとしてんの分かってる!?」

「元々はピチピチの17歳だろう?」

ピチピチは余計よ。
それに17だとしても10だとしても、あんたがこのまま犯罪犯したらロリコンの領域に入るのよ!!」

「俺達の愛があればそんなものも砕けるさ☆」

「ぬぉ!?の、喉元から何かがこみ上げてくる…!!


[未だに格闘中。]

だってこのおっさん諦めてくれないんだもの、いい加減自分の過ちに気づいて欲しいんだけど!!
けれどやはり男と女では力の差が現れるもの。変態魔王の汚い顔がどんどんと近づいてくる!

もう駄目か…!?こ、こんな事ならリンクとかサリアとかゼルダとかで満たしとけばよかった(それこそ犯罪)





―――――カッ!!

「!!」
「な、何!?」


突然ハイラル城から光が指した。
天に向かうように真っ直ぐと、神々しく輝く大きな光が…


「あれは……そうか、あの小僧!」


何かに勘付いたガノンドロフが怪しく笑う。キモさがアップですよ。



ヒュッ!

「!ちっ」


ガノンドロフがあたしの上から退いた。
体を起こそうと思ったら、頭上を何か細長いものが飛んでいった。

こ、殺される…!?


「貴様ら…こんな時にっ」

「……」


飛んできた方向を見ると、そこに数人の人影が見えた。
あの構えからして…今のは矢?

ガノンドロフは虫を噛み潰したような表情をすると、一度舌打ちした。
そのまま身を翻し、さっきの黒馬にまたがる。


「邪魔がはいったな…次こそは必ず我が物にするぞ、舞!!」

「に、二度と来るな!!」


馬が高々く鳴き声をあげる。さっき来たばかりの道を戻って、奴はあの大きな光に向かって去っていった。

た、助かった……


「そ、そうだ!今は早く、リンクの許に行かなきゃ…!」


あたしはスカートについた誇りを払い、彼の許に行こうとした。
だけど、肉体的疲労が襲い掛かり、足の膝ががくりと折れた。

「ぁ…」

そのままうつ伏せになるようにその場に倒れる。
こ、こんな所で寝たら風邪引くわよ自分(そこじゃない)

まるで意思に逆らうように、あたしの瞼はどんどんと落ちていく。

足音が近づいてきている気を感じながら。









リンク、ナビィ………―――。








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