09.痴漢注意報発令



「あ〜〜…軽く腰が痛い…」

『大丈夫?舞』


ナビィに心配されながら腰を摩る。
何でだろう。昨日あんなに遊んだから?でも他の子供達が全然ピンピンしてるのは何でだろう?


『ア、ナビィ先に出てるヨ!食堂で待ってるカラ、舞直ぐに来てねv』

「ん、分かった。」


我が相棒は先に退室。
さ、あたしもさっさと着替えよう。隣部屋のサムスから借りた寝巻きから、いつも着ている制服に…


「いい加減他の服欲しいよね〜…」


と言ってもあたしに服買うお金ないし…
あ、でも日曜になれば元の世界に帰れるって言ってたし、その時に替えの服を持ってきておこう。

それにしても、渉大丈夫よね?まあ姉ちゃん居なくてもあの子なら大丈夫でしょう!…多分

いろんな事を考えながら、下着一丁になって制服に手を伸ばす。



ピーピー!
「ナ〜イスボディライぃン♪」

「…は?」






痴漢注意報発令







暖かい笑顔とほのぼのとした会話が広がる朝の食卓。
あまり人はいないけど、そこは今正に幸せと言っても過言ではないだろう。



だだだだだだだだ…

バターーーーン!!!


「リンク――――!!!」



が、今ここにそのほのぼのとした朝の食卓を壊す者が現れた。


子リン「わ〜、舞お姉ちゃんおはよう〜〜!!」


子供リンクを除き、いきなりの事に中にいた者たちが吃驚しているのも気にせず、入ってきた少女―舞は名前を呼んだ人物の許に。


リンク「お、おはよう舞?どうしたんだ朝っぱらから?」


当の本人は何故朝から大声で名前を呼ばれるのか不思議に思い、いろんな意味でドキドキしている。


『舞!来たの…』


ずんずんずんずん(迫る音)


『……ネ?』


相棒の言葉も聞かぬまま、舞はずんずんとリンクに迫っていく。


ガッ!(胸倉掴む音)

「リンク…あんたがまさかあんな下心持っていたなんて思わなかったわ!」

リンク「へ?お、オレ…何かしたか?」


頭上に?マークを浮かばせながら、目の前で怒り狂う少女に冷や汗も流れる。


「何かした…?貴方ねぇ……


人が着替え中だというのに堂々と覗いておいて何言うかぁああぁぁあぁ!!」


リンク「…………へ?

「「何いぃぃいいぃぃいいいい!!!??」」


何故当人より第三者の反応の方がデカイ。
丁度食卓にいた三剣士の1人、ロイが涙目で額に青筋をたてながらリンクに迫る。


ロイ「どういうことだよリンク!?オレだってまだ覗いた事ないんだぞ!!」

「まだって何よまだって。その言い方からして何れ(いずれ)は実行するつもりだったのね!?」

リンク「えええ!?ででで、でもオレ…!オレ、ずっと此処にいたんだぜ!?
まさか舞のその…き、き、着替えなんて……っ!!///」

C.ファルコン「リンク!やはり君も男だったんだな!!まさか俺の舞の着替えを覗くなんてぇ……」

リ・ロ「「お前は黙ってろ!!!!」」


リンクとロイのダブルアッパーが、突然現れた変態メットを襲う。
誰かあんたのだ、誰が。


子リン「うわ〜〜〜ん!!お兄ちゃんの…お兄ちゃんの獣――――!!!

『ささ、最低ヨリンクーーー!!かつての相棒だったのに、見損なったワ!!』

リンク「子リン!?な、何言ってんだ!兄ちゃんを信じてくれよ!!
しかもナビィまで…!!(汗)」


号泣しながら擦り寄ってくるリンクjr.とナビィ
泣きながらリンクの代わりに謝ってくる彼らに鼻血が…(たらり)


リンク「で、でもオレ本当に見てないぜ!?だってほら、ずっと此処に居たんだし…」

「けどあれは絶対リンクだったわよ!?同じ帽子被ってたし、恰好も装備も姿も全く一緒だったわよ!
まあ強いて言えば、いつもより黒かったという事だけだけど」

リンク「黒かった?」

???「それってよー、こんな感じだったか?」

「そうそう!丁度貴方みたいな感……………じ?」


後ろから掛けられた声に振り返る。
が、ソコにいたのは…


「り、リンク…?」

???「ヘロ〜」

『ダ…』


だ?


『「「「ダークリンク!?」」」』

「ダーク…?」


リンクとロイとリンクjr.が一斉にこのリンクらしき人物を指差して大声を張り上げる。
いやまぁ、確かにこの身形からしてダーク(黒)っぽいけど…


ダーク「ったく、うるせえな…
むさ苦しい野郎共に名前呼ばれてもトキメかねえぞ

リンク「だ、誰がお前なんかを!!」

『貴方だったのネ!何でこんな所にのこのこト…!!』

「ねえリンク、この怪しげなリンクは誰?まさかドッペルゲンガー?寧ろホムンクルス?」

ロイ「え!?自分のドッペルゲンガーって見ちまったら死んじゃうんだぞ!?

子リン「舞お姉ちゃん〜、ドッペルゲンガーとかホムンクルスってなあに?」


多種多様な反応を見せた事により、静かだった食堂が一気に喧しくなった。
何やらリンク達が言い争っているから、その間にあたしはリンクjr.に説明。


リンク「大体何でお前がこんな所にいるんだ!お前は裏の世界の住人だろ!?」

「(?裏の世界?)」

ダーク「俺等が表に出てきちゃ悪いのかよ。
お前ら人間を襲ってないんだから、別にいいじゃねえか」


またまた知らない言葉が飛び出してきた…
リンクはまだ言い争っているから、あたしはロイに話しを聞いてみることにした。


「ねえロイ、裏の世界って何なの?」

ロイ「ダークみたいな影の住人が住んでるところ!」

「影の住人?それって何」

ロイ「えーと、そうだな〜…例えば、舞の影があるだろ?」


トントンと光で出来たあたしの影をつま先で叩く。


ロイ「実はこの影も別の場所で生きてるんだ。俺達と同じように会話して笑って楽しんでんだぜ!」

「ええ!そ、そうなの!?影が実体化してるなんて、聞いた事ないわね…」

ロイ「そうだろ?オレも最初聞いた時は吃驚した。でも実際いたんだぜ?オレ見てきたから!」

「そ、そうなんだ。でも、別に影と一緒にいても支障はないでしょ?
何で世界を分断させる必要があるのよ」

ロイ「別にこれと言った事件とかは起きてないんだけどさ。
…只俺達オリジナルと影が同じ世界に住んでいたらややこしくなっちまうだろ?

だからマスターとクレイジーが世界を2つに分けたんだ。俺達がいる『表の世界』とダークみたいな影が住んでいる『裏の世界』ってね」


へー…初めて知った。
もっと詳しい事を聞いたら、どうやら表の世界は主にミッキーが、裏の世界は主にマウスが監視しているらしい。
うん、妥当ね。


リンク「ハッ!そ、そうか!!今朝舞の着替えを覗いたのはお前だなダーク!?
お陰で濡れ衣着せられちゃったじゃないか!!」

「(ハッ)そうよあんた!よくも人の着替えを…」

ダーク「まあまあいじゃねえか。出るとこちゃんと出て、窪むところはちゃ〜んと窪み出来てたし

リンク「Σな!?///


…こらリンク、さっきまでの威勢は何処に行った。
顔面真っ赤にしてないで止めて止めて!


ダーク「けど思ってたより小さいな〜、もっとデカくしろよ

子リン「ダークが獣(けだもの)?

「リンクjr.…何処でそんな言葉覚えたの(汗)」

子リン「マルスお兄ちゃんに教えてもらった!」


マルス――――!!
あんたはとことん子供達の教育をねじ捻ろうとしているようね!!


ダーク「そういやあ、お前昨日はだったよな?今日の下着の色はぁ…」

ちょっと待て!何勝手に人の下着を披露しようとしてんのよ!!」

ロイ「何色だったんだ!?

「聞いてどうすんのよロイ!!」

ダーク「ピンk「何気に教えようとするなぁぁあぁ!!

リンク「ぶはっ(鼻血)」

Σリぃンク――――――!!?


朝っぱらから疲れるほどのツッコミを連発。
リンクjr.の不可解な言葉にも、勝手に人のプライバシーを侵害しようとしてる輩にも。
変態に侵食された某嫡男剣士やら、更には純情勇者の鼻血噴射……

一気に(ツッコミで)気力を使い果たした舞はげんなりとしていた。


「ボケしかいないのかねこの空間には」


ってかまず常識人を連れてきて欲しい。心の中でそう思えざるを得なかった。
『ナビィがいるヨ!』と、地の池地獄ならず鼻血地獄にて死んでいる勇者を介抱しながら、そう言ってくれた頼もしい相棒の言葉に思わず涙腺が緩んだ。


ダーク「何だよ舞、そんなに疲れてんなら…俺が直々に奉仕してやろうか?

いらないから。だから服を脱ごうとしないでよ」


ヤる気満々…間違った(いや違わないけど)
何かをやる気満々のダークを押し退けつつ後退。

「舞を苛めるな!」とか何やら言いながら代わりにロイ達(リンク除き)が成敗に懸かってくれたけど…
うん、一応助かった。


「ふぅ…全く」













―――チリンッ


…?
「鈴の音?」


突然入り口から聞こえる靴の音と混ざって聞こえる鈴の音に不思議に思い、あたしは顔をそっちへ向けた。
そこには、全身を黒で統一され、唯一違う色の鈴を持った男の子が居た。


「え、えーっと…」


誰?という言葉も忘れ、あたしは首を傾けた。
視線の先にいる男の子は答えることなく、只にこりと笑った。


「ナビィ、ナビィ!あの男の子、誰?」


笑い返しながらもやっぱり気になるから、ふよふよと飛んでいるナビィに助けを借りる。


『エ?あ…あれ!?』


何だか驚いた声で叫ぶ。耳を押さえながら「どうしたの?」と聞き返す。


ミスターG&W!帰ってきたんだネ!』

「ゲームアンド…ウォッチ?」


視線の先にいる男の子――G&Wはにこにこと笑ったままだった。
G&Wと言えば、スマッシュブラザーズDXで出てきたまっ黒のキャラの名前がそんなだったような…

あれがあれ!?


「(ぜ、全然こっちの方が美形じゃないか!!(汗))」

『G&Wネ、今日までずっと別の世界に使いに行ってたのヨ!…聞いテル?』

「き、聞いてる聞いてる……」


意外な事実に仰天する。ちゃんとナビィの言った事は聞いたけど…
そう言えば、スマデラメンバー全員と話したと思ってたけどG&Wとはまだだったわね。


「初めましてG&W、あたし舞って言うの!貴方がいない間にとある事情で此処に住み着くことになったの。これからよろしくね?」


すっと手を差し出すと、G&Wは快く右手を差し出してくれた。
言葉を喋れない事に疑問を持つけど、彼の無邪気な笑顔を見ると何も言えなかった。


『G&Wは極度の恥ずかしがり屋ナノ!だからあまり言わなイデあげてネ』

「へー、そうなの」


納得しながら視線を彼に戻すと、G&Wは照れ臭そうに頬を赤く染めた。
食べた(強制終了)


「でもG&Wって呼び難いわね、『ウォッチ』からとって『ウォー』って呼びましょう」

『いいネそれ!』


うん、我ながらいいあだ名(そうなのか)
G&W、もといウォーも嬉しそうに笑ってくれた。そんな彼に笑い返すと、後ろから食器類の割れる音が聞こえた。


「ま〜だあの人達乱闘してたんだ(汗)」


呆れた視線しか寄越す事しか出来ない。
あたしの後ろではウォーも驚いて目を開いた後、状況を理解したのか苦笑していた。ナビィだって呆れてる。

…大人気ない(子ども一名いるけど)


「ちょっと、あんた達いい加減に…」

???「あ、舞!こんな所にいたの」


おっと。止めようかと思ったら、ウォーのいる扉付近から声を掛けられた。
まあ別に急いで止めなくちゃいけないわけじゃないし、そう思ってすんなりと振り返る。


「あ…あ?マルス?」

マルス「うん。一昨日ぶり」


にっこり王子スマイルを浮かべて手を振ってきたのは、アリティアの王子、もといマルスだった。


「どうしたの?あたしを呼んでたけど」

マルス「うん、それを言うなら僕も聞きたいんだけど」


そう言うマルスの視線はあたしの背後で行われている乱闘に向かっていた。


聞かないで頂戴…(汗)」


あたしはそれだけ言って遠い目をしてみせた。それを見てかマルスはクスクスと笑った。
ああ王子スマイルが素敵だけど…ただ普段が普段なだけにあまり………あ。


「そうだマルス!貴方子供達にとんでもない事教えてるでしょ!?
昨日遊ぼうとしたらポポが『血みどろ☆野球拳』だとか言ってたし、今日なんてリンクjr.が”獣(けだもの)”なんて言葉使ってたのよ!?
純粋な子供達の精神が危なくなる前にもうそんな事を教えるのはよしてよねっ!」

マルス「いいじゃないか別に。男は皆そうやって逞しくなっていくものだよ!
実際僕だってそうだし、ね?(爽笑)」

その結果腹黒王子が出来たと


なら尚更その教育方針曲げ直してやる。
心の中でそう誓った女子中学生(15)でした。


「ところで、えらく話しが脱線したけどマルスはどうして此処に来たの?」

マルス「ああそうだ、実はマスターとクレイジーが君の服の事を考えていてね。
明日から雲行きが怪しくなるみたいでさ、丁度いいから今日キノコタウンに行って買い物でもしてきたらどうか?って」

「え?でもあたしこの世界のお金持ってないし…」

マルス「その点なら、ピーチ姫がお金を出してくれるってさ。」


一気にお金の心配が削られました。
流石キノコタウンのお姫様。何だか権力使って世界支配してそうだけど。
へ〜、でもそうなると凄い助けるけど、ピーチ姫に失礼なような…


「いいのかしら?」

マルス「いいんじゃない?っていうか寧ろピーチ姫は君と買い物が出来る事が嬉しいかもね」

「う〜ん、そうだとあたしも嬉しいけど…とりあえず、ピーチ姫の所に行って来る!
おーいナビィ!出かけるわよ?」

『エ?あ、は〜い!』


乱闘を眺めていたナビィを呼び戻して、部屋を出る際にマルスとウォーに軽く挨拶をしておいた。
2人ともニコニコと笑いながら手を振ってくれる。
も、萌えすぎて意識が!!(落ち着け)




マルス「さて、あの馬鹿共を沈め…コホンッ、静めないとねv」

G&W「(Σビクッ!!)」


腹黒本性を目の当たりにしたウォーはドキドキもん。








***








―――コンコンッ


ガチャッ!
「失礼しまーす」


あたしがやってきたのは以前お邪魔したピーチ姫とゼルダ姫の休憩ルームではなく、ミッキーとマウスが管理する管理室。
途中で会ったミュウツーに、此処にピーチ姫たちが居ることを聞いて来たんだけど


ピーチ「あら舞ちゃん、待ってたわよv」

「どうも…ってあれ?マリオとルイージも一緒におでかけ?」

マリオ「ああ、丁度食材がきれてきたからな!」

ルイージ「よ、よろしくね舞ちゃん!」


こちらこそ、と返すとルイージは周りに花が咲き誇りそうなほど喜んだ。
それに何やら突っ込みを入れるマリオ。その光景に思わず苦笑を漏らした。


――ガチャッ

???「お、舞君も来たみたいだね!!」

「!ミッキー!」


聞き覚えのある声にふり返る。


Σどなたあぁああぁぁあ!!?

???「ん?」


何事もないと思って振り向いたのがいけなかった。
何と扉を開けて入ってきたのは、とてつもなくデカイ手かと思ったのに…意外なことに入ってきたのは銀髪の美形2人組み。

一人はロングヘアーの銀の髪を1つに結び、動くたびにそれが左右に揺れる。もう一人は同じ銀髪を生やし、セミロングにまとめられた綺麗な髪が、窓から入ってくる光を反射させた。
2人とも凄く綺麗な髪の毛に凄く綺麗な顔をしてんだけど…あたしが知っている限り、こんな美形知らない!!


???「ああ、そう言えばお前は我らのこの姿を知らないのか」

「わ、我って…まさか…ま、マウス?」

クレイジー「クレイジーだ」

マウスだぁぁぁぁ!!え、じゃあこっちのロングヘアーはまさか……!!」

マスター「はーいミッキーで〜〜す☆


寧ろ自分で『ミッキー』を認めている辺りが彼(マスター)だ!!
ありえなさすぎの2人の擬人化姿に呆気に取られていると、ポンポンと後ろからマリオが肩を叩いてきた。


マリオ「そうか、舞はまだ此処に来たばかりだからマスターとクレイジーのこの姿を知らないのか」

「う、うん…何で2人ともこんな姿になってるの?」

『本当の姿はコッチだから。普段は大きな手だケド、大きな魔力を使うときは本当の姿に戻るの』

マスター「やっぱりこっちの姿は落ち着くね。久しぶりになったからかな!」


嬉しそうに腰に手を当ててけらけらと陽気に笑っているけど…



ピーチ「マスター、そんな事どうでもいいから早く私達の世界に送ってくれない?さっさと私、舞ちゃんと買い物したいの。テメェなんかの都合で私の幸せタイムを削んじゃねえよ

マスター「ああそうだね!じゃあ早速だけど転送しようか!!」

「………

(ちょっとマウス、今ピーチ姫が黒い言葉言ったのに…マウスにはそれが聞こえなかったの?)」

クレイジー「(いや、あいつの耳は生憎正常だ。只図太い奴の神経が気づいてないだけだ)」


つまりだ、ミッキーは極度のお馬鹿の為に、ピーチ姫のまっ黒い発言を気に留めるどころかそれに触れてさえないという事?
だから今まで姫たちが仕掛けた125回の暗殺計画を尽く避けてこれたんだ。

近くにいた為被害を受けて顔を青くしているルイージに手を合わせつつ、ミッキーのお馬鹿な思考に盛大に拍手を送った。勿論、心の中で。


マスター「さて!じゃあマウス、早速異界転送を始めるか!」

クレイジー「ああ。…ってちょっと待て!!貴様さり気なく『マウス』などとこいつがつけた変な名前で呼ぶな!!」

マスター「返事を返したって事は認めているって事だろ?さっ、君たちは魔法陣に入って」


そう言いながらミッキーはあたしの背中をぐいぐいと押した。
それに促されて大人しく従ったけど、乗っかったのは以前ミッキーがこの部屋に描いた魔法陣らしき殺人現場。


「(嫌だな〜)」
『(この魔法陣)』

マスター「さてっ、魔法陣に入ったは良いけど…どうしよう?魔法の呪文なんて考えてない」

「じゅ、呪文?そんなのがいるの?」

マスター「だってその方がカッコいいじゃないか!!」


子供かあんたは!

キラキラと目を輝かせながら握りこぶしをつくるミッキーは、正直可愛いと思ったけど呆れの方が勝っていたから感動も出来なかった。
さっさとしろ、的な目で睨むマウスに、ミッキーは苦笑を漏らした。


マスター「じゃあ此処は折角だから舞君決めてよ!」

「は、はあ!?何であたしが…!!」

ピーチ「あら、それはいいわvこんな不甲斐ない手なんかより、舞ちゃんが決めた呪文の方が様になりそうだもの!」

ルイージ「僕もいいと思うよ!!」

マリオ「そうだな〜、舞!何かいいのあるか?」




マリオもルイージもピーチ姫も、ミッキーの言葉に賛成してあたしに視線を向けてくる。
生憎、あたしにはそんな呪文やら素敵な言葉を考えるほどのセンスは持っていない。そう言いたかったけど、皆の期待の眼差しによりそれも見事打ち砕かれた。


『舞、どうすルの?』

「う〜ん………」


改めて考えると、そんなもの簡単には思いつく筈なくて。あたしは顎に手を掛けて考えた。

何だろう…よく知っているのなら、セー●ームーンとか?
例えば『月に変わってお仕置きよ!』とか。……駄目だ、これは悪役に言う台詞だし。

『○○○パワー、メイクアーーップ!!』なんて?
ってこれじゃ只の痛いキャラじゃない!!(1人ボケ突っ込み)


うーん、うーんと唸りながら考えている。まさか買い物行くのに呪文を考えなきゃいけないなんて思いもしなかった。





―――どたどたどたどたどた


「ん?何だ?」

「え?」


呪文を考えていると、何故か部屋が小刻みに揺れだした。
しかもそれは徐々に大きくなり、謎の騒音もそれに連れて大きくなっていった。

それは部屋のすぐ前で一瞬止まり、そして



バターーーン!!!


ダーク「っだーーー!!こんな所にいやがったのかよ!!」

リンク「待てダーク!まだ決着はついていないぞ!!」

ロイ「舞〜〜!オレを置いていくなよな〜〜〜!」


高級な造りで出来た扉を蹴り破って突進してきた美形3人。肩で息をしながらやってきたのは、紛れもなくさっき食堂で乱闘していたリンクとダークリンクとロイだ。


クレイジー「おい、騒々しいぞ」

ダーク「ワリィなボス。勝手に表に出てきた事には目をつけんなよ」

クレイジー「ハァ…今更お前を追い返す気はない」


ボス、というのはやっぱり裏世界を管理しているマウスの事なんだ。
突然の乱入に呪文の事も忘れ、あたしは呆然とどんどん大きくなっていく口喧嘩を眺めた。


リンク「大体な!!お前がこっちに来たら舞に何するか分かんないだろ!?
だから来て欲しくなかったってのに…!!」

ダーク「へぇ〜、じゃあ何だよ?俺があいつにする”何か”って」

ロイ「あ、オレも聞きたかったんだ!リンク、”何か”って何だ?」

リンク「えっ!?そ、それはだから…っ///」

ダーク「ふん、そんな事を想像するお前の方が怪しいんだよ!バァ〜カ!!」

リンク「Σなぁっ!!ば…馬鹿って言った方が馬鹿なんだぞバーカ!!

ロイ「リンクだって言ってんじゃねえかよ

リ・ダ「「五月蝿い!黙ってろ嫡男!!」」

ロイ「Σなっ!黙ってろとは何だよ馬鹿2人!!


あんたら精神年齢いくつよ。
呆れるしかない光景を目の前で繰り広げている見た目とは正反対な青年達。っていうかこの状況を見て用事がある事分からないの?

ギャーギャーと騒ぎ立てまくる美形達に目を向けていた所為で、あたしは周りの状況を確認する事が出来なかった。


ブチィッ!!



……ブチ?


ピーチ「ちょっと…そこの3剣士の一部+α?いい加減黙るって事を覚えたらどうかしら?」

「ひ…姫?」


何やら黒いオーラが彼女の後ろから立ち込める。流石に美形3人だけでなく、部屋にいるもの皆硬直。


マスター「ん?皆どうした〜?」


そうでもなかった


ピーチ「全くさっきからミッキーを筆頭に私と舞ちゃんの楽しい楽しい買い物タイムを邪魔してばっかり。
しかもそれだけではなく、目の前で小鳥の如くピーチクパーチクチッチキチーと喧しく泣き喚いて…
遠まわしに言ったけれどハッキリ言って超ウザイ。
ここらでいい加減にしとかないと、ゴルフバット、テニスラケットの後に鋼鉄ロッド3段コンボをおみまいするわよさあどうする?


十分最初からハッキリ言ってます


リンク「す、すみませんすみません!!(ガタガタ)」

ダーク「それだけは勘弁…!!(ブルブル)」

ロイ「お、オレ止めただけだぜ!?(ビクビク)」


一人のか弱い女性に身を恐怖で震わす青年男子が3人……

…でもこのお方をか弱いと表現するのは可笑しい気がする。
ってのんびり見てる場合じゃなくて、あたしも何とかしないと!


「そこの3人!これ以上被害受けたくないでしょ!!」

ロイ「でもよ〜舞…」

ダーク「つぅか何で俺まで色々と言われなきゃなんねえんだよ(←お前一番の元凶だろ)」


マスター「もういい加減呪文考えてくれないからね〜」

「えーい男のくせに女々っちいっ」


マスター「次に舞君が言った言葉を自動的に呪文にするから」


大人しくしやがれ愚民共!!「お、早いね!じゃあ転送ー!
……へ?」







――――シュンッ…!


納得のいかないまま何故か舞達転送。
今まで静かにしていたマウスことクレイジーは半開きの呆れた目のまま視線をマスターに移した。


クレイジー「…おい、今の…まさか……

マスター「う〜ん奥が深い言葉になったね。じゃ、異界転送の呪文は『大人しくしやがれ愚民共!!』で!」

クレイジー「夢の欠片もない言葉だな


あまりの馬鹿っぷりに肩を落とすクレイジーだった。
そんな事をしていると部屋の扉を誰かがノックして開けた。


子リン「もうお兄ちゃん達速いよ〜〜!!
……ぅ?ねえマスター!何でお兄ちゃん達固まってるの〜?」


部屋に入ってきた子供リンクが第一に見たのは、真っ白に灰化したまま硬直しているリンクとロイとダークの3人の姿だった。




Q.さて、何故3人は固まってしまったのでしょう?

A.舞の勇ましい(呪文になった)言葉の所為です。









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