25.地震!雷!火事!ゴロン!?




――――もう、大丈夫。


過去を受け入れた勇者は、また1つ強くなる。




「行こう舞、ナビィが待ってる」

「ええ!」







地震!雷!火事!ゴロン!?










前回、泣き腫らしたリンク表情はどんより雲から晴れ晴れとした快晴な空に変わった。
改めてこんにちは、女子高生です。

今あたし達は迷いの森を抜けて、コキリ族の集落に戻ってきたところ。勿論隣にはリンクもいて、因みに例の如く手を繋いでて。


ふふふふ…これこそ正に腐女子の特権ってやつよね」

「特権?」

『舞!リンクーーー!!』


美青年勇者に悶えていると、広場のほうからであろうぶっ飛んできた妖精がこっちへ向かってきている。
因みにその時速およそ200km!


メゴッ!!!

「はぐぉっ!!」

『ア(汗)』

「相変わらず変わらないわねこの光景も」


自分で言っておいて本当にそう思う。


『り、リンク…ごめん(汗)
そ、そうダ!デクの樹サマの子どもに聞いたんだケド、次の賢者様はデスマウンテンにいるッテ!』

「見事なまでの話題変えねぇナビィ」

『Σシィー!舞、シィ〜〜!!』

「あ、あのさ…心配してくれ、ても……」


リンクが震えてる(違う意味で)
お腹を押さえて蹲る彼の背中を摩れば、リンクは精一杯の笑顔を作ってお礼を言ってきた。
こ、この子は…くっ!(目を覆う)


「ゼェ、ゼェ…と、とりあえず、デスマウンテンなんだね?じゃあ、すぐに、む…向かおうか」

「…無理しないでねリンク(汗)」

「だ、大丈夫…」


少しまだ震えてるけど、聖剣を支えに何とか頑張って立とうとしていた。
頑張っている気持ちは痛いほど分かるけど、伝説の聖剣をそんな風に使ってもいいのか。


「じゃあ、早速行こうか?」

「うん…!」

『は、ハァイ』


まだ自分の行った事に罪悪感を感じているのか、ナビィは若干冷や汗を流した。
橋へと向かう小さな洞窟。そこを通り抜けるため、あたし達は入り口へと向かっていった。


「舞ちゃ〜〜〜〜ん!!」

「え?」


後ろの方からあたしを呼ぶ声が。それも1つではなく多数。
慌てて後ろへふり返ると、そこにはこっちに向かって走ってくるコキリ族の子供達の姿が見えた。


「舞ちゃん!もうっ、帰ってるなら一言いってくれればいいのに!」

「ご、ごめんごめん。ちょっと急いでたから」

「でもすっかり大人になったんだね〜、コキリ族じゃないから仕方ないけど、凄いフッシギー!」


周りを取り囲むコキリ族の女の子達。以前に比べて少し数が多くなっていた。大人を見る機会がないからだろう、皆が皆珍しそうに見上げてきた。
あたしの事を知らない子も勿論ちらほらいて、その子達には他の女の子が代わりに紹介してくれた。


「ねえ、ねえ!ところで、お兄さん誰!?」

「え?あ、オレ?」


突然話しを振られたリンクは弾かれるように顔をあげた。


「彼はあたしの仲間なの。森を救うのに力を貸してくれたのよ」

「へぇ〜」


ありがとう!と口々に皆がお礼を述べていった。中には、小さな花を差し出す子もいる。
リンクは喜んでもらえた事と、やっぱりというべきか、自分の正体が分かってないことに複雑な微笑みを浮かべた。


「―――!舞!!」


不意にまた呼ばれた名前。前方からかけてきたのはミド少年だった。

掛けられた声に返したのは、あたしではなくコキリ族の女の子。
お前らに用はねえよ!とか喧嘩腰に言うもんだから、女の子達としばし喧嘩勃発。


「はは、ミドも相変わらずだよな」

「そうね」


ちらりと横目で見ると、さっきに比べ表情がまだ明るい。そんな彼の様子にほっと息をつくと、前方からまたミド少年の声が


「おい!お前、本当に森の呪いを解いたのか!?」

「え、ええ。」


まあほとんど呪いを解いたのはリンクなんだけど。だって気づいたらナビィと一緒に森の神殿の外に出ていたんだもの。


「そっか……あ!そうだ、サリアはどうしたんだ?」

「え!?あ、サリアは…」


どうしよう、ミド少年の質問に返答し兼ねた。まさか森の賢者に目覚めただなんて言えるわけないし(汗)
一応無事なんだけど、それをどう説明すればいいのやら…

返答に困っていると、若干後ろにいたリンクがあたしの肩にすっ、と手を置いた。


「サリアは大丈夫。少し事情があって、今此処にはいないけど…また戻ってくるさ」

「ほ、ホントか!?そっか…そうだよな」


リンクが返した言葉にミド少年は本当に安心したように息を吐いた。
少し俯かせた顔をあげてリンクの顔を見る。


「あんがとな兄ちゃん、舞が入っていく前に、先に森の神殿に向かってった奴だろ?」

「ああ、そうだよ」

「サリアの歌を知ってるから、サリアの友達だと信じて通したけど…間違いじゃなかったな!
サンキュー、なあ!名前教えてくれよ。覚えておいてやるからさ」

「彼は……」


貴方達の友達のリンクよ、と言おうとするとリンクが唇に人差し指を置いてきた。
目を見開いて彼を見上げると、リンクは首を横に振った。


「教えるほどのものじゃないさ。ただ『緑のお兄さん』って呼んでくれれば、それでいい」

「そうなのか?…じゃあそれで覚えとく」


ミドの言葉に、リンクも満足そうに微笑んだ。彼の表情を見て、リンクの考えが読み取れた。
本当は名前を言いたいだろう、きっと説明すればミド少年達も分かってくれる。

でも、それは自分を”ハイラル人”と言わなくちゃならない事。きっとリンクは、彼らの中だけでも自分がコキリ族だということにしておいてほしいんだ。


「それじゃああたし達、もう行くから」

「えーー!?もう行くの〜〜!?」

「ごめんね。あたし達も急いでるから」


まだ残念がるコキリ族の子供達を宥めて、あたし達はミド少年に向き直った。


「それじゃあなミド、またコキリの森を守ってやれよ」

「ああ、分かってる」

「舞ちゃんも、お兄さんも気をつけてね!」

「ああ、ありがとう!」


それじゃあね、と呟いてあたしとリンクはまた入り口に向かって歩き出した。
バイバーイ!と後ろで手を振る子供達に、リンクは苦笑しながらふり返って手を振り替えした。

本当は、自分のこと気づいて欲しいのに……
リンクの表情にあたしはまた眉間を垂れさせて瞳を瞑った。

同時に後ろで息を呑む音が聞こえた。






「――――リンク…?」

「!」

「!?」


リンクの名前を呼んだ声にハッとした。今のはあたしのでも、リンクの帽子に隠れているナビィの声でもなかった。
咄嗟にふり返った先に、さっき彼の名前を呼んだ者がいる。


ミド少年―――


「ミド…今……」

「あ、わ、わりぃ…ただ、兄ちゃんの後姿、オレのライバルと似てたからさ」


何回も喧嘩をふっかける時、いつも後ろからだったし。そう言ってミド少年は鼻を掻いた。


「(ミド少年が、)」


リンクの中に眠る『リンク』を見つけ出した。


隣にいるリンクは唇を噛んで俯いた。自分を見つけてくれた、ライバルと呼んでくれたミド少年にだと思う。


「あ…ありがとう、ミド」


小さく呟き、耐え切れなくなったリンクは、また背中を向けて入り口から出て行こうとした。
あたしも慌ててそれを追いかける。後ろにいる子供達に別れを告げて、大きくなった彼の背中を追いかけた。













「舞ちゃん行っちゃったね」

「うん」

「大丈夫だよ、また遊びにきてくれるって!」


リンク達が姿を消した後、コキリ族の子供達は互いに話しだした。
それからしばらく、ずっと話し声が聞こえたが、その中で呆然と立っているミドは誰にも聞こえないぐらい小さな声で呟いた。



「オレ…緑の兄ちゃんに名前、教えたっけ?」















***











++inハイラル平原++



「うっ、うっ…まさかミドが、気づいてくれる、なんてな…!」

「リンク、分かったから涙拭いて、鼻水拭いて」


森を出た途端、まるで洪水でも起きたのかと疑いたくなるほどリンクは涙(+鼻水)を流していた。
ちょっと汚いと思い、宥めながらも少しばかり距離を置いた。

今までリンクの帽子の中で待機していたナビィもするりと抜け出した。…少し羨ましいと思った。


『さぁ、次はデスマウンテンに向かうんダネ!』

「じゃあ先ずはカカリコ村、だな」


よし、と意気込んだリンクは左手で握りこぶしを作る。
此処からカカリコ村までどっちの方面だろ…地図を見て………

あ。


「そうだ、地図はエポナの…」


そう言えば、エポナ何処に行ったんだろ?確か森に入ってくる前、入り口の辺りで止まってたのに。
あれー?可笑しいな


「ねぇリンク、あのね…」

「え?…ってぅわぁああぁぁぁあぁぁああぁ!!!?


エポナの事を聞こうとしたらリンクは肩を跳ね上げて後ず去った。
身長の高くなった彼の影で見えない為、覗くように体を傾けた。そこに見えたのは茶色の毛並み。


「あ…エポナ!」


首を俯かせていた馬は耳をピクリとさせて顔を上げた。よくは分からないが、おそらく表情を明るくさせて、嬉しそうに駆け寄ってきた。
近づいてくるに連れ速度を落とし擦り寄ってきた。


「舞…それ?」

「あ、この子はエポナっていうんだけどね。リンク達が来るまでの7年間お世話になった人から譲り受けたの」

「へぇ〜〜!オレ、生の馬って初めて見たよ!!
…ね、ねぇ。ちょっと触ってみてもいいかな?」

「ええ、いいわよ」


手綱を押さえ、なるべくリンクに近づける。嬉しさから来る熱が顔を伝い、それは赤みを帯びて頬に表れている。
ああ、くぁわいいな!!と心の中で悶える。


ポカッ




「………」


エポナは器用にも前足を突き出してリンクの顔を押さえつけて進行を止めた。
こ、これは…この光景はひじょーーに見たことがある!しかも7年前!しかもお互い子どもでまだ初めて会った時!!


「あの…舞、これは?」

『リンク、明らかに拒絶反応起こされてるわネ』


ナビィの言葉を引き金に、リンクは顔を踏みつけられたまま後ろに影を背負った。効果音をつけるなら『ずぅぅぅぅん…』


「ああ…リンク。あのね、エポナって人見知りなのよ!だ、だから最初はその……き、きっと徐々に慣れていくから!ね?」

「う、うん…」


ああ、完璧に落ち込んでる(汗)
どうしようか…と悩んでいると、エポナが少し背中を下に下げた。この7年間でこの子の仕草は大体分かった。これは背中に乗れって事。


「そうよ、カカリコ村までエポナに連れていってもらえば!」

『それはいい考えだケド…第一この馬はリンクを乗せてくれるノ?』

「あ」


そうだった。たった今拒絶されたんだ、これじゃあ乗せてはもらえないだろうか。
どうしようか…と頬に手を添えて目を瞑ると、突然後ろに何か重みが加わった。
何事!?咄嗟にあたしは首だけを後ろに向けようとしたが、エポナがそれよりも早く暴れだした!!


「うわっ!ちょ、エポナぁあぁ!?」

「拒絶されるなら、此処は無理にでも慣れさせてやる!!」


耳元で聞こえた声にぎょっとした。この声は彼のものでしかない…イコールリンクがあたしの後ろに乗ってる!?

リンクに反抗しようとすると、とうとう我慢しきれなくなったエポナが一度前足を大きく上げて暴走しだした!


「ぎゃあぁぁあああ!!り、リンク!手綱しっかり持って!足固定して!!」

「オッケー!」

『キャーーv速い速い〜〜〜!!』


Σナビィ!?光速で飛ぶ事ができるからこそか、彼女だけはリンクの帽子に止まりながら喜んでいた。
生憎、手綱はリンクが持ってるからあたしは操縦ができない。前にいるから抑える所がなくて、仕方なくリンクの服を掴んだ。

悪戦苦闘している彼にエポナを任せて、手探りでエポナの体にくくりつけてあった地図を取り出す。


「り、リンク!カカリコ村は此処から道のりに沿って真っ直ぐよ!」

「よし!何とか行かせるよ!!」


速度は流石に落とせそうにないので、手綱を上手く操りながらカカリコ村方面へ向かわせる。
その途中、以前よりも多くモンスターを蹴飛ばしていった事(※連載20話参照)には目を瞑った(汗)















+++







「あのさリンク…カカリコ村方面までってあたし思ってたのよ。
何で通り過ぎてデスマウンテンまで来ちゃってるの!?」

「う〜〜ん」


誰がここまで来ると予想できたろうか。のどかだった小さな村を騒がせといて、更にはそれ通り越して火山付近まで馬を走らせるなんて。
とりあえず心の中で呟いておこう。腕組んで考えなくていいから、兎に角エポナから降りて。
そんな事考えてると、思考読み取ったのかエポナはぶんっ!と一振りしてリンクを振り落とした。

ごぃんっ!!…っと清清しいほどイヤな音を残して。


『(イタそ〜)』

「(あぃって〜…)ところでさ、なんでデスマウンテンなのに雪が降ってるんだ?」


後頭部に拳一つ分のたんこぶをこさえたリンクの言葉の意味を理解するのには、そんなに時間が要らなかった。
パラパラと火山の頂を中心に空から降ってくる白いソレ。でも雪に比べそれは少し灰色がかかってている。


「これ、雪じゃないわ」

『灰、じゃないカナぁ?ホラ水気を含んでなくてパサパサしてるしネ!』


そう、それは火山灰。火山灰というのは、火山の活動が活発な所に降るものだと、昔聞いた事がある。
以前は振っていなかったのに、今は突然振り出しているという事は、行き着く答えは只一つしかない。


「前より火山の活動が活発になってるのよ、きっと」

「そう言えば、前に比べて熱いよな」


タダでさえ暑いのに、熱気を増やした火山周辺は以前より暑い。これが本山だったらどれだけなんだろう…
兎も角、このままだと火山の活動が更に早まって、火山灰が増えるどころか下村のカカリコ村にまで被害が及んでしまう。


『原因を突き止めないトいけないヨ』

「そうだな、じゃあダルニアさんに会いに行こうか!」


そういう事になるわね。
とりあえず、またもや魔力を感じ取ったエポナを坂下に置いておき、少しだけ長い坂を徒歩で登って行った。










++inデスマウンテン++


モンスターにもあまり出くわす事もなく、無難でゴロン族の集落に辿り着いた。
以前と変わりなく、何もなかったように見えて、実はそうでもなかった。


「何か…静かじゃない?」


そう、リンクが言うとおり、今日は嘘のように静かだった。
以前なら呼んでもいないのに自然に集ってくる程賑わっていた。なのにそれにも関わらず、今日なんて声1つしない。


『留守ジャないの?』

それかトイレとか!

「リンク…一族一斉に大をしてるとでも?


岩が皆揃ってトイレに駆け込むとか異様な光景、誰も想像したくもないだろう。
…しかし人間そう考えると余計に悪い子方向へ行ってしまう…=想像してしまった。今自分の思考回路が汚染されていると考えると嘔吐感を覚えてしまう舞だった。


「にしても、どうしてこんな…」

『アレ?ねぇ、何か来てない?』

「え?」


来てる?ナビィの言葉に首を傾げていると、何かが転がってくる音が…
音は小さくだけど、わずかに聞こえた。発信源を突き止めようと辺りを見渡した時、その音がどんどん大きくなっていっているのに気がつく。
それが大分大きく聞こえたのは、その発信源が彼女達のすぐ近くに来ているのに気がついた時だった。


ゴロゴロゴロゴロゴロ!!!

うわぁぁああぁぁああ!!?な、何か来てる!?


何故か発信源の【ソレ】は自ら効果音を出しながら転がってくる。向かってくるそれにド肝を抜かれ、舞とリンクは急いでその場から脱兎!


「な、何!?何なのコレ!?ゴロン族ってば歓迎の仕方変えたのかしら!?」

『こんな手厚すぎる歓迎なんテいらないヨ〜〜!!』

「と、兎も角これをどうにかしないと!!」


リンクは顔を引き締めると、剣の柄に手を掛けて刃の部分を覗かせた。大分転がってくるモノとの差が開いたところで立ち止まり、庇うように目の前にたった。
足を肩幅に開き、その場にしっかりと立つ。転がって来るモノが目前まで来ると、ぶつかってくるソレを刃の部分で止めた!


ガガガガガ!!

「くっ…!!」

「が、頑張ってリンク!」


擦れ合う音が響き渡り、彼らの間に火花も散っていた。このままではもたない―――そう感じ取ったリンクは腕に力を込める。元々筋肉で太い腕が力を込めた事により益々膨らみ、大きくなった腕力を利用してリンクは相手を向こう側へと投げ飛ばした。


「でやああぁぁあああ!!!」


転がっていた反動もつき、相手は壁に激突し、転がるのも止めて、ズウゥゥン、と大きな音を立てて地に落ちた。
静かになった空間でリンクは息を1つ吐き、マスターソードを鞘に戻した。


「大丈夫?舞」

「え?ええ大丈夫……」

「良かった!
…?舞、何してるんだ?」


なにやら突然リンクの腕をペタペタと触りだした舞にリンクは疑問を投げかけた。


「…リンク、見ない間に随分と力ついたのね」

「う〜ん、オレもよく分かんないよ。ずっと神殿で眠ってただけだからな。
それより、さっきの物体の正体を突き止めないと」


舞も首を縦に振り、先に歩くリンクの後ろに着いていった。
リンクが謎の物体の前まで来ると、今までピクリとも動かなかった【ソレ】がむくりと起こした。
…体を。


「何するんだゴロ!!痛い事するなゴロ〜〜!!」

「あ、貴方…ゴロン族!?見たところ子どもみたいだけど」

「五月蝿いゴロ!オイラは【リンク】!!あの古代竜、キングドドンゴを倒した男だぞ!!」

「へ?オレ!?」


名前を呼ばれたリンクは、きょとん、としながら自分を指差した。リンクというのは彼しか知らない、そう思った舞も首を傾げながら【リンク】と名のるゴロン族の子どもを見つめた。


『チョット!キングドドンゴを倒したのはこっちのリンクヨ!何本人の前で嘘ついてンノよ!』

「な、ナビィ…そこまで言わなくても良いんじゃない?」

「ん?本人…?」


まともに相手にしなかった自称【リンク】は、本物のリンクと同じ顔をしながらじっと彼を見つめた。
数秒間、そのまま見つめていたが、何かに気づき小さい悲鳴をあげた。


「ほ、本物のリンクゴロ!?わ〜〜凄いゴロ!!あ、サインして欲しいゴロ!!【ゴロンのリンク君へ】って書いてほしいゴロ〜〜〜!!」

「え?え?」

「”ゴロンのリンク君へ”って…この子、本当に【リンク】って言うんだ(汗)」


自称ではなく、正真正銘の【リンク】は目を輝かしながら意味の分かっていないリンクに色紙を渡そうとしていた。何処から出した、とも聞きたくなったが、それどころではない舞は捨てるように首を左右に振り、もう一度【リンク】に向き直った。


「ねえ、リンク君。貴方どうしてリンクの事を知ってるの?」

「お父ちゃんが言ってたゴロ!オイラが生まれる前に、暴走した古代竜キングドドンゴを倒した兄弟の話。舞っていうお姉ちゃんの事も言ってたゴロ。もしかしてお姉ちゃんが舞ゴロか!?
もしそうなら、お姉ちゃんにもサインして欲しいゴロ!」

「う、うん、まあそれはまた後でね?ところで、貴方のお父さんって誰?」

「オイラのお父ちゃんはダルニアっていう、ゴロン族の長ゴロ!」

『ダルニアが!?あの人結婚してたノ!?


ナビィ、確かに気になるが突っ込むところはそこじゃない。もっと話しの状況を分かって欲しいと思う舞は肩をすくめた。


「そうじゃないでしょナビィ?リンク君、そのダルニアはどうしたの?それにゴロン族皆、貴方以外に誰もいないじゃない」

「オイラ以外の皆…炎の神殿に連れて行かれたゴロ」

「炎の、神殿?」


森の神殿に引継ぎ、そんなものまであるというのか。


「ガノンドロフとか言う奴が、何かを渡さないから見せしめにって言って、ゴロン族皆を炎の神殿に眠る竜に食わせてやるって言ってたゴロ。
それでお父ちゃん、オイラを1人残して…自分は皆を助けに行くって言って…炎の神殿に行っちゃったゴロ!」

「ダルニアさん、1人で魔物の巣に飛び込んで行ったのね」

「お願いお姉ちゃん!!お父ちゃんを、ゴロン族の皆を助けて!!」


さてどうしたものか、なんて考えている暇はない。おそらくガノンドロフが火山の活動を活発にさせた原因のひとつだろう。
このままではカカリコ村どころか、ゴロン族の命まで危うい事になってしまう。舞は少し考えたが、すぐに笑顔に戻り【リンク】の頭に手を乗せた。


「分かったわ。ダルニアさんの息子ならあたし達の甥っ子だものね。甥の頼みは断れないわ」

「じゃ、じゃあ助けに行ってくれるゴロか!?」

「ええ、勿論よ!一族の皆は、無事に連れ戻してくるわ。
そうと決まればリンク!早速炎の神殿に向かいましょう!

で、今まで静かだった貴方は何をしてるの?」

「え?サイン書いてた


まさか本当に書いているとは。あまり文字を書く事がないからか、少したどたどしい文字が並んだ色紙を【リンク】に手渡すと、彼は嬉しそうに笑顔で受け取った。
まあ、案の定というか何と言うか…話しを1ミクロンも聞いていなかったリンクに説明をして【リンク】に炎の神殿の場所を聞いた。


「炎の神殿には山頂から行かなくちゃいけないゴロ。でも、お父ちゃんとオイラだけが知ってる、秘密の抜け道が玉座の後ろにあるゴロ!玉座を横に押したら道が開くから、そこから行って!」

「分かった、ありがとうリンク君」

「絶対ダルニアはオレたちが助けるからな!」

「うん、頑張ってね!…あ、そうだ!!」


いざ行こうとした彼らを【リンク】は声を掛けて引き止めた。
何事かと思いふり返った舞は、「どうしたの?」と優しく声をかける。


「あのね、最初オイラが転がってきた時、ゴロゴロ、って言ってたでしょ?
あれ、転がる効果音とゴロン族の語尾とをかけてるんだゴロ!

「(助けに行くの取り消そうかな)」









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