20.珍メンバーが仲間になった!!





――私達が建てたスマブラ屋敷
今ではあんなにがらがらだった部屋がほぼ埋まるほどたくさんの挑戦者がいるんだ。
最初はこんなにメンバーが集まるとは思わなかったから…何だか凄く嬉しいよ!

新しく来た新参者の諸君もあれから数日経ってるけど、レギュラーメンバーと仲良くやれてるようなんだ。
元々気さくなところもあったからか、馴染みも早かったようだね。

クレイジーも素直じゃないところはあるけど、喜んでいることが分かる。
これからまた忙しくなるだろうけど、その分嬉しさが大きいから頑張れるよ。だから、応援しててほしいんだ!
以前の私たちのように、今度は私が貴方になってメンバーを我が子同然に守るからね。

…そろそろ仕事に戻るよ。
近々クレイジーと一緒にそっちにも顔を出すから、心配しないでね!
それじゃあ。


追伸 体を労わって、無理しない程度に頑張ってねシスター


マスターより







珍メンバーが仲間になった!!







がやがやと以前にも増して賑わう食堂での事。
冗談を言い合ったり、食事を奪い合ったりと何らかに騒がしい中…一番頑張ってる人がいた。


「ポポっ、ちゃんとニンジン食べてよ〜!大きくならないわよっ
…ってカービィ!他の人のご飯食べちゃ駄目でしょ!?ほら、早く返したげるの。
あーもうっ、ロイ!何さり気なくピットのお皿にピーマン移してるの!!食べなさいちゃんとー!!


言わずも乍皆のムードメーカー、舞だった。
近くに座るヨッシーと一緒に朝ごはんの野菜を残そうとする子どもたちを世話見ている。レギュラーメンバーには見慣れた光景だ。


ヨッシー「舞さんがいると、子ども達の野菜嫌いもなくなって助かりますね!」

「そんな、ヨッシー。あたしは何もしてないわよ」

ポポ「うえ〜、ニンジンやだよ〜!」

「甘く蒸かしてるから大丈夫よポポ、嫌なら半分でいいから」

ポポ「う〜〜…分かったァ…」

ピチュー「舞〜!見テっ、ぼくキャベツたべれたノ〜!」

「凄いじゃないピチュー!偉いわね、ご褒美にジュースあげるから」

ピチュー「わ〜イ!ジュースっ、ジュース♪」


るんるんとするピチューのコップにオレンジジュースを注ぐ。入れ終わるとピチューは嬉しそうに飲みだした。
ペットボトルを置こうとすると、近くに座るロイがこそこそと目を盗んでいた事に気付く。


ロイ「ピット…頼むっ」

「だから何人のお皿に除けてるのよロイ!マリオが朝早くから起きて作ってくれたのよ!ちゃんと食べて!」

ロイ「うげっ!だだ、だってピーマンまじいよ〜!!」

「もう子どもじゃないんだからっ、ほら!ピットを見習って……ん?」


ロイの隣に座る似た髪形の少年に向くと、ベジタリアンなピットはもきゅもきゅと口に野菜を詰めて食べてた。頬一杯に詰めて…見事なハムスターの頬袋が出来上がっている。
内心でその可愛さに超悶えて鼻血吹きたい程萌えたが、舞は何とか自分を落ち着かせた。

野菜をちゃんと食べているのはいいんだけど…さり気なく、お皿の隅に、1つの色が集められて除けられてる。


「ピット?ナス残ってるじゃない、苦手なの?」

ピット「ぅっ…う、うん……」

ソニック「Heyピット!お前も大した事ねえな〜っ、男ならナスぐらいパクッと食えよ!」

「ソニック、貴方こそその隅に出来上がってるタマネギの山は何かしら」

ソニック「Σあえ!?あ、いや〜」


ピットと同じく、向かい側に座るソニックは似たようにタマネギを寄せている。
ソニックは兎も角、もう15を超えた男が何を残してるのか…と舞は頭を抱えた。


「あのね3人とも、苦い不味いって言ってたら何も変わらないのよ?」

ピット「おお、俺っ昔ナスに襲われた事あって…!それがっ、トラウマでっっ」

「(どんな事件よナスに襲われるって)」

ソニック「オレっちはホラ、猫科だからネギ類はPassなんだぜ!」

「猫って認めたのねソニック」

ロイ「ピーマン食って世界が壊れるわけじゃねえしな!」

あんたは単に嫌いなだけでしょうが。何正当だと思ってんのその理由!
あーもう、しょうがないわねェ…」


溜め息をついて落胆する舞に、3人の瞳が輝く。見逃してくれるのか!?
そう期待の目で見つめていると、舞はすたすたと何故かアイクとドンキーとスネークの許へ歩いていった。
ごにょごにょと暫く話し、4人一緒になって帰ってくる。

そして…


アイク「すまないピット」(ぐい)
ピット「Σうわぁ!?ああ、アイク…!なっ何するの!?」

ドンキー「ウッホ」(ひょいっ)
ロイ「Σギャー!!ちょっ、ドンキー!?腕抑える意味が…!!」

スネーク任務遂行!おらぁあぁぁ!!」(ぐわしぃ)
「Σうおあぁぁ!?何だよおっさんっ、また被害妄想かよオイ!?」


連れて来られた3人に野菜を嫌がった3人が捕まえられた。必死にバタバタと暴れる3人を見て舞は呑気に後ろで笑ってた。


「聞いてくれそうにないから、こうなったら実力行使と思って。
アッハッハ

ピット「笑えないぃぃぃぃ!!(涙)」

ロイ「な、何でアイクとか舞に従ってんだ!?まさか手下についたのか!?」

アイク「…すまん、だが俺は……成し遂げなければいけないんだっ」

ロイ「(あ、アイクが真剣だ!一体何が…!?)
なっ、何でだよ…!?舞に脅されたのか?」

アイク「イヤ、手伝えば肉のおかわりをくれると言ったから(さらっと)
「ドンキーにはバナナね!」
スネーク「俺は野菜を食わせないと時限爆弾が起動すると聞いてな!」

ソニック「Σ最後あからさまに騙されてんだろおおぉおぉぉ!!!」


全くだ。流石は舞、天然を活かした見事なチームワークな事で。
いつの間にか食事を中断していた子どもたちも楽しそうに笑っていた。


「さあ3人とも、もう暴れないでね。はい、じゃあ先ずはロイからあーん!」

ロイ「念願の舞からの『あ〜んv』だけど背後にが見えるーーー!!
―Σむぐおぉっ!」

「はいピットあーん!」

ピット「ひぃぃぃっ!?
―Σむがおっ…!?」

「最後にソニックあーん!」

ソニック「Nooooo!!
―Σむげうぅっ!」

「よしよし」


口に野菜詰め込まれた瞬間、3人が捕まれたまま昇天した。
律儀に抑えていた3人が白い目を剥いた3人を椅子に戻した後、満足に微笑んだ舞は約束どおりアイクには肉を、ドンキーにはバナナを、スネークにはカロリーメイトをあげた。(最後何故)


レッド「わー、舞って酷い事するんだな〜」

マルス「結構彼女はやるよ。まあ黒とまではいかないけどね」


遠くのテーブルで事の成り行きを見ていたポケモントレーナーのレッドが笑いながら漏らす。
その隣でディーカップに入った紅茶を飲みながらマルスが微笑んだ。
マルスとは逆隣に座っているサトシは、ぽけーとしながら見つめていた。サトシの隣にはドクターが座っている。


ドクター「はは、舞さんがいると野菜嫌いもなくなりそうですね」

サトシ「うん…いいなァ、家庭的で…」


完全に取り込まれたサトシは頬を染めながら食べる事も忘れて見入っていた。

家庭的というか、あれは只の虐めだと思うが
近くのテーブルで聞いていたクッパは心の中でツッコミを入れた。

同じテーブルに座る気味の悪い連中にも溜め息をつきながら、静かに朝食を続ける。クッパが疲れる同テーブルの者とは…


ガノンドロフ「ふふふ…舞っ、久しぶりに見たが何とも可憐だ…!

ファルコン「キューティクルだよな〜vあれなら何時嫁に来てくれても構わんがな!」

ガノンドロフ「おいファルコン、舞は俺の嫁だぞ

ファルコン「何を言う俺のだ」


変な睨み合いを始めたのは、言わずも乍変態親父の2人組。まあ何とも久方の出番
少し離れた場所に座る姫2人は、その馬鹿な親父共を睨んでいた。


ピーチ「またイカれた事ほざいてる馬鹿がいるわよゼルダ」

ゼルダ「全くですわね…久しぶりに出たからと言って早々から爆弾発言とは何事ですか」

ピーチ「もういっそこれから先に出れない体にしなくちゃ」

ゼルダ「うふふvその通りですわ」

ルイージ「兄さん、僕寒いよ…」

マリオ「頑張れ盾役。お前がそこで頑張らんと俺に黒オーラが降りかかる」

ルイージ「Σあんた弟にしてたのおぉおぉぉ!?」

ファルコ「…何で俺らこの席いんだろ」

フォックス「仕方ないさ、空きがなかったんだから。あ、G&W、この肉硬いからよく噛めよ?」

G&W「(ぱくぱく)」


同じテーブルに座る青い顔で震えるルイージ、平然と目玉焼きを食べるマリオ。
更に溜め息をつくファルコ、意外にたくさん食べるウォーに優しく言うフォックス。
何だこの光景、親子?(母・フォックス、父・ファルコ、子・G&W)

どうやらレギュラーメンバーも全員食堂にいるわけはなく、数人は姿が見えなかった。
新参者のメタナイトとルカリオも姿が見えない。彼らは余程人前に出るのが嫌いなのだろう。



―――バターン!


マスター「やー皆おはよう!朝から元気だね〜、うんうん、いい事だ!」


それぞれが騒ぎながら食事を進めている途中、年寄り臭い台詞を言いながらマスターが入ってきた。
クレイジーは後ろで扉に寄りかかって様子を見ている。


マスター「新参者の諸君っ、大分溶け込めたみたいだな!いや〜統治者として嬉し……ん?
あれ、どうしたのこの3人。内2人は新参者だけど…早速お陀仏しちゃった?おーいドクター見てあげて〜!」

「御気になさらずにミッキー、食中毒です

マスター「そっかー、じゃあ仕方ないね〜」

マリオ「もうマスターのノリが読めたな」


もっと捻りを入れろよバ管理人
(キャラ一同より)


クレイジー「おい、当初の目的忘れたのか貴様。さっさとしろ馬鹿者め全く役に立たんなデクの棒か貴様はこれだから単細胞生物は学習能力がない

マスター「そこまで貶されるなんて理不尽。」

ファルコ「(今さらりと単細胞生物って言われたよな…)」

マスター「えっとね、皆に知ってて欲しい事が2、3点あるんだ。
先ず1つ目、レギュラーメンバーは知ってるだろうけど、表裏期が近くなってるから覚えておいて欲しい!新参者は表裏期の意味をレギュラーメンバーに聞いておいてくれ!!」


表裏期?新参者もそうだけど、舞もその中に含まれていて首を傾げた。まあ後から誰かに聞けばいいんだ、今は気にしないで置く。
誰に後から聞こう、とりあえずロイは無理だな。


マスター「次に2つ目!近々ある大企画を開催するけど、その為に皆用事を持たないようにしてほしいんだ。
だから、里帰りを早くにして用事が急遽取り入らないように空けておいて!早速今日からリンクがナビィと一緒に里帰りしていないからね」

「(そっか、だから朝からナビィの姿が見えなかったんだ)」

マスター「企画開催日は一ヵ月後、皆その期間を忘れないでね」

ピーチ「大企画?何するの?」

マスター「それは秘密、皆が楽しめるようにね」


悪戯者の笑みを浮かべて、マスターは皆に「じゃあ仕事に戻るから〜」と言葉を残して食堂を後にした。
マスターとクレイジーがいなくなった食堂では、表裏期やら大企画やらと言葉が漏れている。

それも暫く続き、数分後には最初と同じような騒がしい空間がまだ戻った。





***




「はー、お腹張った!ちょっとロイ達にはやりすぎたわね」


部屋へ向かって歩きながらお腹を摩る。窓から入る陽光の温もりを体一杯に感じてます、どうも女子中学生です。
リンクがいなくなったのか〜…萌え要素が欠けてしまった事にショック。

ショックでどうこうなる問題ではないけど、美形が減った事で気落ちしながら部屋に入る。


「さて、これから何しよか〜」

カチャッ

「お帰りなさいませご主人様ー!」

「…おあ?


部屋に入った途端、何処ぞのメイド喫茶のような台詞が聞こえてきた。
点となる視線の先には、頭を下げて行儀よくした…ピンクの……キノコ?


「え、ご、ご主人様?え、貴方…はい?」

「驚かれましたかー?すみませんー、失礼とは思ってもお部屋でお待ちさせて頂きましたー」


間延びした眠たくなるような声で話すキノコはにこにこと笑いながら駆け寄ってきた。
よくこの姿に似た者なら見かける。確かピーチ姫の家来で、この子とは違って青い上着を着た白パンツを穿いた生き物。
確かあれは〜…


「キノピオ?」

「あー違いますー、惜しいですけど、私はキノピコですー」

「キノピコ?…って、キノピオの女の子版?」

キノピコ「その通りですー」


お下げを両方から垂らし、キノピオとは違ってスカートを穿いたキノコは、どうやらキノピコと言うらしい。彼女の正体は分かったけど…何故此処にいてご主人様なのかがまだ分からない。


「あたしは舞よ、よろしくね。ところでキノピコちゃん、どうしてあたしがご主人様なの?」

キノピコ「キノピコで宜しいですよー。私が此処にいるのは、私が舞様専属のメイドになったからですー」

「あたし専属の!?ど、どうして…誰が決めたの?」

キノピコ「ピーチ姫様ですー。ナビィ様が不在なのでとの事でー」

「ああ、要はナビィの代役のような…そんな構わないのに」

キノピコ「お気に召しませんでしたかー?」

「あ、そうじゃないの!嬉しいわ、でも…キノピコに悪いんじゃないかと思って」

キノピコ「そんなまさかー、キノピコはご主人様の専属メイドで嬉しいですー」

「…ねえキノピコ、悪いんだけど、そのご主人様って止めてくれないかしら?何かムズムズするし、せめて名前で呼んでくれない?」

キノピコ「えーそうですかー?じゃあ舞様とお呼びしても構いませんかー?」

「うん、それでいいわ!もっと砕けていいけど、キノピコの呼びやすい呼び方でね」

キノピコ「畏まりましたー!」


ああ、何でだろう。同じメイドなのにこんなに心から癒されるのは…
荒い息を吐く男共が集まる如何わしい喫茶店よりも何倍もいいっ、ああそうか。きっとこの子は素でやってるからだ、キャラ作りがないものね。


「(癒される〜)」

キノピコ「それにしてもキノピコ幸せ者ですー、あの舞様の専属メイドになれたんですからー。」

「ん?あの、…ってどの?」

キノピコ「舞様は此処におられますお方だけですー」

「いやそうじゃなくて…”あの”って言うのは有名な人とかにつけられるものでしょ?」

キノピコ「勿論ですー、だから舞様につくんですよー!
だって舞様は今では有名なお方なんですからー!」

「ええ?あ、あたしが?」


キノピコの言葉に思わず自分を指す。
そんな馬鹿な、スマブラメンバーならまだしも、何であたしが有名に…そんな名を広げるような事をした覚えはないし。


「うーん、勘違いじゃないかしら?」

キノピコ「いいえー、舞様以前大乱闘オールスターのナレーターをお勤めしましたよねー?」

「ああ、スマブラレギュラーメンバーが闘ってた時の事ね?
……………ん?何でキノピコがそれを知ってるの?」

キノピコ「そりゃそうですよー、だってあの時の御試合は全国放映されていましたからー」

「Σぜ!?全国放映!?


どうしてっ、まさかマリオとクッパの掴み合いシーンで言った事が実現したの!?
あの時に冗談のつもりで言ってしまった咄嗟の台詞…まさか本当に実行したのか


キノピコ「ジュゲムさんが撮られたものが流されたんですけどー、大乱闘オールスターの時はいつも放映されるんですー。スマブラファンの方々はたくさんいますのでー」

「はぁ」

キノピコ「舞様とマスター様が始めて司会役を務めた先日の大乱闘の時ー、視聴率が50%を上回ったそうですよー」

「50%!?す、凄い数が出たわね…」

キノピコ「はいー!だって、あんなに楽しそうな大乱闘初めて見ましたものー。
それにー、マスター様とクレイジー様のお顔も初めて見ましたし、何より舞様の御司会の仕方がとってもとっても面白かったですー!」


キノピコも本物で拝見したかったですー、そう言いながら頬を両手で包んだ。まるでその姿は夢見る乙女。
ピッタリすぎて同じ女として悲しい(涙)


キノピコ「スマブラメンバー様の人気も更に上がりー、今では舞様も伝説のナレーションとして噂されていますよー!」

「な、何だか申し訳ない気が…」

キノピコ「何を仰いますかーっ、だから舞様専属メイドの座を取り合うライバルはたくさんでしたよー!
キノピコこれから一生懸命頑張りますのでー、またよろしくお願いしますー」


頭を下げてキノピコはまた柔らかく笑った。それとは正反対に、あたしの頭の中は大混乱中。
だ、だって…だってあれは只あたしが1人で萌えやら何やらに孤独奮闘していただけなのよ?それなのにそれを伝説のナレーターだなんてっ、それなら腐女子のヲトメなら誰だって出来るわーーー!!

情けない思いと申し訳ない気持ちに項垂れそうになる自分を必死で抑える。
まさか全国放映されているとは思わず、腐オーラ全開な自分を全国に広めてしまった間抜けな行為にか、定かではない……
自分の失態に涙出そう


キノピコ「舞様はこれからどうなさいますかー?お休みになられますかー?」

「え?あー、そうね〜…少し散歩でもしてこようかしら。部屋に来た意味なくなるけど」

キノピコ「そうですかー、それではキノピコは舞様がお散歩に向かう間お部屋のお掃除をしておりますのでー!
何かありましたら何時でもお呼び下さいませー」

「ありがとう。キノピコも好きな事してくれていいからね」

キノピコ「お心遣いありがとうございますー」


最後にキノピコの笑顔を見て、あたしは部屋の入り口へ再度向かった。
後ろから聞こえた「行ってらっしゃいませー」と言う言葉に振り返ってから手を振り、そのまま部屋を退室した。


「メイドさんかァ…やっぱりお姫様になると違うのねー」


後ろ手で扉を閉めて、適当に足を進める。
まさか自分がお金持ちのようにメイドさんを持てるとは思ってなくて、つい感嘆の溜め息が零れる。
その溜め息は自分への失態を思い出して出た不運なものでない、筈。

窓から見える庭で、子ども達がアイク、オリマー&ピクミン、フォックスと遊んでいる姿が伺えた。
新参者の2人は不慣れな為か少しおどおどしている。その姿を見ると、つい笑みが零れた。


「子供たちに遊ばれない様に頑張ってー」

クレイジー「…舞か?何を応援している」

「え?―って、マウス!」


コツ、と軽い足音が聞こえてきたかと思えば、足音の方向にクレイジーもといマウスがいた。
あたしと同じ光景を覗くと、途端に眉間を歪める。


クレイジー「成る程…あれか」

「傍から見れば和む光景よねー!一歩踏み入れば戦場だけど

クレイジー「否定は出来ないな。新参者も慣れが必要だろう、いい経験だ」


そうよね、自分に降りかかっちゃ溜まったもんじゃないものね。
マウスの言葉に苦笑を浮かべると、新参者と言う言葉である事を思い出した。


「そう言えばマウス、朝言ってた『表裏期』って何なの?」

クレイジー「ん?…ああそうか、お前もまだ知らなかったか。
表裏期とはその名の通り、表と裏の世界の月が交わる時だ。」

「何か特別な事でもあるの?」

クレイジー「この時期が訪れると表世界と裏世界の時空が交差する。つまり世界が統一となるんだ。
だから表裏期が近づくに連れ、裏世界の住人も表世界に顔を出す機会が増えるのだ」

「そうなんだ…裏世界の住人って、また新参者?」

クレイジー「いや、今裏世界にいるのはダークのような影の住人だけだ」

「じゃあダーク以外は初対面ね、また新しい人と会えるんだ」


また萌え要素のある人と会える事を祈りながら、少しだけ表裏期が楽しみになった。
この世界にはゲームの時とは違うものが組み込まれてるのね…何だか自分の世界が『現実』なんて言えなくなってきた。


クレイジー「朝の事と言えば、お前も里帰りを済ませておけよ。…とは言っても、お前は週一でしか帰れぬのだがな」

「里帰りはリンクとナビィが今行ってるのよね?」

クレイジー「ああ、だが今日朝言った事で早速里帰りした者が増えたぞ。
ピカチュウとルイージとヨッシーはもう帰国届けを出して帰ったからな」

「帰国届けなんてものあるんだ…(汗)」


何とも定期性なシステムなんですね。近代的な方法にホント現実味が溢れると言うか何と言うか…
苦笑が零れるあたしの隣からマウスが「ああ、そうだ」と何かを思い出したように呟いた。
振り向くと、彼はあたしを見つめていた。


クレイジー「舞、お前に頼みがあるんだが」

「え?あたしに?」

クレイジー「ああ、実は少し遅れてだが新たな参戦者が本日訪れる予定でな。
もうそろそろ来る筈なんだが…我は今から急いで仕上げねばならぬ仕事があるからな、代わりに出迎えてくれると嬉しいのだが」

「あ〜、そう言う事。うん、別にいいわよ!何処に行けばいいの?」

クレイジー「すまんな、連絡通りであれば屋敷の玄関口から来るらしい。
北通り口玄関だからな、間違えないように気をつけてくれ」


此処は本館どおりだから、北通りへここから北向きに行けばいいのね。
それにしても、遅れて来る新参者ってどんな人だろう。少し浮かれる気持ちを抱いて、どんな相手だか想像…………をしてて、あたしは相手がどんな人なのか特徴が分からない事に気付いた。
これじゃあもしいても気付かない可能性が高いわ。


「ねえマウス、その相手の特徴ってある?分かり易い方が助かるんだけど…」


いざ仕事へ、と戻ろうとするマウスも声に気づいて振り返る。
ああ、と言葉を漏らすと彼は人差し指を立てた。


クレイジー「簡潔にまとめれば人間と獣だ。

詳細特徴は――――」






***

++in北通路++




――…ふ〜ん♪ふふんふん♪


カービィ「カレーにたこ焼きハンバーグ〜♪デザートは〜混ぜ混ぜミックス、ミックスジュース!」


ぽよんっ、ぽよんっ!と弾みながら廊下を歩くのは、珍しく1人のカービィ。
ご機嫌に歌を歌いながら、皆が遊んでいるであろう中庭へ向かっている。遅れたのはいつも通り、朝ごはんを皆よりも長く食べていたからだ。

あと数分もあれば中庭に到達できるだろう。


カービィ「おまけにも1つペロペロキャンディー♪仕上げにおっきな〜…」

「わぁぁぁぁん!!」

カービィ「ぅ?」


カービィの歌声が消え、代わりに通路には大きな鳴き声が響いた。
それに気付いたカービィがきょろきょろと辺りを見渡すと、曲がり通路の辺りに人影が見えた。


カービィ「どしたの〜?」


空気を吸い込んで浮かび上がり、体を浮かしながら駆け寄った。
ちらりと見えた人影は、カービィの声に気付いて涙を流しながらも見上げる。


「うぅっ、お、お兄がァ…お兄がいなく、なっちゃって…!」

カービィ「お兄ちゃん?一緒に来てるの〜?」

「ぐずっ、ぎてるっ」

カービィ「逸れたのォ?」

「逸れたのぉぉぉ!!わ〜〜〜ん!!

カービィ「泣かないで〜。ボクが一緒に探したげるよ!ボク此処に住んでるから家の中分かるから〜」


地面に降りると、カービィは短い手で泣き叫ぶ男の子の手を握った。
座り込んでいた体を持ち上げて、男の子は繋いでいる手とは逆にあるもう片方の手で涙を拭う。


「い、いいの…?」

カービィ「いいよー!一緒に探そう〜」

「うっ、うん!ありがとう!」


すっかり涙を拭いた男の子はカービィの手を握り直し、歩幅を合わせながら一緒に歩いた。
カービィも泣いていた事は素で気にしていない。


カービィ「ボク、カービィ!君は?君は??」

「僕はトゥーンリンク!トゥーンって呼んでね」




***


++一方、こちらは北通路玄関++


マウスから聞いた特徴を当てに言われた北通路玄関に向かいました。
彼は分かりやすい相手の特徴を挙げてくれたから直ぐに見て分かったわ。その分かり易い特徴の相手は既にあたしの目の前にいて、マウスが言った特徴と全て一致していた。

はぁ…と感嘆な溜め息を漏らしながらあたしより高い身長の2人を見上げる。
因みに、マウスが言った新しい新参者のお客さんがどんな方かというと……


「まさかリンクの従兄弟だとはねェ…世界には似た人が3人いるって聞いた事あるけど……」


これは流石に吃驚だわ。
そう言葉を漏らすあたしが見上げる相手―リンクの従兄弟(兄)は頭を掻いた。


「はははっ、すみませんややこしくて。よくあいつとは双子かと聞かれるほどですから」


あいつとは間違いなくリンクの事だろう。リンクとはまた違った好青年と取れるのは、きっとこの人が柔らかくも敬語で話すからでしょう。何ともいい人オーラ全開な人だ。
そして……


「貴方はフォックスのライバルなのよね!名前こそウルフだもの…ホント、マウスの言うとおり狼そのもの!

ウルフ「悪かったな見た目通りで!!人の名前が可笑しいのかっ」


リンクの従兄弟さんの隣には、名前も見た目も狼な新参者、ウルフが腕組をして立っている。
フォックスのライバルだと聞いたんだけど妙に納得できる。…服とかが似ている所為なのか。


「可笑しいだなんて思わないわよ、男らしくてカッコいいじゃない!」

ウルフ「なっ!…ま、まあ別に喜んでるわけじゃないが…そう言うならとやかく言う気はない」


まあ何とも典型的なツンデレ。実は渋そうに見えてお茶目な一面を隠す彼に、何故だか可愛いと思ってしまうのはあたしだけでしょうか?


「ウルフの名前は聞いたけど、そう言えば義兄さんの名前聞いてませんでしたよね?」

「俺ですか?俺の名前もリンクなんですよ…あ、でも周りの奴らは皆俺のことトワと呼びますよ」

「トワ?どうして?」

トワ「俺の世界では黄昏時がよく見られますから、黄昏をトワイライトにしてそこからとられて呼ばれているんです」

「へ〜…トワさん。じゃああたしもそれで呼んでいいですか?」

トワ「勿論です、あと俺に合わせて敬語にならなくてもいいですよ。
…えっと…」

「あ、あたしもまだ名乗ってなかったわよね。舞です、よろしくね、トワさんもウルフも」

ウルフ「ああ」

トワ「こちらこそ」


簡単な全員の自己紹介も済み、改めて2階へ繋がる階段を上る。
…兎にも角にも、マウスが言っていたお客人はこの人達の事。彼らに会ったら連れて来て欲しい、と言う彼の伝言のまま、今は管理室へ案内中。

どうやら2人とも、故郷での用事が長引いてしまった所為で到着が遅れたらしい。
それでも来てくれたんだから嬉しい事この上ないだろう、特に管理者のミッキーは


ウルフ「おい、…##NAME2##…」

「うん?」

ウルフ「##NAME2##っ…、……………嬢ちゃん、管理室はあとどれくらいだ…」

「管理室はもう数分程度よ!ウルフ、あたしの事は呼び捨てで呼んでくれていいのよ?」

ウルフ「(まさか恥ずかしくて呼べないなんて言えない)…………すまん」

「ううん、いいの。呼びやすい様なら、別に何だって―――」


カービィ「ねえ泣かないで〜、もうちょっとで会えるよきっと〜〜!」


あたしの声を遮った謎の声が前方に姿を見せた。間延びした言葉に顔を向けると、同じくマイペースに歩くピンクボールがいた。
短い手の先に誰かの手を握っているが、間違いなくあれはカービィだ。


「カービィ!何してるのこんな所で?」

カービィ「あ!舞だ〜〜!!あのね、ボク今道案内してるんだよ!後で遊んでねっ」

「別にいいけど…道案内って誰の?」

カービィ「新しく友達になった子なの〜!えっとね、名前がー……」


トワ「あれ?トゥーン…トゥーンじゃないか!?」


あたしより少し後ろにいたトワさんが驚いた声を上げる。すると、声に反応したのはカービィと手を繋いだ男の子。
トワさんに似たような髪の分け方をした子は、猫のような目を歪ませた。


トゥーン「おっ、お兄ーーー!!」

トワ「大丈夫かトゥーン?何処行ってたんだよ、怪我は?」

トゥーン「な、ないっ」

トワ「悪い人に声は?」

トゥーン「掛けられなかった…っ」

トワ「ならいいんだ。もう離れちゃ駄目だぞ、手離しちゃ駄目な?」

トゥーン「うっ、ううぅ…!!お兄〜〜っ」

トワ「もう泣くなって」


トワさんにしがみ付いた男の子は、離れていた所為なのか泣きながら頭を撫でられた。
男の子の様子に苦笑を漏らすと、トワさんは頭を掻いて振り返る。


トワ「すみません、俺の弟なんですよ。本当はやんちゃなんですが、泣き虫なところがありまして」

「可愛いのねー、とって食っちゃってもいい?

トワ「え(汗)」

「冗談よ〜!(嘘だけど)お名前は何なの?」

ウルフ「(今可笑しな副音声が聞こえた気がする)」


こっそり何処かを向くウルフを他所に、トワさんは男の子の背中を押した。
涙を必死に拭う男の子は、まだ若干潤めながらも真っ直ぐと向き合ってくれる。


トゥーン「は、初めまして!僕トゥーンリンクって言うんだっ、トゥーンって呼んで!」

「トゥーンね、あたしは舞よ!お屋敷へようこそ、貴方も招待客として持て成しても構わない?」

トゥーン「僕を…?お兄が招かれるなら、僕もっ」

「決まりね!それじゃあ早速管理室へ案内するわね、えーっと此処から〜――」

「その必要はないよ舞君」


階段を一段上ろうとしたところで、またもや飛び入り第三者の声が響いた。
この声と呼び方は間違いない…、カツン、とヒール音を鳴らして階段を上から降りてくる影を見上げると、そこには満面の笑みを浮かべた予想通りの相手が


「ミッキー!」

マスター「ありがとう舞君、お陰で助かったよ!
―さて、新参者の諸君、我が屋敷へようこそ!!私はマスターハンド、この世界の管理者だ!」

トワ「リンクです、トワと呼んでください」

ウルフ「ウルフだ」

トゥーン「僕トゥーンリンク!」

マスター「うん、お三方登録通りの人物だね。よしっ、それじゃあこれから簡単にこの世界のシステムを教えるよ!舞君、君はどうする?話を聞いてもいいし、嫌ならいいよ?」

「あたし?う〜ん…そうね。他のメンバーも気になるし、あたしはパスするわ」

マスター「分かった!つき合わせてすまなかったね、本当にありがとう!
じゃあお三方は私に着いて来てくれ、別部屋でミーティングしよう」


長い髪を翻し、ミッキーは段上の上をまたヒール音を鳴らしながら歩いていく。
見かねたトワさん達も続こうと階段を駆け上る。


ウルフ「またな嬢ちゃん」

「次は名前で呼んでねウルフ!」

トゥーン「お姉ちゃん、今度遊んでくれる?」

「ええ、勿論よトゥーン!何時でも待ってるわ」

トワ「有難う御座いました舞さん、また後ほど会いましょう!」

「トワさん達も気をつけてね。また!」


一人一人が言いたい事を言い終える頃には既に階段を上りきり、ミッキーへと続くように走っていった。
ボーっとしながら一連の行動を見ていると、ずっと静かにしていたカービィが腕の中に飛び込んでくる。


カービィ「舞〜、どしたの〜?」

「ん、何でもないわよカービィ。また一緒に闘える人が増えたわね!」

カービィ「増えたの!?わーいっ、今度大乱闘してもらお!」

「そうしてもらえるといいわね」

カービィ「うん!」

子リン「あ、カービィ〜!!やっと来たっ、あ!舞お姉ちゃんも一緒だ!!」

プリン「わーっ、舞も一緒に遊びまちょ!」


玄関を潜り抜けてきた子供たちは、あたしとカービィの声に気付いたらしく手招きをした。
喜びながら駆け寄ろうとするカービィも、あたしの頭に乗ったまま。どうやら子供たちに付き合わなくちゃいけないらしい。

少しとなく大分疲れそうな予感に零れる溜め息を1つ吐き出した。


「行く?カービィ」

カービィ「行こうよ舞!皆が待ってる!」

「そうね、行きましょう」


子供たちが待つ玄関口へ、カービィを抱えて足を向ける。
少しずつ笑顔になっていく子供たちを見ると、疲れそうだと思った心も吹き飛んでしまった。
知らずの内に、あたしにも笑顔が広がっていたとは気付くはずもなく。





***



――カチャ、カチャッ


舞が子供たちに振り回されている間、彼女の弟の渉は家で洗い物をしていた。
部活も学校も今日は休みのようで、その表情は明るい。


渉「姉ちゃんももう直ぐ帰ってくるかな〜、帰ってきたら何しようかなー!」


待ち遠しい週一の日曜日がいつもよりも楽しみになり、渉はその日が近くて機嫌が良かった。
帰ってきた姉と何をするかを頭の中で考えながら洗っていると…

パンッ!

と何かが弾けた音がした。渉も直ぐに気付き、音のした方向をみる。


渉「あれ?―うわっ!食器が割れてる」


食器棚の中に入っていた1つのカップが真っ二つに綺麗に割れていた。
片付けようと手を伸ばすと、それが姉のものだと気付く。


渉「ヤだな〜…不吉の象徴みたい。不気味だなァ」


呟きながら2つに割れたカップを片手ずつ持つ。
舞がお気に入りに使っていたカップは、丁度イラストに描かれた黒猫が真ん中で切れていた。





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