07.対決ショッキングピンク



何だか朝から森が騒がしかった。これって前と同じ…


何を思ってかデクの樹サマはリンクに妖精を遣わせて、自分の元へ舞まで連れて来いとかふざけた事ほざいてやがった!


ミドを脅して…んっんん!快く白目剥きながら話してくれたミドの言葉を頼りに舞を追いかけて、サリアもデクの樹サマの中へ!


飛び込んでいった時、見えたのは襲われそうになっている舞が…!!


もう純粋なヲトメとか忘れて愛用のテツ子(鉄パイプ)で軽くデクババをホームラ〜ン♪



慌てて彼女に駆け寄ると、舞のスカートがないからまあ大変。
リンクにでも襲われたかと思っちゃって、ついテツ子で殴りそうになっちゃった…てへっ☆(おでこコツンッ)


下にいた身の程知らずの馬鹿(×3)もさっさとぶっ倒して、いよいよ最終ボスね!




舞…どうか無茶だけはしないでね?いざとなったら、その時はサリアが……


全身全霊でボスをテツ子でぶっ倒しますっ(止めい)






対決ショッキングピンク




何だか初回から悪寒を感じる女子高生です。
とうとうデクの樹サマをあんな風にした親玉と対決ね、気を引き締めて取り掛からないと…


「いいリンク?敵の弱点をよく見て、がむしゃらに攻撃しちゃ駄目よ?逆に命取りになっちゃうから」

「うん!分かってる!」

「馬鹿だけがとりえのあんたがどう取ったかは知らないけど、これだけは言っておくわ。

何かあったらサリアは舞だけ連れて逃げるからねv」


「仲間見捨てる気か!!」


全くこの少女は…毒っ気が抜けるのは何時ごろになるのかしらね(遠い目)
とにかく、あたし達の中で戦えるのはリンクだけ。サリアも居るけど、彼女も一応女の子。
最初はリンクに頼んで、後で何かあったら助太刀(しくれるか分からんが)ということで。

ナビィが敵の弱点をリサーチすると一気に攻撃を仕掛けて直に終わらせる。

よし、バッチリよね。


小さなクモの巣が所々に張り付いている大きな扉の前であたし達は大きく深呼吸。
その時、小さくだけどリンクが繋いでいる手に力を込めた。


視線を向けるとそれに気づいたのかにこっと笑い返してきた。
それは安心させるようなもので、知らない内に肩に乗っていた重みがすっと軽くなった…気がする。


前を見据えて大きく足を踏み出して、あたし達はボスへと挑む!









**




「……何この部屋……」


ええそうです、あたし達はあれから真っ直ぐボスの部屋へと入っていって…

でもその部屋に入った時、何故か視界一杯に広がるド!!ピンク。
しかも蛍光塗料が混ぜこめられているのか、目にちかちかして地味にダメージが…!!


イヤ何より此処ってボスの部屋よね?

なのに何だこの少女趣味な部屋!?


『キャァァァ!!嫌ああぁぁぁぁ!!ナビィこういう色ダイッキライ〜〜〜〜!!!(号泣)』

「ナビィ…既に自分が光ってるじゃない」


自分の体がピカピカ光ってるというのに…何があったんだリンクの妖精。
まるで不思議のアリス以上にメルヘンな世界にでも入り込んだのか…

そんな事を考えていたら、何やらカサカサカサ…と何かが蠢く音がした。


「舞、何今の音…?」

「分からない、二人とも気をつけて!気を引き締めてね」

「うん…。……!?う、うわああぁぁあぁ!!!」


突然首を上に向けたリンクが右隣で大声を上げながらぺたんと腰をついた。
何かと思い、彼の視線を辿ってあたしとサリアも顔を上に上げた。

そこにいたのは…


どす黒い大きな巨体に、鋭いかぎ爪のような太い手足が数本。
怪しく光る黄色い瞳。

そして更には頭に飾ってある赤色のリボンと、黄色い目玉についたカールの睫毛……


「気持ち悪いぞーーーーーーーー!!!」


いろんな意味でな


『え、えと…あのカマっぽいのが呪いの源【ゴーマ】ダヨ!!』

「あ、あんなのにデクの木サマ呪われちゃったの…?」

「きっと日々同人なんて読んでるから中身に隙が出来たんだわ…っ!!」


こんな事なら出会ったあの日、ツタで読んでた数ページの薄い本を燃やしていれば良かった!
左では珍しくサリアまで唖然とゴーマを見ていた。そりゃあんなもん見せられたら誰でもなるわよ。


だけどそんな暇をいつまでも与えてくれるわけない。
ゴーマはあたしの大声に気づくとぎょろりと睨んできた。(睫毛の所為で迫力半減)

大きな体は天井から離れ、地響きを上げて落ちてきた。


呪いの源【ゴーマ】
・少しばかり目に痛いボス。

……うん、考えるの止めよう。



呑気にそんな事を考えていると、ゴーマが奇声を上げてあたし達の元へ突っ込んできた!
リンクは未だ腰が抜けているのか、体を震わせながら短い悲鳴を上げた。

ゴーマの狙いは隙だらけのリンク!


「り、リンク!!」


咄嗟に彼の背中にあるコキリの盾を抜き、あたしはゴーマの爪攻撃を塞いだ!


スパァァンッ!!


…………………。うそーー
結構丈夫で出来ている筈のコキリの盾はゴーマによって見事真っ二つ。
視線を上げるとゴーマがにやりとほくそ笑み、あろうことかあたしに向かって猪突猛進してきた。

ゴーマの目が「逃がさへんで〜」と言っているようにぎらぎらと光った。

あらあなた、この様子だと今夜のご飯は あ た し ? (ラブコメ風)


「何故だぁぁぁああ!!!」


自分が獲物と分かればあたしはその場から光の如く猛ダッシュ!
あっ、でもあたしが逃げた所為で2人が危ないんじゃ…!?


そう思って後ろを振り返ったら、何故かすんごいスピードでゴーマがこっちに向かって追いかけ来ていた。何であたしに執着するの!?


すでに獲物を挟む爪をこっちに向けて攻撃用意は準備万端。
殺られたあとはあれに挟まれて連れて行かれ、今夜の夜食はリッチなディナーとなるでしょう…






『た、大変ヨリンク!!舞がゴーマとデスマラソンしてル!!(汗)』


僕の傍にいたナビィが慌てた様子で遠くを走り回っている舞とゴーマに視線を向けた。
僕は腰をついたまま呆然とその様子を見ていた。


「あっ…舞が……」


何とかしなくちゃ…僕が舞を守らなきゃ駄目なんだ……
頭では分かっていても、体が恐怖で動かない。手に持った剣がかたかたと震えている。


―――怖い、殺される、逃げたい…


「リンク!!」


サリアの声で僕は我に帰った。
顔を上げる前にサリアが僕の前に回りこんでぐっと顔を近づけてきた。


「何やってるの!?貴方が舞を助けてあげないといけないのよ!!」

「…でっ、でも……」

「でもじゃない!
ホントはサリアが行って一刻も早くあいつぶっ倒して舞に愛の抱擁してもらいたいよ!!」


あ、愛の抱擁…?何それ……


「けどサリアじゃ駄目なの!!デクの樹サマがお願いしたのはリンクなんだもん!
デクの樹サマだって、リンクよりサリアのほうが強いの知ってる。
それなのに貴方に頼んだの!この意味が分からないの!?」


!!
デクの樹サマ…!

頭の中で流れるように映像が映った。
楽しそうに笑っているコキリ族の皆、苦しそうにするデクの木サマ、
一生懸命サポートしてくれるナビィ、助けに来てくれたサリア、


きっと怖い思い一杯で僕を庇った―――舞の後姿。


気がつけば、僕の体を取り巻いていた金縛りが解かれていた。


「っ!ナビィ!!」


落としていた腰を持ち上げて全速力で舞とゴーマの元へ走っていく。ナビィを呼んだのは、弱点を知りたいから。それを察したナビィが斜め上を飛ぶ。


『ゴーマの体は固い甲羅で覆われてるノ、だから唯一生身の剥き出しの部分……

眼を狙うのヨ!!』

「おう!!」


弱点は眼!なら前に回りこんで…隙をつく。







「ハッ…つ、疲れる……」


未だ後ろから追いかけてくる悪趣味なモンスター、ゴーマ。
やっぱり身形はあれでもデクの木サマに呪いを植えつけるほどの力の持ち主。

限界が近い…もちろんあたしの。


【いい加減諦めろぉぉぉおおお!!】

「Σあんた何で喋れるんだーーーーー!!」


この状況下でもあたしの突っ込み精神は崩れていなかった。
どうせなら体力の方がもうちょっとしっかりしてほしかった(ホントにな)



―――――ガッ
「うぉっ!?」


こんなときに限ってお約束みたいに見事可愛げのない悲鳴を上げて石に躓く。疲れきった体は呆気なく音を立ててその場に崩れた。

灰が酸素を求めて大きく息を吸っていると、すぐ後ろからゴーマの足音が聞こえてきた。

音が近づいてくるに連れ、おもわず土を握る手の力が強くなる。


どうせなら…どうせならサリアみたいな可愛い子かリンクみたいなカッコいい男の子に殺されたかった……(何)
最後まで腐な考えを持っているあたしはどうかしていると思う。いやどうかしている。




「―――舞っ!!」


ばっ

ガギィィィイン!!


耳を塞ぎたくなる劈く音が響いた。首の後ろ辺りに違和感を感じる。これは・・・腕?
落ちそうな瞼を無理やりこじ開けて、重たい首を持ち上げた。

視界に入ったのは見慣れた緑に包まれた金色。


「っ、リンク…!?」


何スかこの美味しい状況!(その状況で何言うか)
どうやら今の音はリンクの剣と襲い掛かってきたゴーマの爪が交じあって擦れた音。

右手に剣を、左手にあたしの体を支えているため、片手だけで食い止めていた。


「(ち…力凄すぎだよあんた)」

「っ、ナビィ舞見てて!」

『ウン!』


リンクはナビィにあたしを任せると、弾みをつけてゴーマから体を離した。


小さくて身軽いリンクはゴーマの懐に飛び込み、下に潜り込んですぐさま取り出したパチンコの玉を何もない壁に当てた。

壁に跳ね返った花のタネがいい具合にゴーマの眼に当たる。
悲鳴をあげてゴーマの眼が赤く染まった。怯んだ隙をついてリンクが懐から飛び出し、思い切りゴーマの目に剣を突き立てた!



耳を劈くゴーマの悲鳴がショッキングピンクの部屋に響き渡る(すっかり忘れてたわ)
弱点だったのか、眼をやられたゴーマは青い炎に包まれて蛻の殻となってしまった。


そして何故か消えていく際にあのおぞましい睫毛とリボンだけが残っていく。
何で……?


『舞ダイジョウブだった?怪我してなイ?ナビィ治すヨ!』

「大丈夫だよナビィ、ちょっと疲れただけ。怪我はしてないわ」


心配そうに擦り寄ってくるナビィ。可愛いな〜…疲れた体が癒されるもんだわ。
そう言えば…このゴーマ戦ではサリアが暴れなかったわね。

あたしゃてっきりサリアの事だから鉄パイプ振り回して地獄絵図でも作ってくれるものかと…
……(妄想中)………怖っ!!な、何か自分で考えといて凄く嫌になった…(汗)


「舞……」


サリア殺人劇を考えて心拍数の増えた心臓を押さえていると、表情の曇ったリンクがあたしの前に立っていた。
弱弱しく握られていた剣がカランと音を立ててリンクの手から落ちる。


「ど、どうしたのリンク?まさか怪我でもしたの?」

『ええ!?ど、何処!?どこ怪我したノリンク〜〜!!』


慌ててナビィが駆け寄るものの、リンクの表情は影が落ちたままでじっと足元を見つめていた。
な、何……最初に比べて元気がないわよ?

座ったままあたしはリンクの顔を下から覗いた。


「リンク〜?」

「…ぃ……か……」

「え?リン…」

「舞の馬鹿!!」


っええぇぇぇ!?な、何いきなり!?
リンクはいきなり悪態をついきたかと思ったらあたしの体をポカポカ殴ってきた。


「ちょっ、リンク…」

「馬鹿!馬鹿!舞の馬鹿!!」

「そ、そこまで言う事ないんじゃ……」


そりゃあ人は人生の中で一度や二度は悪態つかれるわよ。
でもそこまで言われると(しかもリンクに)流石のあたしもへこむぞ(涙)


「自分から死ぬようなことして……どうしてそんなへらへら笑って…
死んじゃってたかもしれないんだよ!?もし僕が来るの遅れてたら、今頃ゴーマの爪で殺されてたんだよ!?」

「あ、あの…すんませんホント……」

「ホントに僕心配して…っ!!舞の馬鹿ぁ……」

『チッガーーーーーウ!!!』


どすっ!

「ふぐっ!?」


今日の朝あったようにナビィはリンク腹目掛けて体当たりかました。
お腹を押さえながら咳き込むリンク、それを威風堂々とナビィが見下ろしていた。
怖いよナビィさん。


『もう何言ってるのヨ!確かにナビィもはらはらしたケド、そこマデ責めちゃあんなに頑張ったのに舞がへこんじゃうデショ!!』

「……い、痛ひ…」

「(そら痛いよね〜…二回目は(汗))」

『リンクの言いたい事分かるけど、もっと違う言葉で言ったらドウ?言葉は違っても、伝えたい気持ちは一緒デショ?』


リンクはナビィの言葉で何かに気づき、ようやく顔を上げた。その時見えた蒼い瞳には涙が溜められている。
ぐっと細めると涙が一粒、彼の目から零れた。そのまま震える口から言葉が漏れる。


「舞……っ、ごめん…なさい……」

「いや、リンク…いいのよ別に?」

「ぅっ…僕……動くのっ、怖くて……っ、で、でも…舞が……死んじゃうのは、もっと怖くて…!!」


鼻をぐずぐず言わせながらリンクはぼろぼろ涙を零した。
ああ…また泣かせた。そしてそれを可愛いと思う自分がいる。

あたしはなるべく優しくリンクの頭に手を乗せた。


「あたしの方こそごめんなさい、今度からはもっと気をつけるから。…助けてくれて、ありがとうねリンク」

「っ……舞!!」


リンクはあたしの名前を叫ぶように呼ぶと涙で濡れた顔をあたしの胸元に押し付けてきた。
時々嘆き声を上げる彼の背中に腕を回して、あたしはリンクが泣き止むのを黙って待った。









***




「ぐすっ……ごめんね舞…」

「リンク、謝りすぎだから…(汗)」


あれから数分後、リンクはようやく止まった涙を乱暴に拭ってあたしから離れた。
あ〜…ちょっとどころか凄く惜しい…!!もうちょっとだけ抱きしめたかったぁぁぁぁ


向こうの方でずっと事が終わるのを待っていたサリアが近寄ってきた。


「舞〜〜!無事だった?ごめんね、もっと早くサリアが助けに行ってたら…」

「うん大丈夫だよサリア。」

「良かったv甘ったるいラブコメオーラがこっちまで飛んできたからいつ妨害しようかと思ったけど…我慢して耐えた甲斐があったね!」

「ホントにね」


甘ったるいラブコメというのはリンクが泣きついてきた事を言ってるのね。
肩を震わせていたリンクの体が、また別の意味で震えた(同情)


あたし達の空気が和やかになってきた時、淡い蒼色の光を帯びたものが地面に浮き出た。
その近くにはハートのようなものもある。

…ま、まさかゴーマのハートゲッチュ☆ってやつか!?
いらんぞーーーー!!(滝汗)


『アレに入ったら、直にデクの木サマの体内から出られるヨ!』


ナビィがひらひらと飛びながら、淡い光を発するの魔方陣のようなものの周りを回る。
一刻も早く此処から出た方がよさそうね。またあんな乙女チックなモンスター出られたら堪ったもんじゃない(汗)


一番先にサリアが魔方陣に乗ると、青い光がサリアを包みその場から姿を消した。
あたしたちも続こうとした時、視界の中にさっきのハートが目に留まった。


「これ…結局何なの?」


あたしの視線に気づき、後ろにいたリンクが駆け足で近寄った。


「何だろ…ゴーマの心臓かな?」

「そんなエグイことさらっと言わないで…(汗)」

『これは…ハートの器ダヨ。体中の能力の成長が少し早くなるノ、例えば体力が上がったりカ!』


ふ〜ん?と言いながらリンクはまじまじとハートの器を両手で持った。
リンクが両手で包んだ途端、ハートの器が薄く光を発し、驚いているリンクの体内へと溶け込むように入っていった。


「うわ!!な、何今の!?ぼぼ、僕の中にハートの器が!!?」

「お、落ち着いてリンク!大丈夫よ、別に異常は見られないし…(多分だけど)」

『ハートの器がリンクを認めたんだヨ。新たな主人の体内に入って、その主人に力を分けてくれるノ』


ナビィの言葉にほっと安堵の溜息を漏らすリンク。あたしは心臓が一個増えたかと思って儲けた!とか思ったんだけど…


『さ!早く外に出てデクの木サマに報告してあげまショウ!』


きっと親同然のデクの木サマが元気になることが嬉しいんだろう、ナビィは体をピンクに染めて魔方陣へと入っていった。

遅れまいとリンクがあたしの手を引いて導いてくれた。二人一緒に入った時、サリアのときと同じようにあたし達の体を光が包みこんだ。


「あ、そうだ舞。さっきもう1つの言葉言いそびれちゃったけどさ…」


その場から消えようとした時、薄れゆく意識の中でリンクの声が聞こえた気がした。





「ありがとう!」








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