23.ポケスペ言えるかな





++in管理室++


いつもながら、暗い闇夜のような部屋の中に一際目立つ光の魔方陣が点る。


「じゃあね舞、あたしも一度帰るわ。」


その布陣に向かって歩くのは、先日フェレ親子との一件で世話になったサムス。
彼女も一時期帰還するとの事らしい


「サムスもかァ…また一段と寂しくなるわね、まとも人がいなくなって」

「ははっ、大丈夫よ。貴方は今まで乗り切ってきたんだから、何かあったらまた連絡頂戴」

「ええ、分かった!」


軽くパチンッ、と手を合わせると、名残も振り払ってサムスは魔法陣に乗った。既にその上にはサムス以外にも2名ほど乗っていた。
それが誰かと言うと…


「じゃあね舞姉さん〜!僕もパッパって用事終わらせて帰ってくるからね!」

「行ってらっしゃいポポ!それに、クッパもね。クッパjr.によろしく!」

「うむ。まあ貴様の性格なら心配もする事は無いだろうが、一応は…―、って糞餓鬼!我輩の髪を引っ張るのではない!!」


キャハハ!と楽しそうに背中に乗ってはしゃぐのはポポ、遊ばれているのは閻魔大王クッパだ。
こう見ると彼が悪の魔王にも見えず、クッパjr.に続いての親子関係を築いているようにも見える。思わずその微笑ましい光景に口元が緩んだ。

因みに言うと、今此処にはポポしかいなく、相棒のナナの姿が見えない。
どうしてかと言うと…、治りはしたがまだ足の様子が不安だと言うことで、もう1日だけ様子見をする為に残ったのだ。


「ねえポポ、本当にいいの?ナナが一緒じゃなくて」

「うん?大丈夫だよっ、僕は先に帰ってナナを出迎えれるようにしとくんだ!」


眩しい笑顔でそう言うポポの言葉に頬が緩んだ。確かに、暫く行ってない世界が完全に安全とは言い難い。
一度様子見をポポがして、ナナが安全に来られる様にしておくのが得策だろう。子供と言えど、いい判断だ。


「ポポ、無理はしないでね?何かあったら連絡して頂戴!」

「うん!舞姉さん、ナナをよろしくね!」

「任せておいてっ」

「―3人とも、そろそろ準備はいいか?」

「ん。ああ、勿論さ。パパッと頼むよ」


マウスとサムスの会話を耳にして、あたしはポポと話していた為に近づいていた魔方陣から離れた。


「気をつけてね3人とも、くれぐれも無理はしないように!」

「はーい!行ってきま〜す!!」


行ってきますか…。寧ろ、今から帰る所が故郷だと言うのに。無邪気に手を振って一瞬で消えたポポの言葉に苦笑が漏れる。
何処か寂しさの残る空間の中に残ったのはマスターとクレイジー、そして舞と謎のカラフルな生き物だけだった。




++○月☆日++

本日の帰還者…
・サムス
・クッパ
・ポポ






ポケスペ言えるかな







++in中庭++


「――え、里帰り?」


きょとん、と黒の瞳を呆けさせた舞の視線の先に、黄色とピンクの小さな影がいた。
きゅるっ、とした瞳を片方は潤ませ、片方はにこやかに笑っていた。


プリン「そうなの!プリン達も帰るんでしゅ!」

「そう…皆帰っていってるものね、大切な事だわ。気をつけてね!プリン、ピチュー」


小さな影、基プリンとピチューに笑いかけ、舞は読みかけの本に栞を挟む。恋愛小説の結末部分まで行き当たったそれの続きはまた部屋で読もうと決め、クリーム色の表紙の小説を隣に置いた。


プリン「でもでもっ、今日はまだ帰らないの!プリン達っ」

「え?今からじゃないの?」

プリン「うん、あのね、ホントはね?直ぐに帰る予定だったんでしゅ。でもピチューがもうちょっといたいって言うから…」

ピチュー「ぼくっ、まだいるノ!舞といるノ〜!!」


潤ませていた瞳から限界を告げる様に滝のような涙を流した。ピチューはうぎゃああ!!と泣き叫び、舞のコートに飛びついて涙を滲ませた。
可愛いとは思うが、ピチューの涙が物凄いスピードで制服を濡らしていく!!(汗)


「わわ、分かったわピチュー!そうね、最近遊んでないものねっ。今日ばかりは一緒にいましょう!!」

ピチュー「ほ、ホント…っ?」

「ホント、ホント!ね?一緒にいるから、今日の遅くにでも帰ればいいから。泣かないでピチュー」


小さな体を抱えて、舞は自分の隣に座っているプリンに視線を向けた。


「帰るのはプリンとピチューだけ?」

プリン「ううん、ミュウツーとルカリオも帰るでしゅ」

「そう、2人とも一緒に帰るのね…。
じゃあ、折角だし、今日はポケモン組と一緒にいましょうか!」

プリン「わぁ!ホント〜〜!?」


大きな黒色の瞳をきらきらと輝かせ、プリンは嬉しそうに舞を見上げた。子どもの純粋な喜びを表す笑顔だ


「ええ、勿論よ!ミュウツーとルカリオも呼んでね。えーと、でもルカリオ今日屋敷に来るかな」

プリン「ルカリオ見たよ!ミュウツーと食堂でお話してまちたっ」

「あ、本当?じゃあ、悪いけどプリン呼んできてくれる?ついでにピチューも連れてってくれると助かるんだけど…」


そうでもしないとコートが涙塗れになってしまう。


プリン「うん、いいよ!ピチュー、舞とお話する為でしゅ!早く行くでしゅ!」

ピチュー「う、ウンっ。舞まっててネ、すぐ帰ってくるカラ!」

「はいよー」


小さな両手で懸命に涙を拭うと、ピチューは舞が座る噴水から飛び降りて屋敷内に走っていくプリンを追いかけた。


「さーて今日はポケモン組と一緒だから何をしようかな〜…」


2匹のポケモンの去り行く姿を見送って腰を立ち上がらせる。静かな中庭に温かい風が緩やかに流れた。


「ミュウツーもルカリオもあまり話さないからいい機会だし――」

「ピカチュウー!おーい、ピカチュウ〜!」

「…?…あれ、サトシ?」

サトシ「何処にいるんだよ、ピカチュウー!!」


噴水の水を透かした向こう側に、見覚えのあるシルエットが見える。声の調子とを比べると、相手は特定した人物となる。
邪魔になる水から体をずらすと、確かにその先には背中を向けたサトシがいた。


サトシ「はぁ、いないな〜…。何処に行ったんだよ…」

「サトシ〜、何してるの?」

サトシ「え?―Σうわぁあ!?わわっ、舞!?わっ、え〜っとこれは、その…!」

「…サトシ、あたしと会う度に化け物見たように驚かなくても…」

サトシ「ごご、ごめん!今のは、吃驚したからついっ」


さっきまでのしっかりとした雰囲気がなくなり、サトシは顔を赤くして両手を否定するように振った。
会う度にいつもの事だが、男らしくないその行動に舞も思わず綻んでしまう。


サトシ「な、何か可笑しいか…?」

「いいえ!それよりサトシ、さっき何か探してなかった?」

サトシ「あ、うん。実はピカチュウを探してたんだけど、舞見てない?」

「ピカチュウ…?あれ、サトシの相棒はゼニガメじゃなかったっけ」


記憶の糸を探り、彼と出会ったときの事を思い出す。あの時、パートナーとして紹介したのは青色の亀だった筈。
頭を捻る舞の姿に、サトシは苦笑を漏らして口を開いた。


サトシ「ゼニガメは二番目のパートナー。ほら、オレとレッド、手持ちのポケモンが一匹ずついなくなってるって言っただろ?」

「そう言えば、そんな事言ってたような…、って事は、サトシのいなくなったポケモンってピカチュウ!?」

サトシ「ああ!一番の親友さ!この世界は色んな野生のポケモンが来るって言うから期待してたんだけど…
参ったな〜」


サトシは困ったように笑い、表情に影を落としながら溜め息を吐く。
確かに舞もフォックスから聞いた、この屋敷には時々野性ポケモンが訪れる、と。その中にピカチュウの影は見たことがなかったけど…、サトシにはそれが重苦しい事実だったんだろう。

目に見えて落ち込むサトシに、舞は背中を叩いた。


「大丈夫よサトシ!此処では非現実的な事が良くも悪くもよく起こるんだからっ」

サトシ「でも…」

「きっと大丈夫っ。国民的アイドルピカチュウが姿を見せないと言う事は、迷っているか或いは闇取引に引き取られただけ!」

サトシ「Σえぇえぇぇぇっ!?」


しまった逆効果だった。逆に不安がらせてどうする、もうお馬鹿ッ


「だ、大丈夫だから!サトシが嘆くなら乱闘できないあたしでも助けに行けるわっ。腐ったオナゴ美青年の涙と笑顔と萌えに弱いの!!」

サトシ「も、モエ…?」

「そうっ!例えそれが闇取引だろうと、例え密輸売買だろうと!例え火の中水の中草の中森の中…

サトシ「Σ趣旨変わった!!舞、それ違うっ!オレ達のやつ!!」

「知ってたんだ張本人」


まさか自分で自分達の歌を言わないといけないとは。
突発的な予想外な彼女の発言に冷や汗を流しながらも、サトシは目の前で笑う舞に視線を向けた。そこである事に気がつく。


サトシ「(あれ?オレ、さっきまでずっとイライラしてたのに)」


相棒が見つからない事に苛立っていた気持ちがいつの間にか治まっていたのだ。ツッコミで疲れはあったものの、それでもさっきのような嫌な思いは残っていない。


サトシ「…」

「兎も角、必死ならあたしも探すの手伝うわ!それでサトシが…――
…ん?どうしたの?」

サトシ「いや…舞って、凄いんだなと思って」

「はい?」

サトシ「だってオレ、さっきまでピカチュウが見つからない事でイライラしてたのに…。舞と話したら、すっきりしたんだ。どうしてか分からないけど、何でだろ?」


きっと舞はその気で話したんじゃないだろうけど…。
首を捻るサトシの様子に瞬きをして、頭の後ろに手を持っていった。


「イライラしてるのは気付かなかったけど、それでサトシが気分よくなったならいいじゃない!深く考えることないわ」

サトシ「そう、なのかな?」

「そういうものよ。軽く流して、ピカチュウ探ししましょ!あたしも手伝うからっ」


元気を出させるような笑顔と共にガッツポーズを作ってみせる。満面の舞の笑顔に顔がまたもや一瞬で赤く染まり、サトシはまたドギマギとなってしまった。


サトシ「あ、ああ!舞、ありがとう。オレ、やっぱり君の事…」

「…ん?サトシ?」


再度顔を赤くさせ、今度は俯いたサトシの様子に首を傾げた。一目惚れをしてからずっと目で追っていた彼女を前に、サトシは赤くなった顔を上げた。
いい雰囲気が漂い、サトシは迷わせていた心に決意を秘めて真っ直ぐと舞を見つめた。


サトシ「舞!お、オレ…っ。オレ、実は前からキミの事を――」


「あーららら、ナンパなんてしちゃってるよこの人〜」


サトシ「!?」
「んん?」


決心をしていざ!…と言う時に、まるで割り込むように第三者の声が聞こえてきた。
舞とサトシはほぼ同時に声の聞こえた方向に視線を向ける。…と、そこには彼らに向かって歩いてくる、2つの影があった。


「(誰?また新しい参戦者?)」

「キミなんかが女の子に興味を持つとは、心外だね〜、サートシ君?」

サトシ「なっ、――シゲル!?」


シゲル、そう呼ばれたのは2つの影の片方。サトシ達の持つボールと同じものを指でくるくると回し、皮肉な笑みを浮かべている方だ。
…だが、シゲルと一緒に歩いてくる方も同じような身形をしていて、まるで鏡に映したようにそっくりである。
これは、もしかしなくともあれだ。


「(ドッペルゲンガー再来!?)」

シゲル「似合わない事は止した方がいいんじゃないの?サトシ君はさ〜」

サトシ「う、煩いなっ!何でお前が此処にいるんだよ!!」

シゲル「キミとレッドが招待されているんだ、同じ世界に住む者なら大歓迎という手紙を貰ってね」


そう言うシゲルは、指で挟んだ1枚の紙をひらひらとさせた。どうやら、あれが手紙らしい。
サトシは余裕に笑うシゲルに口惜しそうに睨んでいた。


「(ま、不味い…喧嘩が勃発する!)
あー、2人とも落ち着いて!ねっ、折角来たんですからもっと楽しむような事していって下さいよ!」

サトシ「舞!でもこいつはっ」

こりゃサトシ!我が儘言わないの、あんたは小学生か!」


舞の言った小学生と言う聞きなれない言葉に疑問に思うも、サトシは渋々口を閉じた。
その様子に満足そうににんまりと口元に笑みを作る。


シゲル「へぇ、キミがサートシ君の意中の子?」


…すると、間に入ったことにより直ぐ左隣に立っているシゲルが近づいて舞の顔を覗き込んだ。サトシはサトシでそのシゲルの行動を気に入らないようにむっと眉間に皺を寄せる。


シゲル「ふーん…確かに可愛いね、キミ何て名前だい?」

「は?ああ、舞ですけど」

シゲル「舞、か。いい名前だね、僕はシゲル!ねえキミ、僕の事どう思う…?」

サトシ「Σなっ!?」


妖艶な空気を身に纏い、シゲルは舞の顎を掴んで上を向かせた。女の子なら一発でくらりとくるような笑顔を貼り付けてだ。


「え、カッコいいと思うけど?美形だし、萌え要素十分にあるしね!まあ敢えて言うならもちょっと露出面が欲しいところだけど


が、舞には効果覿面ではなかったらしい。ひくり、とシゲルの口元がひくついたのは誰も気付かなかった。
乙女感情を持たない彼女にはお色気作戦通用しなさそう


シゲル「ま、いっか。まあ僕はこのサートシ君のライバルやっててやってるんだけどさ、これがまた手のかかる仕事でね〜。あ、もし良かったら今度一緒に出かけるかい?キミに聞きたい事とかあるし、僕の事だって話したいことが山ほどあるんだ。それから」

「…シゲル、止めておけ。相手が混乱してるだろ」


突然炸裂するシゲルのマシンガントークに、思わず舞はきょとんと呆けてしまう。シゲルに似た少年の制止の言葉でようやく気付き、参ったようにシゲルも苦笑する。


シゲル「あ、ごめんね。僕うっかりやっちゃう事あるんだ!大丈夫?」

「は、はぁ…」

シゲル「それは良かったvねえ、もし良ければキミの事聞かせてくれない?もっと親しくいこうじゃないか、ね!」


にっこり笑うと、シゲルはまだ呆然とする舞の手を握った。しかし、今まで静かに見ていたサトシが、流れるような急展開にようやく頭が追いつき、慌ててその手を払いのける。


サトシ「や、止めろよシゲル!!お前、さっきから図々しいぞ!少しは自重しろっ!」


食いかかるサトシに、今度はシゲルが面白くないと言うように眉間をゆがめた。


シゲル「キミこそ空気を読み取れないのか?お子ちゃまサトシ君にはまだ早い恋を邪魔しないでくれよ」

サトシ「な!何がっ、お前なんかよりオレの方が先に舞と知り合ったんだぞ!!」

シゲル「関係ないね!時間なんてこれから作っていけばいいんだから」

サトシ「お前には他の女の子達がいるだろ!軽い気持ちで舞を弄ぶんじゃない!!」


どんっ!と突かれたからか罵声の言葉にか…シゲルはむっ、と眉間に皺を寄せる。
服についた土を払いながら蔑んだ目でサトシを見た。


シゲル「誰が軽い気持ちなんて言ったのかな?僕彼女に興味を持ったんだ、今までにない面白い子だし…
流石に今回は引き下がれないなァ」

サトシ「なっ、んだと〜〜!!」


火花が散りそうなほどの睨み合いを果たし、サトシとシゲルの間に不穏な空気が漂った。
結局止める事が出来ず、結果的に逆戻りになってしまった事実に、舞は頭を抱えた。


「は〜…どうしましょ、こんな事になるとは思わなかった…」

「…悪かったな、家の者が世話になって」


思わずふらつく体を支えるように、シゲルに似たツンツン髪の少年が舞の背後に立った。
その様子に気付き、舞も体制を整えて頭を下げる。


「いいえ、こっちこそ不快な思いさせてごめんなさい。
遅ればせながら舞です、貴方は?」

「グリーンだ。シゲルとは双子でな、あんなのでも兄なんだ」


向こうでサトシと睨みあうシゲルに視線を向け、グリーンと名乗った少年は溜め息を吐いた。その重苦しい溜め息を見て、舞はこの人も苦労してるんだな、と身を持って感じた。


「…お互い、苦労しますね」

グリーン「全くだ…、お前とは話が合いそうだな」

「ええ、いつでも言って下さいね。相談事になら乗れると思いますから」

グリーン「ああ、礼を言う。…お前も話しくらいなら聞いてやるぞ」

「助かります」


意外なところで仲間を見つけ、思わずほろりと零れ落ちそうになった涙を拭った。
それもそうだろう、此処最近なんてナビィもいないしまともな人も帰っていくばかりで疲れも溜まるものだ。身に滲みる優しさ巡り会えた瞬間でした。


「あ、舞だ。おーい、舞!」

「え?――あ、レッド!どうしたの?」

レッド「いやー、散歩してたら姿が見えたからさ…、って、あれ?グリーン!?グリーンじゃないか!」

グリーン「………」


サトシと似た形容、赤の帽子と上着が特徴的なポケモントレーナー、レッドが戯れる舞達に駆け寄ってきた。
そこにいる元の世界での自分のライバルに気付き、驚いたように黒の瞳を大きく開いた。


レッド「久しぶりだなっ、どうしたんだよいきなり?」

グリーン「シゲルが行ってみたいと言ったから来ただけだ。」

レッド「へぇ〜…、それにしちゃあ舞と仲いいんだな?」

「さっき意気投合したのよ」


その内容はあまりいいものじゃないけれど


「2人とも知り合いなのね、友達?」

レッド「って言うかライバルだな!オレとグリーン、サトシとシゲルがそれぞれライバルなんだ」

グリーン「とは言っても、オレは実力上負けてるがな。こいつにはリーグ決勝戦で負かされたんだ、まだまだ力が足りない」

「リーグ決勝戦!?それってもしかして…、レッドってリーグ優勝者なの!?」

レッド「ああ、言ってなかったっけ?」

「聞いてなかったわよ、吃驚したわ!」


目の前で笑うレッドに関心の溜め息を吐き、舞も口元を綻ばせる。
…だが、ふと疑問が浮かび上がり、冷や汗を1つ流して声を細めてレッドに問いかけた。


「……あの、不束な質問になるんだけど」

レッド「ん?」

「リーグって…腹黒王者決定戦リーグとかじゃないわよね?」

レッド「あははは、もう舞ったらー。怒りのあまりぶつよ?

「Σすんませんした!!(汗)」


心の中で全力で土下座をして、天使の微笑みと共に鬼の握りこぶしを作るポケトレに冷や汗を流した。
「分かればいいんだよ!」と、いつもの笑顔に戻るレッドの様子に、相変わらずだな…とグリーンまでも溜め息を吐いたのは言うまでもない。


「(はぁ…レッドが天然黒って事忘れてたわ)」

「――ちょっと、グリーン〜!人を置いてくなんて酷いんじゃないの!?」

「…ん?」


耳に届いたソプラノ調の声…。舞は膝に手をついていた為に塞ぎ込んだ体を垂直に伸ばす。
すると、高くなった視界に忙しそうにバタバタと走ってくる影が数個入った。


「ったくよ〜!此処の庭広すぎるっつうの!」

「お、お2人とも待ってください〜〜!」

「何?誰、あれ?」

レッド「ああ、オレ達の仲間だ!グリーン、一緒に来てたのか?」

グリーン「まあな。…煩くてしつこいんだ」


駆けてくる茶色、黒色、金色とそれぞれの色を持った影は、間もなく舞達の元へ辿り着く。先頭を走る少女の後ろに着いて来ていた金色の髪の者は汗を拭い、顔を上げると大きな瞳を更に大きく開いた。


「あっ。あの人…」


金色の髪の者の言葉は掻き消され、真っ先についた青髪の少女は、腰に手をあててキッとグリーンを睨み上げた。


「全くっ、レディーに走らせるなんてどう言う事!?」

グリーン「仕方ないだろう、お前たちが遅いのが悪い。」

「あら、グリーンの癖に歯向かうと言うの?おほほほっ、私に逆らうと後が怖いわよ〜?」

グリーン「貴様の罰なんてもう避けられる。同じ手口でいつまでも通用すると思うな」

「言うようになったじゃないの、最初の頃は奥歯ガタガタ言わせてたのにねv

グリーン「過去の栄光をいつまでも引き摺るようでは、お前もまだまだだな」

「(グリーン強っ!!)」


サトシとシゲルに続き、またもや不穏な空気を漂わせる雰囲気が広がってしまった。向こうでもまだ行われていて、舞は何故仲間内で彼らはこうもよく争うのだろうか…、と内心溜め息を吐いた。


「(これって実写版の第二次世界大戦か何か…?)」

「あ、あの〜…。すみません」

「え?はい」


控えめにかけられた声に気がつき、舞は後ろへ振り返った。すると、そこには自分を見上げてくる、何処か見覚えのある麦わら帽子が視界に入った。
麦わら帽の下に見える小さな顔に、相手は笑顔を綻ばせた。


「やっぱり!以前お会いした方ですよね?レッドさんを探している時に道を聞いたんですけど…、覚えてます?」

「え?――あ!あの時の!?」


パッ、と驚いた顔の舞の脳内には、オリマー達に会う前の光景が浮かび上がる。
スケッチブックを見せてレッドの居場所を聞いてきた人…。確かにその記憶は残り、まだ新しいものだった。


「勿論覚えてるわ、あの時はドタバタしてたけど」

「その節はどうもお世話になりました。あの時は本当に助かりましたっ」

「あ、いえいえそんな、ご丁寧にどうも」


律儀にお礼と一緒に頭を下げる相手に、舞も慌ててお辞儀を返す。このメンバーの中でこんなに健全によく育ったものだと、こっそり感心しながら。


「ボク、イエローって言います!イエロー・デ・トキワグローブです。」

「あたしは舞よ!よろしくね、イエロー」

イエロー「はいっ、こちらこそ!」

「おいおい麦わらギャル〜、オレだけ仲間外れっぽくねえかァ?」


挨拶を交わしていると、イエローの後ろから誰かが顔をひょっこり覗かせた。黒い髪の前髪を爆発させ、レッドやサトシとは違い帽子のツバを後ろ向きにさせて被っている少年。


「貴方は?」

「オレ、ゴールド!よろしくっ、えーと、あんたは舞だっけ?」

「ええ、そうよ。よろしくねゴールド、今更だけど、スマブラ屋敷へようこそ!歓迎するわ」

ゴールド「へぇ、あんたもこの屋敷に…。じゃあ此処では先輩だな!」

「そうね、そう言うことになるかもしれないわね。まあ、気楽に楽しんで頂戴!」

ゴールド「ウッス!」

サトシ「ん?――うわっ!いつの間にか凄い数になってる!?」

イエロー「サトシさん、シゲルさん!」

ゴールド「先輩、今頃気付いたんスか〜?遅いっスよ!久しぶりですねっ」


ようやく争いごとを終えたのか、サトシは気付けば増えていた人数に驚きを隠せなかった。挨拶を交わす後輩であろうゴールドと再会の挨拶をシゲルとも交わしている。
イエローも、今更ながら茶髪少女とグリーンのやり取りに気付き、慌てて仲裁に入っていった。何だかとても濃いメンバーに、思わず舞は苦笑を漏らした。


「はぁ、何とも言えない珍集団で―」

―シュンッ

ミュウツー「待たせた…」

Σあいぎゃぁぁあぁ!?ミュウツー!?って何これ以前と同じパターン!!


大きな悲鳴を上げるほど驚いた舞の視線の先…、そこには、ピチューとプリンを抱えたミュウツーとルカリオの姿が映っていた。
どうやら、ミュウツーのテレポートを利用したらしい。彼の頭の上からピチューが小さな手を振ってきた。


ピチュー「舞〜!おくれてゴメンね!」

ルカリオ「大丈夫か?」

大丈夫じゃなさそうよ…あのね?いつも突発なタイミングで現れないで頂戴、お願いだから!」

ミュウツー「む、すまない」

「分かってくれればいいの…、もう気にしてないから」


ミュウツーから飛び降り、舞の腕の中に飛びこんでくるピチューをキャッチ。
喜びはしゃぐピチューを宥めながら、ある事を思い出し視線をミュウツーとルカリオに向けた。


「2人も帰るんでしょ?何て事、また1つ萌え要素が消えるのね…!

ルカリオ「すまぬな、用が済めば帰ってくると思う。…企画というものがあるらしいしな」

「いいのよルカリオ!そうね、じゃあ別れの挨拶の基本として愛の抱擁今かましましょうか!

ルカリオ「挨拶の基本なのか、知らなかったな」

ミュウツー「…舞、頼むからルカリオの性格を読んでの物頼みは止めてくれ…」

「あ、バレた?


ミュウツーの静止で、あと少しだと言う所で止められた。内心、惜しいと思いながら仕方なくルカリオの肉級を触るだけで落ち着いた。
ついでにミュウツーの尻尾も握ると、天然な彼は嫌な様子も見せず思う存分触らせてくれた。


ミュウツー「舞は…触るのが好きなのだな」

「腐ってますから」


ふと、姿が見えないプリンを探すと、彼女はルカリオの頭の上にいた。プリンはどうやらルカリオが気に入ったらしく、彼から離れない様子。


「(プリンも女の子だものね)」


そんなプリンの様子に笑っていると、後ろからざわめきが聞こえた。
それに続き―――


サトシ「なっ、ルカリオ!?」

「ぷりり!ぷりりじゃない!!」

ゴールド「ピチュ!何でここにいんだ!?」

イエロー「もしかして、ミュウツーですか!?」


「…へ?」


知ったような口ぶりで名前を呼ぶポケトレメンバー。舞だけが分からずに首を傾げていると、彼女の腕の中からピチューが声をあげた。


ピチュー「あー!ゴールドだ〜!舞っ、ぼくのマスターなノ!」

「ピチューのマスターなの?じゃあ、プリンは…」

プリン「プリンはブルーなの!」

「ブルー?それってもしかして、あの茶髪の女の子の事?へ〜」

グリーン「舞…お前、ポケモン達と話せるのか?」

「え?ええ、まあうん…。グリーン達もそうなんでしょ?」

イエロー「ボク達、声聞こえませんよ!うわー!凄いです舞さんっ、ポケモンと話せるなんて!」


きらきらという効果音が似合いそうなほど、イエローは瞳を輝かせた。
ごぶはぁっ!!
…と、舞はイエローの笑顔に1億のダメージを負ったのは言うまでもない。そして何とか理性を保たせた事も


「で、でもレッドとサトシは声聞こえるんでしょ?」

レッド「ああ、聞こえるよ。…でもオレ達も此処に来てからだけどな」

「そうだったの!?あたし誰にでも聞こえるものかと思ったわ…」

ルカリオ「恐らく、スマブラメンバーにのみ特別な力が働いているのだろう。舞を含め、スマブラメンバーの周りにはサトシ達とは違う波動が見られる」


冷静に判断し、呟きを漏らすルカリオの言葉に納得した。確かに、このお屋敷に住んでいる者達には難なく声が聞こえるのだ。きっとマスターとクレイジーの力が働いているのだろう。
そう考えれば納得もいく。


ピチュー「ゴールドだ〜っ、久しぶリー!」

ゴールド「よぉ、ピチュ!久しぶりだな!!」

イエロー「ミュウツーもメンバーだったんですね、驚きました!」

ミュウツー「うむ…」

「ルカリオってサトシのポケモンだったの?」

ルカリオ「いや、以前世話になったのだ」

サトシ「一緒に旅したんだけど、一時的なものに過ぎなくてさ」

シゲル「そうだよね、サートシ君には勿体無いほどのポケモンだし、キミには到底無理だからね〜」

サトシ「何だとシゲル!?」

「い、一々喧嘩しないでよ2人とも!」


何故こうも敵対するのだろう、正に犬猿の仲とはこの2人の事を言うのだろう。サトシとシゲルの様子に慌てている舞を、ブルーと呼ばれた少女の腕の中にいるプリンが指差していた。
その先をブルーも追うように舞に視線を向け、意を決して駆け寄った。


プリン「舞〜!ブルーが挨拶したいみたいっ」

「え?」

ブルー「初めまして!貴方、私がいない間ぷりりを見ていてくれたのね?」

「や、そんな…。あたしは只遊びに付き合ってただけだから」

ブルー「十分よ。本当にありがとう、私ブルー!よろしく、貴方は舞よね?」

「ええ、こちらこそ。ブルーも今更だけど、此処に来たことを歓迎するわ!」


笑顔を咲かせ、今更ながらも紹介を済ませて舞はブルーと握手を交わした。ブルーが異常なほどにっこり笑顔な所に疑問を浮かべたものの、舞も笑顔は崩さなかった。


「それにしても、ブルーのプリンは強いのね!以前大乱闘でいい活躍してたわよ」

ブルー「ありがとう!ぷりりはあたしの自慢のポケモンなの、褒められると嬉しいわ!」

「育成をするマスターの腕がいいのね。プリンも幸せものね〜」

プリン「うん!ぷりんの自慢のマスターなんでしゅっ」


頭を撫でるとプリンも嬉しそうに笑った。お互いが信頼しあっているいい関係を築いてるようだ。


ブルー「私舞に褒められるなら何でもするわ!それこそ窃盗から暗殺まで

「いやそれもう褒めるの領域じゃないから


やってはいけない行いまで褒める気はないぞ、と心の中で可憐に微笑むブルーにツッコミをいれた。
それでも尚笑顔を咲かせながら、ブルーは腕を舞の腕に絡み付けた。


ブルー「大丈夫!全てはポケモン達に(脅して)頼んでやらせる事だから」

待てい!!副音声で言った言葉は何!?ポケモンって下部じゃないでしょ!」

ブルー「ええ、下部じゃないわ!誤解だわそんなのっ」

「そ、そうよね。ポケモントレーナーだもの、そんな事は――」

ブルー「私の下部は愚かな人間どもだからv

「Σどちらにしろ最悪だぁぁあぁぁああぁ!!」


まさかのブルーの黒発言に舞は絶叫に近いツッコミを炸裂する。何故だろう、ポケモン組から早くも2人腹黒が出没してしまった。
イエローに呼ばれてブルーが離れ、その隙を見計らって舞は溜め息を吐いた。それを遠くから見つけ、ゴールドがピチューを頭に乗せたまま駆け寄ってきた。


ゴールド「大丈夫スか〜?」

ピチュー「舞だいじょうぶ〜?」

「え、ええ…平気よ。ありがとう2人とも。ピチューはゴールドのパートナーだったのね!」

ゴールド「そうなんスよ!こいつオレに似てやんちゃっしょ」

「ええ、とても元気がいいわよ!そう、ゴールドに似たのね、ピチューの元気は」


舞は改めてピチューを見た。確かにそう言われればよく似ている。何故かピチューの前髪が少しはねている為、何故だろうと思っていたが…。まさか主人に似てのトレードマークとは。
可笑しそうに笑っていると、ゴールドがじっと舞を見つめていた。彼女もそれに気がつき、首を傾げる。


「ん?ゴールドどうしたの?」

ゴールド「いや…何かこうすると、オレ達って恋人みたいっスね♪」

「え?恋人?」

ゴールド「そう!ピチューを2人で愛でるカップル〜、みたいな?」

「あはは、可愛いカップルねそれも!ゴールドも面白いこと言うのね」

ゴールド「…あ、あれ?もしかして冗談って思ってます?舞先輩、オレ冗談なんかじゃねえんスよ〜!
あ、年下ってもしかして守備範囲外?」

「え?いや、別にそうでもないけど」


と言うより、自分は萌えの対象に入っていればどんな年齢でも万全に受け付けるとも。勿論それは、今自分に言い寄ってくるゴールドも入っている。
舞の言葉に気をよくしたのか、ゴールドは舞の肩を抱いて顔を近づける。


ゴールド「んじゃ問題ねえ事だし!此処は1つ、親密感を深める為にもお近づきの証に―――」

ブルー「ちょっとゴールド?何やってるのよ、あ・な・た・はv

ゴールド「へ?―Σゲッ!フェロモンむんむんのねーちゃん!?」


何だその呼び名!?舞はブルーの不穏なオーラよりも、一瞬にして青くなったゴールドの顔色でもなく、真っ先にゴールドの言った呼び名にツッコミをいれていた。
そうこう思う間にも、極上の笑みを浮かべたブルーはガッシリとゴールドの腕を掴んだ。


ブルー「おほほほ!私が目を話した隙に抜け駆けとはいい度胸ね、地獄の門潜らせてやるわ

ゴールド「Σ嘘っしょ!?わわわっ、何でオレだけこんな目に…!勘弁してくれよ!」

ブルー「あ!ちょっと待ちなさい!ゴールドっ、おんどりゃあたしから逃げれると思ってるのかコラぁぁぁあぁ!!

「Σ誰だあんたーーーー!!?」


キャラ崩壊してるよ!!上手く逃げ出せたゴールドだが、次に捕まった時は死を境見るときだろう。
鬼の形相を浮かべて追いかけるブルーに冷や汗を流すのは、舞だけでなく同じ光景を目の当たりにしたシゲル、グリーン、イエロー、ルカリオ、ミュウツーもだった。
只サトシだけは分かっていないらしく、首を傾げていた。


「(鈍感も此処まで来ると国宝級だねホント。…って、あれ?)」


1人、見当たらない人物に気がついて舞は辺りを見渡した。他の面子はブルーとゴールドのやり取りに呆然としているが、その中にいない―――


「えーと…、――あ!」


すると、どうやらお目当ての人物が見つかったようで、舞はいそいそと輪の中から抜け出した。
駆け出した先には…、何処か一点をじっ…と静かに見つめている―レッドがいた。


「レッド、何見てるの?」

レッド「ん?ああ、舞。ほら、あれ」


駆け寄ってきた彼女の影に気がつき、レッドは見ていたものを指差した。舞も習って視線を移すと、視界に入ったのは大小1匹ずつのキャタピーが、餌を食べている光景だった。


「キャタピー…!凄いっ、本物なんて初めて見たわ、あたし」

レッド「そんな珍しいポケモンじゃないけど、こういう光景って何か貴重に見えてさ」


そう言うレッドの横顔を見上げると、彼は穏やかな視線を先にいるキャタピーに向けていた。我が子を見守る、父親のような目で。


「キャタピーか〜…(初期のポケモンで必死に育ててた記憶があるような…いやぁ懐かしい)」

レッド「あ…もしかして、イヤだったか?」

「へ?どうして?」

レッド「ほら、やっぱ女の子って虫とか嫌がるだろ?だから気分悪くしたんじゃないかと思って」


苦笑をしながら呟いたレッドの言葉は、何か悲しいものを含んでいるようだった。その声色から、彼がどれだけポケモンを愛しているのかが、分かる者には分かる。
舞もそれに気付いたようで、首を横に振った。


「そんな事ないわ!あたしこう言う虫なら平気だし、キャタピーは可愛いじゃない」

レッド「そうか?珍しいんだな、女の子でキャタピーを可愛いって言うの。オレ達の知り合いはほとんど気色悪がるんだ」

「いやだってさ、蜘蛛とかは苦手だけどイモムシとか見てて落ち着かない?あのスローペースなところがまた何とも」

レッド「まさかそこまでとは思わなかったけど…、嬉しいなそう言ってくれると!」

「あたしは事実を言っただけだもの!イモムシとかカタツムリとかナメクジとか見てて和むわよね〜」

レッド「Σナメクジまで!?いやいや、流石にナメクジは可笑しいと思うんだけどっ?」

「まっ、何てこと言うのレッド!あたしなんて親密感感じるほどよ!!

レッド「ナメクジの何と親密感を感じると」


あのヌメヌメ感に感じるのは気色の悪さだけだと思う。彼女の行き過ぎた勘違いにそうレッドが思うのも無理はないであろう。
視線の先のキャタピーは、どうやら食事を終えたらしく林の中に2匹揃って入っていった。


レッド「…オレとサトシ、今日中には帰る予定なんだ」


不意にレッドはいなくなったキャタピーたちを見送って言葉を漏らした。


「うん?そうなの?」

レッド「ああ。…舞、今日はポケモン組と1日話す予定だったんだっけ?」

「ええ!……あれ?」


あたし…レッドに教えたっけ!?
口には出していない筈の事実に思わず首を傾げる。…Σハッ!もしかして黒様能力発揮!?心の中を読まれたのか!?


レッド「それって、オレとサトシも入ってたのか?」

「Σえあ!?はは、はい勿論ですとも!」


思わずどもってしまった声を防ぐももう遅く、舞に視線を向けるレッドは微笑んでいた。
ああ…!また何か言われる、その笑顔の裏に隠されたものを読み取り、舞は背中に嫌な汗を流した。


レッド「舞?」

「はっ、はい!!(汗)」


レッド「ありがとう」


…だけど、それは何かを裏に隠した笑顔じゃなくて、只純粋に嬉しさを現す笑顔だった。
それに一瞬驚くものの、意味を読み取って、舞はさっき思ったことも忘れて笑い返した。別にどうってことない、と言うように首を横に振りながら。

太陽の陽が当たる午後の事…


ブルーおほほほほほっ!!逃がしはしないわよゴールドぉぉぉ!」


中庭で恐怖の鬼ごっこが行われていた。


「Σしまった忘れてたぁぁあぁあぁぁぁぁ!!」


未だ命をかけて逃げているゴールドとそれを追いかけるブルーに気がつく。涙目に震えるイエローが縋ってきて、舞も慌てて仲裁に飛び入って行った。
追いかけるようにして行くサトシ…、の背中を見つめて、レッドは間もなく視線を舞に移した。


レッド「…サトシ」


レッドの視線の先に移るのは、声に出した人物ではないのに
必死に説得を試みる舞に、渋々ブルーは暴走を止めて舞に宥められた。命を救ってもらえた事に、ゴールドが涙を流して拝んでいるのが、彼には見えた。


レッド「お前が惚れた理由…
――何となく分かる」


今までにない至福の笑顔を広げるレッドには、確かに見えていた。
呟きを漏らし、優しく胸に手を添える。さっき、温かくなった気持ちを逃がさないように、服の上からぎゅっと握り締めながら…

それから間もなく、イエローに呼ばれて再び集団の輪の中に戻っていき、暫く中庭ではポケモンメンバーの話し声が飛び交っていた。







そして、今日の夜遅く…――
管理室にある魔方陣の光が、窓から零れて見えたらしい。




++○月☆日++

本日の帰還者…
・サムス
・クッパ
・ポポ

・ピチュー
・プリン
・ミュウツー
・ルカリオ
・サトシ
・レッド





Next Story.

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アンケートよりゲスト出演・・
『シゲル』『グリーン』
『イエロー』『ブルー』
『ゴールド』