27.迷子の迷子の危険物



++in管理室++



もう何人の人々がこの魔方陣に乗ったのだろう。
過去最高記録を更新する布陣の周りにはまた更に数人の人がいた。
…いや、中には人間と呼べない者も含まれているが


「はーいそれじゃあ帰還者の皆さん点呼取りまーす。先ずカービィ!」

「はーい!!」

「うんいい返事!だけど還る前にその口に詰め込んだ食べ物は全部飲み込んでね。
はい続いてオリマー&ピクミン〜!」

「☆」
『ピ、ク!』

「はいありがとう!…まさかガーデンに植え込んだ100匹ピクミン全部連れて還るとは流石に思わなかったけど(汗)
はーいじゃあ最後にメタナイト〜!」

「………」


最後に名前を呼ばれたメタナイトは溜め息をついて返事は返さなかった。
暫く待っていた舞もそれに気付き、歩み寄るとその小さな体をガッ!!と掴んだ。


「Σいっ!!痛いと言ってるだろうが!!」

「空気読み取れ仮面様。此処は癒し組みに続いて『は〜い!』と元気よく返事でしょ!
因みに語尾にハートマークをつければ10点加算されます

知るか!!先ず何にポイントが加算されるのか教えろ!!」


必死に暴れもがくがやはりそこは身長差がものを言う。
どうしたのものかと困り果てているとメタナイトに救いの手が差し伸べられた。


「やめてやれ舞。小さい者を苛めてやるな」

「あ」


ヒョイッと上から伸びた手にメタナイトをとられ、舞は思わず声を漏らす。
舞の手からメタナイトを救出したのはクレイジーだった。


「助かった…礼を言う」

「気にするな、我もお前に頼みがあるんだ。持って帰ってほしい物があるのでな、少しこっちに来てくれ」

「あーあ、あたしのメタナイトがマウスに〜」

「そう剥れてくれるな」


そう言って舞の頭を撫でるとメタナイトを連れて奥のデスクに向かう。
まだ不満そうな顔をしていたものの、先程のクレイジーの言葉に首を傾げた。


「(持って帰ってほしい物って何だろう)」

「舞君、そろそろ皆を送り届けるよー!」

「あ、うん分かったわ」


考えていた事も中断させて舞は慌ててマスターの元へ走る。
まあ別に深刻な事でもないだろう。そう決定をつけ、メタナイトが魔方陣に乗ると3つの小さな影は光に纏われて姿を消した。

…あ、行ってらっしゃいって言いそびれた。




++○月◆日++

本日の帰還者…
・カービィ
・メタナイト
・オリマー&ピクミン





迷子の迷子の危険物







「あーー、しんどい」


初っ端からグッタリと死んだまま御機嫌よう皆様、女子中学生です。
ふらふらっとリビングに来てみたら視界に入ったソファを見た途端ぶっ倒れてしまった…

誰もいない静かな部屋の中で唸ろうが何しようが勝手って素晴らしい。


「(最近体がだるい気がするのは気のせい…?)」


妙に貧血紛いにふらふらしたりする事も回数が増えてきている。目に入る光が眩しくて腕で目を覆った。

その時に誰かがリビングに入ってきたらしいが気付かず


「(ドクターが居てくれれば原因も聞けるんだけど居ない事はしょうがない)」


ふぅと口から息を吐き出すと少しだけ気分が良くなった。
気付かない入ってきた人はソファに近づく


「(何時もなら嬉しい太陽も今日はこんなに眩し……ん?太陽?)
ああしまった!!そう言えば洗濯物をまだ―――」


取り込んでいなかった!!と続きを叫ぶ前に目を覆っていた腕を退けて起き上がろうとした。
…なのだが、視界一杯にドアップで青いものが映った。

それが間違いでなければ……
あれこの人って確か肉好きの何処かの団長様では?
あれ何でこの人こんな顔近いんだ?


「………(停止)」

「………(つられて停止)」

「………おはよう舞」

「Σ何でこんな近いんだぁあぁぁぁぁぁ!?!」


思わず挨拶も返せずに叫び通した。こここここの人は大丈夫かと思ってたがっ、まさか昼寝している相手を夜這いか!?いやっ、今は昼だから昼這いか!!?

パニックに陥るあたしを他所にアイク団長は身を引いてソファに腰掛けた。


「死んでいるように見えたから呼吸をしているかを調べたんだが…」

「いやっそれなら手とかで確かめるでしょ!?何で顔近づける必要があるの!」

「目には目をと言うだろう。だから顔には顔だと思って」

見た目に反して律儀な事で


何時もながら素でとんでもない事をこの人は…
半分呆れ返りながらも、まあそれはいつもの事だと自分に言い聞かせて終わらせる事にする。


「あ、あれ?アイク、ご飯でも食べに来た?」

「いや。誰かいるかと思って…前を通ったから、ついでにな」

「そうよね、まだご飯には早いものね。そしてついで等と言う不当な理由で吃驚させられたあたしに謝って欲しい」

「…すまん」(頭下げ)

Σそこは流せ!!すみません顔上げてください!あたしが悪かったわ、天然に言ったあたしが悪かった!!


頭を下げるアイクに逆に慌てると首を傾げられた。「何を慌てている?」と。
その原因が君だと言ってやりたい

けど、此処で漸く洗濯物を放置していた事に気付く。今はマリオもルイージもリンクもいない。
誰も家事係がいない以上あたしがやるしかないだろう。


「ご、ごめんアイク。あたし洗濯物取り込んでくるから!」

「手伝うか?」

「いや、人が少ない分洗濯物の量も少ないから1人でも大丈夫そう」

「そうか…俺は此処で睡眠を取っている。何かあったら遠慮なく言ってくれ」

「ありがとう!」


アイクからの言葉を貰って駆け足で入り口まで走る。広い部屋の中を走って入り口の取っ手に手をかけると、ふとアイクはまだ里帰りをしていない事に疑問を抱いた。

まあ別に何時でもいいんだけど、日も残り少ない。この調子で大丈夫なのか…?心配になり、あたしは思わず少し距離のあるアイクに振り返った。


「ねぇアイク、貴方まだ里帰りをしないの?」

「ぐー…」

Σ早ぁぁっっ!!!えっ、何この人瞬間爆睡!?」


どうやら相当お疲れだったのか、アイクはものの1分で眠ってしまった。半目に鼻チョーチン膨らますアイク…ヤベ、犯罪的な可愛さだ!!(鼻血)
多分この間の長い距離が無ければ今頃あたしはアイク氏を襲っていただろう。

心の中で腐った断言しながら、あたしはあまり音を立てないように気をつけて部屋を後にした。






++





――そしてそれから30分後。大体の洗濯物を籠に取り込んだ舞は一息をついて額に浮かぶ汗を拭った。
ギラギラに輝く太陽が容赦なく照りつける。


「舞様ー!お疲れでしょー、残りは私がしますよー?」

「ううん、キノピコだけに重労働させられないわ。大丈夫、あと少しだから!」


そしてキノピコ。彼女は舞が到着するよりも先に取り込んでいた。
流石はライバルを退けて頂点に屈したメイド。きびきびとした動きで舞を助けてくれる。


「それじゃー…舞様は先に取り込んだ分を中に運んでいただけませんかー?残りは私が取り込んで中に入れておくのでー、その分だけお願いできませんかー?」


キノピコの言葉に籠を見るとあまりその量は多くない。
残っている方がまだ少し量も多い…。勿論それは彼女も分かっているだろう。

けれど此処で否定すればキノピコの努力も無駄になるし、何よりそっちの方が効率もよさそうだ。


「…ええ、そうね。分かったわキノピコ。じゃあ先に中に入れておくから!貴方も休憩を挟んでね」

「お心遣い感謝ですー!」


笑顔を見せてキノピコは残りの洗濯物を取り込みに掛かった。
舞もその姿を見て自分の両手一杯に持てるだけ籠を持つ。足先を屋敷に向けるとさっきみたく駆け足になった。


「えーっとこれは後で畳むとして、先ず先に残った人の分の昼食を作らないと」


――なーん――


「…ん?」


屋敷に向けて走っていた足を止めて舞は突然辺りを見渡した。きょろきょろと動く視線は、先程耳に届いた動物の鳴き声を探す。
暫く少しずつ歩いていると直ぐ近くから聞こえ出した。


「上…?」


天を仰ぐように頭上を見上げてみる。視界に入ったのはウィスピーウッズに似た林檎の大木…
その太くも細くもない枝の中間辺りに小さな影が覗いて見えた。

紛れも無くずっと聞こえていた声の持ち主だ


「猫!?何でこんな所に…野良?」

にゃー

「危ないわよ貴方!早く降りてきたら…」


そこで言葉を止めた舞は、「猫は怖くて降りられなくなっているんじゃ?」と心の中で思った。
確かテレビとかでは大抵そう言うものが多かった筈だが……


「うーん、誰かを呼びに行ったとしてもな〜。誰かいるか分からないし、いっその事『私の胸に飛び込んでキナサーイ!!』とか叫んでみたりして」


自分で言っときながら嫌だそんな痛い人演出
どうしよう…困った。こんな時に大人か木登りが得意なディディーやピカチュウ等でもいてくれれば助かるのに。

とりあえず、駄目元で舞は両手に持った籠を少し持ち上げた。


「おーい、そこは危ないから此処に降りておいでー!」


言葉が分かるとは思わないが、兎に角飛び降りてくれる事を祈って籠を出来るだけ高く持ち上げる。

…すると、何と猫は枝の先まで歩いたと思えば本当にピョンッと飛び降りてきた。


Σうっわ!?ほ、本当に降りてきた!!(汗)」


驚きながらも正常に籠でキャッチすると、漸く猫とご対面できた。
野良にしては身体全体を青で染めた綺麗な毛並みだ…。でも見たところ首輪はついていない。


「無事でよかったわね。それじゃああたしはこれで!今度はもうあんな高い所に上らないようにね」


小さな体を籠から下ろし、顎下を撫でると喉を鳴らした。
この様子だと大丈夫だろう。そう思った舞は再び両手で籠を持ち上げて屋敷へ向かって歩き出した。


「はぁー、いい事した後はやっぱり気持ちがいい事で」


てくてくてく

ちょこちょこちょこ


…………ちょこちょこ?

自分以外の足音に振り返ると、何とさっきの猫が後ろから着いて来ていた。純粋な瞳と合うと、猫は喉を鳴らして駆け寄ってくる。
こ、これはもしかしなくとも…懐かれた!!
別に猫が嫌いではない。寧ろ好きな部類だ。けど勝手に連れて帰ると何かを言われるかもしれないし…

悩みに悩んだ末、舞は籠を持ってダッシュで屋敷に走った。

走れ、走れあたし!!あの太陽に向かって走るんだぁぁぁぁ!!(暴走のあまり崩壊)







++in屋敷内++






……で、走った結果


「にゃー」


惨 敗 (チーン)
全力で走った所為で息切れ時状態のあたしの肩にさっきの猫は乗っていた。
早い。早すぎるぞ猫…!!やっぱり此処に来てから少しは体力ついたかと思えば全然だったっっ


「と、兎に角貴方をどうにかしましょう。やっぱり一番は妥当にミッキーとマウスに話を聞いてもらうのが一番よね…」


途中寄りかけていた大部屋に洗濯物を一時放置。
某お子様曲に因んだ迷子の猫だけを抱えてあたしは部屋を後にした。猫は擦り寄るように肩に大人しく乗ったまま





***





此方は食堂。舞が去って行き、謎の迷子猫を抱えてうろうろしている頃の事。
分かれたアイクはあれからずっと食堂で眠っているまま

その彼に近寄る影が1つ。


「アイク…アイク」


近づいた影はアイクの肩に手を置くとゆっくり揺らした。


「アイク、起きて下さい。アイク」

「…ぬぅっ……誰だ、」


何度も揺さぶられ、漸くアイクは目を覚ました。頭を掻いて暫く呆けるが、目の前に移動してきた顔を見た途端眠たげだった目が一気に開かれた。


「なっ、――セネリオ!?」

「ええ、お久しぶりですアイク。元気そうですね」


アイクを知る黒髪の美青年はどうやらセネリオと言うらしい。どうやらこの反応だとアイクも彼を知っている様だ。


「何故お前が此処にいるんだ…?」

「アイクの様子見と貴方にお願いがあって…」

「頼み? ……まさか、戦争の事か?」

「! もう知っているのですか?それなら話は早いのですが」


座っていたソファから腰を上げ、近くに立てかけておいたラグネルを手に取る。陽の当たる明るい部屋の中、2人の表情は些か真剣だった。


「まさかクリミア大陸までとはな…」

「あの、アイク。何故戦争の事を?まさか誰かが先に来ていましたか?」

「いや。……セネリオ、アカネイア大陸とエレブ大陸の事は知っているか?」

「え?ええ、確か両国ともとても栄えている大国だとお聞きした事はありますけど。それが何か?」

「その2国から来た者がいてな。アカネイアからはマルスが、エレブ大陸のリキア同盟国からはロイが参戦している」

「マルスとロイ!?それって確か…アカネイア大陸の王子と、有力貴族フェレ家の公子じゃないですか!!」


セネリオは驚きが隠せない。前もってこの世界には有名な人物が集まると聞いていたが…
まさか自分達の世界、別国の偉い方とも同伴とは思っていなかったのだ。

…とは言え、一度マルスとロイに会えば『偉い方』等と凄い事が畏まって言えるかは分からない。


「私達の国だけでなく多くの他国も小戦争が勃発していると聞いています。もしや今のお二方も…?」

「ああ、援護を要請されて国に一時帰還している…。まさか俺まで呼ばれるとは思わなかったな。
クリミアは今どうなっている?」

「危険な状態ですね…。他国に比べてクリミアは先進国と思われ、他より多く攻撃が集中しています。
何とも迷惑な話です」

「なら急いで還るぞ。この世界の統治者に事情を説明してくる、セネリオは先に戻って手を貸していてやってくれ」


ラグネルを収めた鞘を差すと、マントを翻してアイクは食堂の入り口に向かおうとする。
だが慌てた様子で何故かセネリオがアイクを呼び止めた。


「ま、待ってくださいアイク!此処でもちょっとした問題がっ」

「? 問題…?何かあったのか?」

「ええ、非常に言い難いのですが…実は―――」






***






「リアルに迷子の子猫ちゃん〜貴方のお家は何処なのよー」


微妙に歌詞が違う所は突っ込んじゃ駄目です。
さっきからずーっと不気味なほど大人しい猫は呑気に肩の上で毛繕いをしている。じーっと見ていると、視線に気付いた猫が逆に見つめてきた。

…何だか、この猫は知能が高すぎるんじゃないだろうか。
まるで言葉が分かるように従うし、何よりも他の猫より動きが敏感すぎる。

再び毛繕いを始める猫を見ながらあたしはそんな事を考えていた。

……すると、丁度通りかかったマウスの研究室から声が聞こえてきた。
マウスかと思って耳を澄ますと、どうやらそうではない。


「―――、ああ…――」

「ん?」

『…――は此処から――、で―――』

「(誰の声…?)」


マウスではないものの明らかに男の人の声に眉間が歪む。1つは電子音のように聞こえなくもないんだけど…
すると、声のする部屋の扉が少し開いているのに気がついた。そこから身を乗り出して少しだけ覗いて中を伺って見ると…


「(あれ?あれってスネークさん?)」


見覚えのある全身タイツ。此処からだと後姿なもので、誰と話しているかは分からない。
思い切って声をかけようとすると、猫が「にゃー」と鳴き声を上げた。


「ん?誰だ!?」

「あ、あの舞で―――(……Σハッ!!)」


咄嗟に扉に身を隠してたあたしは、脳内でここ数日の事を思い返した。
待てよ…1週間前、確かスネークさんと一緒にいた時に―――



++1週間前++



「あ、スネークさん。今日もいい天気ですね」

「ん、舞か。ああ、そうだな。……Σむっ!?あれは!」

「え?」


わん!


「犬じゃないですか!うわぁ可愛い、あれ何ていう種類でしょうねー」

「あの形、そしてあの凶暴性な牙…それにいかにも何かを隠していそうなふさふさの毛」

「はい…?す、スネークさん?」

「そうか、敵国が俺に手配させたスパイか。上手く潜り込み、無邪気な表向きで相手を錯乱させると言う作戦…!いかん舞!!今直ぐ伏せろっ、敵を直ぐに消す!!(ジャキン!!)」

Σスネークさんんんん!!?な、何物騒なもの構えてるんですか!仕舞って下さいよっ、標準を犬に向けてどうするんですか!
ギャーー!!撃とうとするなあぁぁぁぁああ!!!(汗)


野良犬を敵のスパイと判断。
そして3日前には確か…


++3日前++


「あれ、スネークさん」

「舞じゃないか、何をしているんだ?…それは?」

「これですか?これはですね、ぷー●んって言う有名なクマのキャラクターなんですよ。
可愛いでしょこのカップ?お気に入りなんですよ!」

「クマ、だと…?き、危険ではないか!?

「え?まあクマ事態は危険ですけど…でもほら、これは愛らしい顔してるでしょ?愛嬌あるお顔で」

「いや、油断をしてはならん。何時かそのクマも満月の光を浴び、寝ている隙をついてカップから飛び出して襲い掛かってくるかもしれん!」

「何そのハリー●ッターと吸血鬼を混ぜ合わせたシチュエーション」

「そして恐ろしく尖った爪で血肉を切り裂き、千切った五体を鋭い牙で貪り食らう…!な、何て残虐なっ。これはいかん!!

いかんのはあんたの思考回路だ!!どうやったらこんな愛嬌溢れたフェイスからそんな18禁エリアに達するグロテスクな情景が浮かび上がるんですか!?
ってまたもや何処からか出したロケットランチャーの標準をこっちに向けるなーーー!!!」

「心配いらんぞ、狙いは外さん!いいか動くなよ舞!!」

「Σ動かないとあたしまで木っ端微塵になってしまうわ止めろおぉぉおおおぉぉおぉ!!


その後はあたしが投げたカップによりスネークさんを無事に沈めた。
…そう言えば昨日も…


++昨日++


「お。舞か、最近はよく会うな」

「そうですね。その度にこちとら命がけの冷や汗もんですけど……
Σってわぁあぁ!?す、スネークさん!スネークさんっ、あれ!!」

「む?…な!あれは、蛇!?」

「そうですよっ、スネークさんとうとう出番です!」

「うむ!!
可愛らしい生き物だな。害はなさそうだ」

「……ふざけるなーーーーっ!!!分かってるんですかスネークさん!?蛇ですよ!あの三角頭っ、あれってあからさまに毒蛇でしょ!!
しかもあの形って確かキングコブラじゃないですか!!今でこそ貴方の出番ちゃいますの!?


シャァァァ!


「おお、見てみろ舞。あいつ喉を鳴らせて近寄ってきてるぞ。可愛いな」

Σ止めろよオイぃぃぃぃっ!?何処の動物が牙剥き出しにして喉鳴らせると言うの!あれはいかにも『食ってやるぜ』と言わんばかりにパックリ口開けて威嚇してるんですよ!!分かります!?」

「よーしよし。お、何だお前人懐っこいな。少し撫でてやろう」

死ぬぞ!!撫でたら死ぬぞ!!!あぁぁ蛇にとってはいい餌食か三途の川渡ろうとしてる!
って言うか同じ名前なんだからどのぐらいの危険性かぐらい知っておけそこの偽ム●ゴロぉぉぉぉ!!!(ドガァァン!)

「Σはぐおっっ!!」


スネークさんのロケットランチャーを拝借して暴走強制停止。その後自分より大きなおっさん背負って全速力で逃走した筈、金メダリストも真っ青だ。

やばい…あの犬やぷーさ●を狂暴と判断して蛇を可愛いと思うスネークさんだ。今この猫を見せれば殺される!!
悩んだ挙句、あたしは咄嗟に服の中に猫を隠した。


「Σふぎゃ!?」

「シーー!今は大人しくしててっ、じゃないと貴方殺されるわよ!マジで!!


文字通り必死に猫を隠すと、分かったように猫は大人しくなった。
丁度タイミングよく扉から顔を覗かせたスネークさんとバッチリ目が合う。


「ん?何だ、舞だったのか。何をしているんだ?」

「ウス、気になって通りかかっただけです。お気になさらず」


猫を隠しているお腹を押さえていると、それに気付いたスネークさんが視線を落とした。
ほんの少しの静寂の後首を捻った。


「腹…そんなに大きかったか?」

「Σ!? ウス!こ、子ども授かりまして…」

「……子ども?」

「ウス!」

「……誰の子だ?」

Σえ!?あー………ま、マスター?

「……そんな関係だったのか?」

「ウス」


必死だ!!!(滝汗)何故太ったと言わなかったと言うと、それだけは女のプライドが許さなかったからだ。
冷や汗だらだら流していると、部屋の中からもう一つ別の声が響いた。それもさっきの電子音


『スネーク、彼女は誰だ?』

「ああ、舞と言うんだ。このスマブラ屋敷に来た時に世話になった嬢ちゃんだ」


身を乗り出して覗いてみると、向かい合わせの宙に映像が浮き上がっていた。そこに映っているのは少し年老いた男性。
さっきのやりとりだとスネークさんと知り合いらしいけど…


『ほう、彼女が。舞君と言ったかな?』

「あ、はい。いつもお世話になっています、舞と申します。えーと…貴方は?」

『ああ、名乗るのが遅れたね。私はFOXHOUND司令官、ロイ・キャンベルだ。』

「(FOXHOUND…?)あ、もしかしてスネークさんが以前言っていた大佐ってこの人の事ですか?」

「ああ、そうだ。」


何処となく優しげな雰囲気を持つ大佐と呼ばれるロイ・キャンベルさん。…ロイと名前が被ってしまうどうしよう。
興味津々にモニターに移るロイさんを見ていると、口元に弧を描いて微笑んだ。


『君の事はスネークから聞いているよ。何でも元気のいいお嬢さんらしいが…確かに可愛らしい子だな!』

「え?いや、そんな」

「おいおい大佐…その歳でナンパはするもんじゃないぞ」

『はは。今回はスネークを乱闘メンバー加入してくれて有難う。マスターハンドと言う者にも礼を言いたかったのだが…』

「あ、それならあたしから伝えておきましょうか?」

『お、そうかい?それは助かるな、じゃあ舞君にお願いしようかな』


分かりました、と承諾すれば皺を寄せてロイさんは目を細めた。その笑顔からは司令官、と言う思い肩書きなんて見えもしないほどだ。
つい頬を緩めていると、服に隠した猫が密かに動いた。そう言えば猫を隠していたの忘れた…

慌ててお腹を押さえ、あたしは退散するように少し後退る。


「あー…あ、あたしちょっとこれから用事があるので!これで失礼しますね!」

「ん?ああ、そうか…残念だな。俺はこれから帰還しようと思うんだ」

「え、そうなんですか?スネークさんまで…うーん、寂しいですね」

『まあしかし、近々何やらイベントがあるらしいだろう?その時にはスネークが還れる様に手配しておこう』

「本当ですかロイさん!?有難う御座います!
えーっと、それじゃあスネークさんお気をつけて!帰ってきたらまたゆっくりお話でもしましょうね!」


そろそろ限界に近くなり、半ば忙しく扉を閉めて部屋から出て行った。
バタバタと遠ざかっていった研究室では、残ったスネークさんが扉を見つめていた。


『可愛らしい子じゃないか。スネーク、色恋沙汰に興味はないのかね?』

「大佐……」


スネークは楽しそうに言う大佐の声に溜め息をつく。しかし、賛同もしなければ否定もせぬままにスネークは口を閉じる。
それをまたモニターから見つめる大佐が楽しそうに微笑んでいた。






***






「あー、危なかった。もうちょっとで気付かれるところだったわよ貴方」


コートの中に隠していた猫を両手で持って顔の位置まで持ち上げる。一時的に隠したとは言え、猫には悪い事をしてしまったな。


「でもまぁ、あそこで隠しておかないと貴方が殺されていたから…お相子って事で許して頂戴」

「にー」


猫の喉元を指で撫で、今度は両手に乗せて抱きかかえた。
さて、今度こそこの迷子の子猫をミッキーとマウスの元へ届けなければいけない…

…が、神様は丁度タイミングよく奇跡を起こしてくれた。


「…そこにいるのは誰だ」


低音ボイスが耳に届き、その声にハッと肩が跳ね上がる。まさか、と思い振り返るとそこには予想していた人物が佇んでいた。
相手の人物も視線が合うと、若干警戒していた態勢を解いた。


「舞か、何をしているんだ?」

「マウス。丁度良かった、貴方を探していたのよ!」


目当ての人物に会えた喜びで、あたしは駆け足で駆け寄った。


「我を…?何かあったのか?」

「ええ、そうなのよ。実はさっき洗濯物を取り込んでいたら、この猫を見つけて…迷子らしいからミッキーかマウスにどうしようか聞こうと思ってたの」

「猫、だと?」


両手で抱えている猫の存在に気がつき、マウスは身を屈めて猫を見つめる。じっと見つめたまま動かないんだけど…もしかして、マウスは猫好きだったのか?
だとすればめっさ萌えるんですけど

「舞、こいつは…」とマウスが呟きかけた時、向かいの角から誰かが飛び出してきた。


「…ぬ、舞?それにクレイジー」

「あ、アイク!……と、どなた?」


角から飛び出してきたアイクに続き、後ろから黒髪の美青年が現れた。ちょ、何だこの空間美形ばかりのまさかのパラダイス?
うっは!腐女子には堪らない(鼻血)


「……あ、アイク。あれってまさか…」

「む?―――! なっ、ライ!?」

「はい?」


ライ、って何?黒髪の美青年の言葉に首を傾げていると、今まで屈んでいたマウスが立ち上がった。
そのままぶつぶつと何かを呟き、手を滑らせるように動かせた。

――その途端、


ボンッ!!

「Σうぎゃあああぁぁ!!」


突然目の前に煙幕が張られ、変な声を上げながらあたしは目を閉じた。怖くなり、両手で抱える猫をギュッと抱いて……ギュッと………


「(あれ?)」


突然抱いていた猫の手触りが変わった。何と言うか…猫の毛が、なくなった?
温かみのあるのは変わらないが、何か、範囲が大きくなったと言うか。両腕一杯使って漸く前で自分の手の平が結び合える。

異常な大きさの成長に目を見開くと、突然前の影が動いた。


「っ、ゲホ、ゲホ…!」

「(ん?)」

「何だこの煙っ、邪魔だな」

「(んん!?)」


ちょ、ちょっと待て…何か、気のせいだとは思いたいけど…猫喋ってないか!?
突然喋りだすは大きくなるはな猫の変化に混乱していると、漸く煙が晴れていった。そして先ず視界を遮るものがなくなり見えたのは…

茶色の壁…?
視界を覆う茶色の壁に困惑すると、頭上から声が降り注がれた。


「ん?何だ、さっきの事といい大胆な嬢ちゃんだな」

「……は?」


まさか、いや、そんな馬鹿な…。腕の中から消えた猫などこの時は露知らず、今自分に降り注がれた声にいっぱいだった。
恐る恐る見上げると、自分を見つめるオッドアイの瞳。水色の髪に何故かついている耳がピクリと動くと同時に、その口がニッと緩んだ。


「ライ!お前、何をしているんだ」

「お、アイクじゃないか。探したぜ、セネリオは勝手にいなくなるし」

「貴方が勝手に逸れただけでしょう…。
全く、何故猫の姿に…それにどうしてあんなに小さいんですか」

「いや、それは俺にも分からないんだが。此処に来た途端ああなっちまってさ」

「…この世界に来た時に魔力が乱れたんだろう。我らの力は並程度ではない」

「今のはあんたの力か?そうか、そりゃ凄い。お陰で楽しかったぜ、特にこの嬢ちゃんとか」


硬直したままのあたしの頭に猫耳の生えた人はポンと手を置いた。その衝撃で我に帰っている間にアイクは首を傾げてみせる。


「舞が?何かあったのか?」

「ああ、年頃の嬢ちゃんの服に初めて入った。ある意味貴重な体験だよな」

「は?」


今の言葉で確信した。さっきの猫はこの人だと言う事を
これ以上追求しようとするアイクに近寄り、彼の腰についた両手剣を鞘のまま掴むとあたしはそれを両手で大きく振り被り、さっきの人に向かって落とす!


「おっと!」


ヒョイッ
――ガンッ!!

空を切った鞘つき剣は地面にぶつかる。だけどもう一度振り被って何度もその人に向かってブオン!!と振りまくった。


「おいおい落ち着けよ嬢ちゃん。俺には当たらないと思うぞ?」

シャラップ!!この野郎っ、幾ら美形だからとは言え恥ずかしい事をぺらぺらと…!!」

「俺は事実を述べてるだけなんだけどなァ。ああ、嬢ちゃんってもしかして89辺りか?」

Σだから何で分かるんだーーー!!!もうならんっ、殴る!!一回は殴らないと気がすまないって事で殴られろ猫耳ぃぃぃぃ!!

「舞…ラグネルは殴るためのものじゃないんだが」


その時のあたしは怒りに任せていたからアイクの声も聞こえていなかった。何度も床や柱にドガン!と音を立ててぶつけまくる後ろで、マウスは溜め息を吐いていた。





「アイク…あの方は誰ですか?」


舞が暴走していると、アイクが名前を呼んだことで知り合いと思ったセネリオは首を傾げた。


「ああ、舞と言う。此処に来て空腹で倒れていた俺を助けてくれた、命の恩人だ」

「な、アイクの!?」


セネリオは驚いて舞に改めて視線を移した。信じられない…まさか自分が慕うアイクが、重い両手剣を振るう凶悪な女性に命を助けられたと言う事が。
呆然とライとのやり取りを見ていると、クレイジーが見兼ねて舞の肩を抑えた。


「舞、もうそろそろ止めた方がいいと思うぞ」

「何でよ!ヲトメのこの気持ちがマウスに分かるって言うの!?例え腐っててもあたしだって女なの、恥ずかしい事だってあるの!」

「分かっている。だが、暴れても過去を変えられるわけではないだろう?」

「Σう``っ!!う…でも、でもさ!」

「兎に角落ち着け。そうすれば少しは気が楽になる筈だ」

「マウス…!うわぁぁぁああんお父さーーーん!!

「よしよし、好きなだけ泣け。だが我は貴様の父ではない


恐竜のような叫び声で泣く舞の頭をクレイジーはわしわしと撫でた。
その様子を見て、面白がって逃げていたライも頭を掻いた。


「あー、ちょっとやりすぎたか。」

「当たり前だライ。舞を泣かすとはいい度胸だなお前…流石の俺でも怒るぞ」

「ん?何でアイクが…」

「彼女がアイクの恩人なんだそうですよ。それならば当然の事です」


セネリオの言葉にライは目を見開いて「へぇ」と驚いた。それに目も暮れず、アイクは泣き叫ぶ舞に近寄った。
それに習いセネリオも一緒に数歩置いて歩み寄る。


「悪いな、俺の仲間がすまない事をした。」

「いいえ別に…。いいわもう、相手が美形だからもう許す。それが腐女子だもの

婦女子美景を許すのか?それはいい事だな」


若干アイクと舞の会話がすれ違っているが誰も気付けない。涙を拭っていると舞はアイクの後ろにいるセネリオに気付いた。


「アイク、その人は?アイクの友達?」

「ああ、俺の仲間だ。セネリオと言う。セネリオ」

「初めまして、セネリオです。貴方は…アイクの命を救ってくれたとか」

「え?…ああ、空腹で倒れていた時の事ね?流石にあれは見放せない、って言うか目を逸らせるものではなかったからね


遠い目で何処か見つめて呟く。セネリオはその言葉を、とても危険な状態だったと変換した為に少しばかり眉間を歪めた。


「貴方が居なかったらアイクは…有難う御座います。彼に代わってお礼を言わせて下さい」

「ええ!?い、いやそんな…大した事はしてないんだし、気にしないで?」


慌てて両手を振ると、今度はアイクの後ろにライが歩み寄ってきた。
視界に入ったライと目が合うと、舞は瞬時にバッ!とクレイジーの後ろに回った。


「おぉ、ラグズ並の警戒心。やるな」

「ライ。…こいつはライ。ラグズと言う種族なんだ。元はヒトだから取って食う事はしない」

「そう言う事。舞、だったか。さっきは悪かったな、改めて宜しくな。だから仲良くしないか?」


一言謝ってライは右手を差し出してくる。幾ら舞でも、一度謝ってもらった相手の行為を無視する事はしない。
クレイジーの後ろから出てきて、ゆっくりとだがライの手に腕を絡ませた。


「…ごめんなさい、さっきは酷い事したわ。改めて舞って言うの、宜しくね」

「ああ。アリガトな!うん、舞は中々付き合いやすいな」

「そりゃどうも。…で、何でセネリオとライは此処に来たの?もしかして、アイクの迎え?」


握手した手を離すと口元に笑みを浮かべたままライは視線をアイクへ向けた。


「ああ、その通り。ちょいと今俺達の国が危なくなっててな、アイクの力が必要になったんだ」

「もしかしてアイクの所も戦争!?」

「そのようだ。やはり舞も知っていたか…」

「うん、ロイの時に話しは聞いてたから。そうなの、アイクまで…大変ね」

「ならば急いで向かわねばならんのではないか?」

「ええ、そうです。アイク、急いで戻りましょう」


セネリオの言葉に頷き、アイクはラグネルを舞に取られていた事を思い出して返してもらった。
丁度今ならクレイジーも居る事だし、このまま4人で管理室へ向かうらしい。舞も向かいたいが、さっき置いてきたキノピコが心配でままならない。

仕方なく此処で分かれることになり、暫しの別れの挨拶を済ませておくことにした。


「それじゃあアイク、それにセネリオもライも気をつけてね。何時でも遊びに来て!」

「有難う御座います」

「ああ、その時は改めて話そうな」

「…舞、俺は暫く此処を離れるからお前を守ってやれないが…何かあったら呼んでくれ。なるべく直ぐに来る」

「そんな、いいのよアイク。アイクは戦争の事で手一杯でしょ?あたしなら気にしないで!」


鞘をベルトに収めなおしてアイクはふるふると首を横に振った。


「違う。俺が助けてもらった恩をまだ返してないからだ。いいな舞、無理だけはするなよ」

「分かったわ、有難うアイク!でも今は早く国に戻って助けてあげて、ね?」

「ああ」


最後に握手を交わすと、アイクはマントを翻した。それに続くセネリオが一度振り向き頭を下げ、それに続くライも振り向いて手を振った。
それに手を振り替えしていると、クレイジーも一度舞の頭に手を乗せてアイク達と同じ方向へ歩いて行った。

4つの後姿を見送り、姿が見えなくなるまで舞はそこに佇んでいた。
やがて影が消えると舞はUターンをして、先程洗濯物を置いた部屋に向かって歩き出した。




その背中を、誰かが見つめていた事も知らずに




++○月◆日++

本日の帰還者…
・カービィ
・メタナイト
・オリマー&ピクミン

・スネーク
・アイク




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アンケートよりゲスト出演…
『ライ』『セネリオ』
『ロイ・キャンベル』