17.暴走!暴れ馬





いつの間にか、キミと一緒にいるのが当たり前になっていた。


いつの間にか、キミと笑い合うのが自然体になっていた。


いつの間にか、キミが隣にいてくれることが日常となっていた。




知らないうちに、キミが傍にいてくれることを願っていた。

気づかないうちに、いつの間にか、二人の間が引き離されていたんだね。









暴走!暴れ馬







前回までのお話のあらすじを、貴方は覚えていますか?
申し遅れました、あたしは元女子高生であった者です。あたしはリンク達の許へ行こうとした時、疲労が勝りその場で倒れた。

で、その後どうなったかって?


「なーんであたし牢屋に入れられてるのかね」


その名の通り、監獄行きの身となりました。
ちょ、何でこんな事になってるの?監獄行きは寧ろあたしじゃなくてあの変態魔王でしょ。

頭の中でぐるぐる疑問が回る。


「誰かー!あたしは無実なの!ココから出してよ!!」


ガシャガシャと鉄格子を揺らす。動きを止めれば石造りの部屋は静まり返った。
誰もいない…溜息をついてあたしは鉄格子から手を離した。


「こんな事なら、あの時意地でもハイラル城の方に向かってれば良かった…」


リンクもナビィも、無事でいてくれれば幸いなんだけど。

あの後、ガノンドロフが何かに気づいて馬で走り去っていった。あの方向にはリンク達がいるから、何かされているのかもしれない。

それに、ガノンドロフが去っていく前には、ハイラル城下町から大きな光だって現れた。
そう言えば…あの大きな光は何だったの?


「ん〜…謎が謎を呼ぶ」

「あんた、目が覚めたかい?」


前方からエロ美しい声が。
あたしの体は正直者で、直ぐその美声に反応して顔を上げた。そう、私は腐った女の子(ふふん)

そこにいたのはこれまたエロい格好をした女性。
いや、エロにもいかないけど…


「ど、どちらさんでしょうか?」

「あたいかい?あたいはナボールってんだ!このゲルド族の首領を務めてるのさ。
そういうあんたこそ名前を教えてくれないか?」

「あ、あたしは舞です。
と、ところでナボールさん、1つ聞かせてもらいたいんですが…なんであたし牢屋にいれられてるんでしょう?」


今一番の疑問点をぶつけると、ナボールさんは些か真剣な顔になった。


「あんたが、ガノンドロフの仲間かもしれないからね」

「……………………………………………はい?」

「偉い間が空いたね。
ま、言葉どおりさ。あんたがあいつの仲間だと大変な事になるしね」


えーと…つまりあたしはあの変態魔王の手先か何かと思われてて?
ましてやあの野郎の仲間だと思われてたりなんちゃったり……?


「ナボールさん、冗談でも止めて下さい」

「冗談なんかじゃないさ。これは本気だよ」

「もっと性質悪いですよ!
よく考えてください、こんな人間の女の子供があんな奴の仲間だと思います?少なくともあたしはお断りさせてもらいますよ。
あたしはあんな厳ついマッチョで人の貞操奪おうとしたロリコン変態親父なんかに靡きません。否、靡きたくもありません!!
あたしが好むのはナボールさんのようなセクシーな大人の女性か、ルト姫のようなツンデレ娘、
もしくはリンクという超美脚美顔な天然且お間抜けな美少年だけですよ!!」


あたしは熱の篭もった説得をした。
その際、鉄格子揺らしながら話したもんだから既に鉄格子が取れ掛けに。
あたしの腐女子魂がココまで影響するなんて…我ながら吃驚ね。


「(ルト姫?リンク?)…ど、どうやらあんたはあいつの手先じゃないようだね。
あいつの部下なら先ずそこまで否定しないよ」

「分かってもらえて光栄です…(ほんとに)」


心の底から安堵の溜息をついた。
あたしの中で、奴の部下と思われる=妻と認められるという妙な方程式がなりたっているから。


「そうと分かればこんな所に押し込んで悪かったね。今出してやるよ」


ナボールさんはズボンのポケットから取り出した鍵で牢を開けてくれた。
脱獄犯の気分だ。


「ありがとうございます!」

「いやこっちが悪かったんだからね。気にすることないさ。
でもあんた、それなら何であんな奴と一緒にいたんだい?それに、その若さからハイラル平原にいるなんて考えられないんだけど…」


確かにあの平原にはあたし達意外に子供どころか大人さえ見なかったから、きっと珍しい事なんだね。
ナボールさんになら、話しても大丈夫だろう。

あたしは今までの事を全て話した。
あたしが旅をしている事、あいつと一緒にいた成行き、そしてリンクとナビィという仲間の事も。


流石に王家のことや、精霊石の事はまずいかと思って伏せておいたけど。


「成る程ね、じゃああいつは仲間がやられた隙にあんたを連れ去ったと。」

「そう、なりますね」

「…多分、大丈夫とは思うけどね。あいつ、人をなぶり殺すのはそこまで好きじゃないし。
直にあんたの仲間も目が覚めて、あんたを探しに回るだろうさ」

「…?ナボールさん、その言い方だとガノンドロフの事よく知ってるみたいなんですけど」


あたし達は今、話しながら移動している。
何やらあたしの今日の寝床に案内してくれてるらしい。


「そりゃそうさ。あいつはあたい達と同じゲルド族なんだからね」

「同じ?……ええぇぇぇ!!?」


驚きの事実が判明。あ、あのガノンドロフがこんな素敵お姉たまと同じ種族だと!?
ま、まあ確かに似てる所もあるけどね?例えば肌が黒いところとか、天狗の如く鼻が高い事とか。


「そこまで驚くかい(汗)あたい達ゲルド族は100年に1人しか男が産まれてこないんだよ。
だから産まれてきた男は必然的に王になれるのさ」

「はあ…あいつも一応凄いんですね〜」


あの身形だけだと確かに納得できるけど、生憎中身の大事な部分が虫食いされてるからそうも見えない(汗)


「でもあたしはあんな奴、王とは認めないよ!あんな悪に染まりきった奴、このゲルドの谷の王なんかには認めないさ!」

「そうなんですか。…まああんな奴が王になられても困りますしね」

「お、分かってくれるのかい?」


ええ、そりゃーもう。いろんな意味で理解できますよって(汗)


「ココがあんたの部屋だよ。生憎砦だからあんまり物がないけど、ゆっくりしてくれ」

「有難うございます!」


あたしが案内された部屋は、本当に何も置かれてなくて吃驚した。
けどちゃんとベッドはあるし、風通しを良くする為にある窓も大きくて別に支障はなかった。


「そうだ、舞。あんたの仲間が来るまで、此処に身を置いておいたらどうだい?」

「え?」

「あんたは女だから別に問題ないし、明日になればもう仲間が目を覚ましてあんたを探してるだろうからね。
無闇やたらにあの広い平原を走り回るのも危険だしさ」


ナボールさんはそう言って笑った。
彼女の言うとおり、もし明日目が覚めて城下町前まで行っても、もうリンクはいないかもしれない。
何より先ず、丸腰なあたしがそこまで行って無事でいられるかも分からない。


「もし、お邪魔にならなかったら…」

「畏まらなくていいよ。子供のうちは甘えておきな!
じゃあ砦の仲間達にあんたの事を言っておいてやるよ。これからはあんたもあたいらの仲間だ」


母性のように優しい笑みを浮かべるナボールさんに笑みが零れた。
もう疲れているだろうからと気を使い、彼女は「おやすみ」と言って部屋を出て行った。


「(おやすみか…そんな事言ったの何年ぶりだっけ)」


部屋の隅に取り付けられたベッドに向かい、シーツを軽く直した。

ベッドのすぐ近くにある大きな窓から、満月が姿を覗かせた。リンクとナビィも、あたしと同じものを見てるのだろうか。

彼らに会えないことで、不安が募る。


「元の世界に帰るのも…また先になっちゃったな」


少しばかり落胆する気持ちを隠すように、あたしは布団に包まった。
大きく息を吸い込んだら、シーツから風の匂いがした。

すぐにいままで溜まっていた疲れが出てきた。あっちの世界では眠くてもすぐに眠ることができなったのに、あたしはすぐに目を閉じる。

数分と経たないうちに、あたしの意識は夢の中へと引きずり込まれていった。











****






夢を見た。それは何だか変な夢。


夢の中に…そう、リンクが出てきたわ。でも彼は、青いクリスタルの中で瞳を閉じている。

―――眠っているの…?

彼の近くで、威厳のある老人もいた。
その老人は酷く慌てていた。どうして?何に慌てているの?


老人の目線の先に、あのマッチョまでいた。奴は不気味にくくくっと怪しく笑ってた。


―くくくっ…感謝するぞ小僧!!―


ガノンドロフの腕が伸びた。それが光輝くものを掴む。

だけど、光は一瞬奴を拒み、ガノンドロフはそれに目を細めた。


―これは…!?―

―貴様なんぞにトライフォースは渡さん!!

神の力授かりし聖三角よ、今その身を砕き、真の主の許へと向かいたまえ!!―



老人の言葉に反応して、金色に光る『三角』が一層輝きを増した。

ガノンドロフがその眩しい光に目を瞑り、その隙に1つがリンクの体に宿った。



ガノンドロフは目を細め、手を伸ばす。

掴み取れたのかは分からない。そこであたしの夢は途切れたから……











****





時間の流れとは早いものね。
陽は既に上がり、顔に直接当たる光を遮るため、自分の右腕を額に翳す。


「トライフォース……」


夢の中に出てきたワードを口に出す。
神の力を授かる『聖三角』、トライフォース。確か…デクの木サマがそんな言葉言ってたような。
それにゼルダも……


「……ダルイ…」


疲れがまだ取れきってないのかな…


カツカツカツ……


「お?おはよ!よく眠れたか?」


入り口でこちらに手を振る女性。
えーと、確かあの人は……


「ナボールさん…?」

「ははは、まだ寝ぼけてるようだね。
それにしてもよく寝たね〜、もう昼時だよ?」

「今、起きます…」


まだダルイけど、それでも体に鞭打ってもそもそと布団から這い出した。
大きく手を伸ばして大欠伸。眠い目を擦って少しずつ頭を覚醒させる。


「そうだ、舞!あんたに仲間になった証としてプレゼントをやるよ」

「え?プレゼント…?」


皺くちゃになったシーツを直していると、思いがけない言葉がナボールさんより発せられた。
証なんて…あたしは只甘えさせてもらっただけなのに。


「と言っても、あんたに任せようと思って、って言った方が正しいかもね。
ちょいとあれを頼まれてほしいのさ」


そのプレゼント?らしきものを渡すからと言われ、あたしはナボールさんに連れられて行った。
石造りの砦は、見た目が全部同じように見えるから覚えにくそうだな。
慣れるしかないわよね…


「ナボール様、おはようございます」

「ああ、おはよう」

「その娘が、昨日言っておられた者ですか?」

「そうだよ、これからよろしくやっとくれ。舞ってんだ」


前方からセクシーなお姉さま方が数人。本当に言っておいてくれたんだ…うわー、緊張する。


「は、初めまして!あの、改めまして舞って言います。これから暫く、お、お世話になります!」

「そんなに硬くならないでいいよ。これから仲間なんだからさ」

「そうだよ、何か分からなかった事があったら気軽に聞いてきな!」

「あ、ありがとうございます!!」


思ったより優しそうで安心した。見た目が少し怖そうだから…(汗)
軽く挨拶を交わすと、あたしとナボールさんは砦の外へと出た。


「お、大きいんですね〜…」

「そりゃそうさ。此処は砂漠の近く、あたし達だけじゃもったいないって思うほどだよ。
さ!こっちだよ、着いといで」




ナボールさんが連れて来たのは、少し大きな石造りの小屋。
門番であろう、ゲルド族の一人に断りを入れて中へと入った。



中は蜀台があるものの、灯を点けられてない為真っ暗だ。
暗くて視界が悪いが、よく見ると何かを抑えるように低い柵がつけられている。


「こいつをあんたに任せようかと思ってね」


ナボールさんが持ってきた火が蜀第に翳されて光が生まれる。
見えなかった小屋が一気に明るくなり、そこに生き物がいたことに気づいた。


「これ…馬…?」

「そ、それも子馬」


柵の内側にいたのは、赤を含んだ茶色の毛並みに、銀のたてがみを靡かせる子馬がいた。
でも吐く息は弱弱しく、何故か体には包帯のような布を巻かれていた。


「この子馬、昨日あんたが来る前に迷い込んできたのさ。
この取り付けられている装飾物からして、多分牧場から逃げてきたんだろうね」

「包帯…怪我してるんですか?」

「まあね。あの魔物だらけの平原を走ってきたんだ。此処に来たときは死にそうな程ふらふらだったよ。
あの平原を越えて生きてただけでも奇跡に近いさ」


ハ〜…でも確か、あたし達がゼルダ姫に会いに行く時に会った、マロン?だっけ。
あの子、確か牧場から来たって言ってたけど…


「(あの子の所の牧場からか)」

「どうだい舞、折角だから馬に馴れてみるってのは。」

「で、でもこの子馬って牧場の馬なんですよね!?勝手に馴らしちゃ駄目ですよ」

「あたいもそれは思ったんだけどね、でもこの子馬凄い威嚇してきてさ。
牧場に連れて行くにもどっちにしろ馴らさなくちゃいけないだろ?」

「…あのナボールさん、あたし馬扱った事ないんですよ?」

「ん、大丈夫さ!あんた結構根性ありそうだし。
それに、この大きなハイラル国を回るんだったら歩くより馬の方が速いだろ!」

「いや、そうじゃなくて。威嚇する程の凶暴馬をあたしに扱わせるという無茶に文句言ってるんですよ」

「うん、まあそこが一番の狙いなんだけどね」

「Σあたし利用されてるじゃないですか!!」


何という無茶を!だって馬なんて写真とか絵でしか見たことないんだもの。
ましてや触れたこともない、そんなドが付くほどの素人に暴れ馬を!?

しかもあたし、馬には嫌な思い出しか残ってな…!!(9、10話参照)

唸りながらあたしは一方的に馬を睨む。


「大丈夫だよ、馬って言うのは最初は警戒心が強いけど、1度懐いたら後は慣れだけさ!
相手は子供、あんたにピッタリだろ?」

「いや、まあ…そうかもしれませんが…」

「あ、悪い!あたいこれからちょっと仲間達と行かなきゃ行けない所があるんだ。
悪いけど、何とかこの子馬と馴れときなよ!」

「ええ!!ちょ、ナボールさん!?」

「大丈夫、何かあった時はここの入り口にいる奴に話したらいいから!」


清清しくもじゃ!と言ってナボールさんは小屋から出て行く。
あたしはその場で固まったまま思う、

どうしろと?


「馴れろって言われたから…こ、此処は自分から積極的にね」


自分の中でそう勝手に決めて、意気込みながら子馬に振り返る。
やっぱり苦しそうにしている。


「えーと、どうもこんにちは?」


馬相手に挨拶ですか自分。
子馬は見向きもせず、何だか溜息をついたように見えた。

くぬ野郎…


「ねえ、貴方…」


傷大丈夫?と聞きながら触れようと手を伸ばした途端、子馬の目つきが変わった。
警戒してる、動物独特の威嚇の証拠だ。

あたしの腕は呆気なく後退(駄目やん)


「む。流石ナボールさん達が手を焼くほどの凶暴馬。
でもあたしは負けないからね!といっても何すればいいのか分かんないんだけど」


う〜〜ん…馬に気に入られるには何をしたらいいのかしら。
やっぱり此処は人間と同じようにご機嫌を取るとか?よしよし…


「美しい子馬さんよ、俺とお茶でもどうですかぃ?」


キザっぽくささっと薔薇を取り出しながら(何処から)
子馬はじっと見つめる。お、これは成功か!?と思って…


パシッ

…………。
子馬が鼻であざ笑いながら遠い目をして前足ではたいた。
失 敗 で す か

むっとしながらもあたしは次の手を考える。


「お客さ〜ん、今なら懐くだけで3980(サンキュッパ)とお買い得のぉ!」


パシンッ(子馬に叩かれる)



………。


「今ならお得で万能ナベと万能包丁も!!」

パシンッ

「子馬ちゃん!お母さんが迎えに来たわy…」

パシンッ

「どうか…恵まれない哀れな私に愛の手をぉぉぉ…」

バシンッ


「いい加減にしろーー!!子馬の分際で偉そうにすんじゃないわよ!」


とうとうあたしの堪忍袋の緒が切れた。
人が下手に出てりゃ調子こきやがって、もう許さんっ
人間様の素晴らしさというものを教えてやる!!

此処はもう力づくということで、あたしは柵を飛び越えて子馬に跳びかかった。


もちろん子馬は驚いて鳴き声をあげながらどたんばたん暴れる。


「いたっ!痛い!ちょ、天井が低いから連打でぶつか…(ガンッ!!)はぐあわぁっ!!」


やっちゃいました。
一層高く跳びあがった子馬により、一層強く頭を天井にぶつけた。

ずるずると力なく馬の上から落下ー



「ぜ、絶対に懐かせてみせる…!!」



馬に対しての闘争心Partツー。






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