05.樹の中冒険もどき
僕の予想は見事に的中していた。
訓練場にある小さな抜け穴の中、大きな岩が転がってきたことには驚いたけど、予想通り大きな宝箱の中に『剣』が入っていた。
ナビィに聞いたらこれは『コキリの剣』って言うみたい。
『コキリの盾』は前々から知っていたから、すぐにお店に行って買えた。丁度持っていた40ルピーが役に立ったな!
少し重たかったけど、ミドに見せ付けてやることと…舞に早く見せてあげたいと思う一心で僕は全速力で元の場所へ走っていった。
その時見えたのは、楽しそうに話している舞とミドの姿。
何だか胸が痛くなって、無我夢中で舞の名前を呼んだ。
通り道を開けたミドの横を通り過ぎて、彼女の手を引っ張っていく。その時、ミドが小さくお礼を言ったような気がした。
横目で後ろを見たら、舞が嬉しそうに笑っていた。
それを見たらまた胸が痛くなった。……僕、一体どうしたんだろ?
樹の中冒険ごっこ
こんにちは、ミドの意外な一面を見て朝っぱらから萌え悶えた女子高生です。
只今『剣』と『盾』を手に入れたリンクと一緒にデクの樹サマの広場まで全力ダッシュ!
「リンク、意外に早かったね。やっぱり思ってたところにあったの?」
「うん!『盾』の分のお金は丁度持ってたしね」
『2人共!こっちこっち、急いデ〜〜!!』
あたし達の先を誘導するようにナビィが速いスピードで優雅に飛ぶ。
速いスピードで優雅…妖精って凄いのね。
ハプニングもなく軽やかにあたし達は広場に辿り着くことができた。
そこにいたのは、昨日とは違い威厳さも失い弱弱しいオーラを放つデクの樹サマ。
『デクの樹サマ!リンクと舞を連れてきまシタ!』
「デクの樹サマ…!?ど、どうしたの?」
リンクが信じられないという顔つきでデクの樹を見上げた。あたしもそれに続けて見上げる。
[おお…リンク、舞……来てくれたか]
「デクの樹サマ、どうしたんですか一体!?」
[舞…1つ言っておくがこれは決して同人を読んで、鼻血多量出欠の所為で血色が悪くなったというわけではないぞ?]
「分かってますよそれくらい」
もし万が一そんなことであればあたしは本当にこの長老代えてやるわ!
誤解を解いておこうとしたんだけど…その言い方じゃ本当にそうなってしまったかのように思われる。
[昨晩…強大な悪の力を持つ何者かが、ワシの体内に呪いを植え込みおった。
そやつは今も尚…ワシの体内で活動を進めている……。]
「どうしてデクの樹サマ…呪いなんて植えつけられちゃったの…?」
リンクは自分の手で震える腕を押さえ目の前の状況にがちがちと体を震わす。
何もしてやれないけど、せめてあたしはリンクの肩に手を添えて、そのままデクの樹サマの話に耳を傾ける。
[奴らの探している…この森の秘宝を渡さなかったからだ……
今ワシの体内の中で意識を持った呪いがその秘宝を探し回っておる…
リンクよ…お主を見込んで頼みがある……]
「僕に……?」
デクの樹サマからの言葉に体の震えが止まる。長老からの頼みに、まさかと思い話に耳を傾ける。
デクの樹サマから告げられたのは、正に思ってた通り『まさか』だった。
[ワシの体内に入り…ワシの中にいる呪いを取り除いて欲しい……]
「ぼ、僕が…!?」
[そうじゃ…幸いお主は剣と盾を持っておる…。その武器で敵に立ち向かって欲しい……
舞…お主も一緒に行っておいで…]
「………え?」
今あたしの耳が可笑しくなければ、デクの樹サマはあたしも一緒に行けと言った…。
死にに行けというんですか!?
[これは1つの試験じゃと思ったらよい…お主も無事戻ってきた時は……
コキリ族の一員として…この森に留まることを認めよう…]
「(今日はいつもと違ってちゃんとしてる)…分かりました。」
舞隊員、特攻隊長は自ら死にに行く覚悟を誓いまーす(冷や汗)
表面では落ち着いてるものの、内面ではだらだらと冷や汗を流してると、隣にいたリンクに異変が起きた。
「デクの樹サマ!デクの樹サマの体内にいる呪いを倒せば、デクの樹サマも助かるんだよね!?」
「リンク?」
[ああ…その通りじゃ……]
「……分かった。僕、やってみるよ!!」
震える体に鞭打つように、リンクはバチンと頬を強く叩いた。
「〜〜〜っ!!(涙目)」
「(そりゃ痛いよ…(汗))」
自分でも意外なほど力強く叩いたのか、リンクは涙目で頬を摩った。
でもすぐに顔を引き締めると、またもやあたしの手を掴んだ。
「よし!舞行こう!!」
「死ぬ覚悟で飛び込みましょう〜」
『その調子ダヨ舞♪』
冗談に取ったのか嬉しそうに体をピンク色に染めるナビィ(色変わるんだ)
悪いねナビィ、これ全然冗談じゃないのよ。あたしは本気で死ぬ覚悟で行くつもりです!(真面目)
心の中でぶちぶち言いながら、あたしとリンクとナビィは、デクの樹サマの開けられた口に飛び込んだ。
……嫌な入り方だな〜これ。
****
++inデクの樹サマの体内++
デクの樹サマの中にはそこらじゅうにびっしりとクモの巣が張られていた。
入り口から少し進んだところには、地面に太長いクモの巣が張られている。下を覗けば部屋があるのが分かった。
「下は…行けそうにないわね。」
クモの巣の上で数回跳んでみる。けれどクモの巣は丈夫に出来ていて、少し揺れるぐらいで破れることは無かった。
「舞〜〜…」
『じゃあ上の方カナ〜?』
「ねー……」
「この階には他に進む道なさそうだし、とりあえず2階へ上がってみましょう!
リンク、上に行きましょう!……………?リンク?」
返事が返ってこないことに疑問を抱き、あたしは後ろを振り返った。
そこにいたのは確かにリンク。
うん…確かにリンクだけど……
「舞〜〜!助けて〜〜〜!!」
「初っ端から何やってんのあんた!?」
「きょ、興味本位で近づいちゃって…(汗)」
「だからって容易くクモの巣に引っ掛かる阿呆が何処にいるのよ!!(汗汗)」
そう、クモの巣に体の自由を取られたリンクの姿。さっきから小さい声が聞こえたような気がしてたけど、まさかリンクだったとは!(汗)
ナビィが何処からか持ってきてくれたデクの木を借りて今度はあたしに引っ付かないように慎重に手早くクモの巣を取り払った。
「もう、リンク次からは気をつけてよね?」
「うん!でも思ってたより凄いわくわくするね!!よ〜し!それじゃあ早速2階へGO!!」
「あ!リンク!!」
リンクは好奇心に打ち負けた所為か、上に繋がっている梯子目掛けて走った。
あ``〜、今言った事忘れてるわね。絶対…
「苦労しそう…」
『仕方ないヨ。だから舞がナビィと一緒にサポートしてあげナきゃ!』
「そうね。頑張りましょう」
ひらひらとあたしの横を飛ぶナビィに苦笑しながら、リンクの向かっていった梯子へ…
「舞〜〜!!」
【バクバクバク!!】
「リーーーーーンク!!!(滝汗)」
今度はモンスターに食われ取るがな
ナビィ曰く『デクババ』に食われそうになってるリンクを発見!(滝汗)
本当にサポートだけで大丈夫なのか…心の中で不安を感じながらリンク救出に向かう。
*
「リンク…もう絶対に一人で行動しないでね(げんなり)」
「ご、ごめんなさい舞!僕…わざとじゃなくて…」
うん、分かってるんだけどね…
リンクは自分が武器を持っていることすら忘れそうになっていた。
慌ててナビィが使い方を簡単に言うと、リンクは何とか自力で抜け出した。
今は二階に上がり、今度は離れないように、しっかり!(ここ重要)手を繋いでおいた。
落ち込んだリンクを慰めながら進んでいると、少し先に大きな宝箱が見えた。
「あれって…コキリの剣が入ってたヤツと同じやつだ!」
「何でデクの樹サマの中に宝箱なんてあるんだろう…」
『た、確かに気になるケド(汗)兎に角開けてみよウ!』
計算されたように置かれた宝箱に近づき、リンクが力を込めて宝箱を開けた。
底が深くて、身を乗り出すように宝箱の中を探る。あ、パンツ…(鼻血)
「これって…」
『地図ダヨ!』
「怪しすぎる!!(真剣)」
『舞…(汗)』
やっぱりこれは計算していたとしか考えられない!しかも丁寧に1階から2階、それも地下も書いてるし、宝箱がある所まで。
これ書いた人は何て親切で馬鹿なんだろう(失礼)
「これ見る限り、上は3階まであるみたいね。」
「上に行くには…このツタ上がればいいのかな?」
そう言ってリンクが見上げると、そこには絡まったツタが上まで続いていた。子供なら、足をかけたら上れそうなぐらい丁度いい太さだ。
でも、何だかクモと骸骨が融合したような気持ち悪い生き物がかさかさと蠢いていた。
「気持ち悪ッ!!何あの物体!?」
『あれはスタルウォールだヨ!あいつに気づかれタラ体当たりして落とされちゃうノ』
「じゃあどうしたらいいの?」
『何か下から攻撃できるものがあれバ…防御力は低いカラきっとすぐに落ちると思うヨ』
「舞、この階の先に扉があるよ!宝箱もあるみたいだし…行ってみよっか?」
上に行くのは後回しにして、先に行ける所から行ってみる事にした。リンクの言うとおり、少し先に扉を発見。
その部屋に入ると、少し先にまた不自然な大きな宝箱が……
「もう怪しいとか言う気力もなくなったわ…」
『デモもしかしたら何か役に立つカモ!』
「じゃあ僕が行ってみる!舞はここで待ってて」
リンクはあたしを止めると軽い足取りでひょいひょいっと向こう側に渡った。
流石森で育っただけある。水を得た魚って…こういうのを言うのかな?
「舞〜〜!宝箱の中にパチンコが入ってたよ!!」
「パチンコ…玉があれば飛ばせるわね!ナビィ、あれならスタルウォール倒せるかな?」
『ウン!バッチリだよv』
リンクがパチンコを持ってこっちに戻ってくるのを見計らい、あたし達はまた道を戻っていった。
さっきのツタの所まで行くと、やっぱりまだスタルウォールはいた。
「宝箱の中に一緒にあった袋の中に、花のタネが入ってたんだ。だからこれを飛ばせば…」
リンクはパチンコに花のタネをセットすると、狙いを一匹目のスタルウォールに定めた。
上しきったゴムを離すと、勢いが加算されたタネがスタルウォールに直撃!
「やった!当たった!」
『凄いヨリンク!』
「あとの二匹もできる?」
「うん、やってみる!」
さっきと同じことを繰り返し、リンクは残った2匹のスタルウォールも倒した。
障害が無くなったツタは安易に登れ、あたし達は3階に上りきる。
3階には、1階や2回よりも多くクモの巣が張られている。よく見ると、中央に集まるように足場が3箇所出っ張っていることが分かる。
「あの出っ張り部分、何かあるのかな?」
『舞!迂闊に近寄っちゃ危ないよ!!』
「え?危ないって…」
何が?と聞き返そうとした時、頭上から何かが降ってきた!それを確認する前に、あたしはその何かに吹き飛ばされた。
―――ガッ!!
「うわっ!!」
「舞!!」
慌てて駆け寄ってきたリンクが、あたしの腕を見て顔を真っ青にした。何かと思い、あたしも視線を腕に向けると…
そこはぱっくりと出来た切り傷から血が流れていた。しかも結構な量が…
「ぎゃぁぁあああ!!!(滝汗)」
『キャーーー!舞大丈夫!?』
ナビィが普段以上に体の色を青く染めてあたしの周りを飛び交った。
あたしは自分の状況に口を開けてばたばたと慌てまくり!
…その時突然リンクが奥歯を噛み締め、コキリの剣を掲げてその場から駆けた。
「よくも舞に…傷をつけたな!!」
リンクが近づいてきた事に気づき、さっきあたしに攻撃を仕掛けてきたヤツがまた降りてきた。
それはスタルキッドを大きくしたようなでっかいクモ。
『リンク!そいつの弱点は柔らかいお腹ヨ!!』
ナビィの言葉に従い、リンクはそいつの下をスライディングで潜り、すぐさま体制を整える。
「倍返しだ!!」
リンクは叫んだ直後、敵のお腹に剣を振りかざした!敵は甲高い悲鳴をあげると身を崩し、その場で消えてしまった。
……リンクってこんなに強かったんだ…?
一瞬の動作に呆然としていると、いつものようにおどおどしながらあたしの傍に駆け寄ってきた。
「舞!舞大丈夫?痛みある!?死んだりしたら絶対駄目だよ!?」
「勝手に殺さないでリンク(汗)」
『舞の傷なら大丈夫!ナビィ、ちょっとだけなら治せるカラ』
ナビィはそう言うと、あたしの腕に淡い光を翳した。傷は残っているものの、出血が止まったから出血死は免れた。
「舞…ごめん。僕が舞を守ってあげなきゃいけないのに……昨日からずっと迷惑かけっぱなしで…」
昨日、というのは多分リンクを送っていった時のことを言ってるんだろう。
しゅんと肩を落とすリンク。不外にも可愛いなんて思ってしまう。
「でも今リンクが今の敵を倒さなかったら、あたしまた襲われてたかもしれないでしょ?
実際助けてもらったことに変わりはないんだから、ありがとうリンク」
それにリンク(萌え要素)がいないとこんなしみったれた所に来る気になんかなれない!
もし1人で来てたならば、入った途端すぐUターンしてサリアと愛を育んでいるだろう(育むな)
「舞……舞〜〜〜」
「り、リンク…その鼻水と涙拭いてくれる?」
可愛いけど、大洪水並みの涙を流されてはこっちもどう対処したらいいのか困る!!
リンクはあたしの言うとおり、ずびーーと吸って鼻水と涙を止めた。おいおい…
「じゃあ兎に角先を進みましょう!」
あたしが意気込んですっと立ち上がると、それに続いてリンクも立ち上がった。
ぱんぱんと服についた土を払っていると……ハプニング発生。
「よし!じゃあもう少しこの階を見てみよっか!」
リンクはそう言って体をUターンさせた。しかし、気づかなかった、さっき倒したモンスターの血で足を滑らせ…
つるっ!
「うわっ!?」
「え``」
『ッキャーーーー!!?り、リンク!?』
リンクが落ちる!
咄嗟にリンクの落下を防ごうと慌ててリンクの手を掴んだ。ほっとしたのも束の間…
―――ずるっ
「うぁ!?」
あたしまでモンスターの血に足を滑らせた。そのまま落下を防ぐものはなくなり、2人とも地面に向かって真逆さま…まさかこのままプチトマト状態!?
『リンク!!舞―――!!』
ナビィの悲鳴に近い叫び声が遠くに聞こえる。
「…っ舞…!」
掴んでいたリンクが、咄嗟に衝撃を和らげる為かあたしの体を力強く抱きしめた。
え、何この萌えシチュエーション!?不外だけどこの状況萌える!!(おい)
最後まで緊迫感の無いあたしに、心の中のあたしが溜息をついたような気がした……
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