10.2/19(水)《1》ガロプラ戦

「唯我、防衛任務にあんま参加していないお前は無理をするなよ」

無線から聞こえる太刀川の声。
今日は出水がランク戦の解説で防衛任務に参加出来ないので、代わりに参加しろと太刀川に命令され現在本部屋上に来ている。

「はい。狙撃班になったので、上からボチボチ狙います。太刀川さんも気を付けて下さい」

原作通りであれば、一番強い奴を相手にするのだから何が起こるか分からない。

「OKOK」

ま、ランキング1位の太刀川を心配するだけ損な気もするが。



「指令部、こちら木崎。狙撃班位置についた」

「こちら当真、同じく準備完了」

木崎側には木崎、奈良坂、古寺、佐鳥、日浦の5人。
当真側には当真、別役、荒船隊の3名、苗字の6人。
計11人の狙撃手が動員された。

「来ました!トリオン兵です」

古寺の言葉で、スコープを覗き確認すると、沢山の人型トリオン兵で道が埋め尽くされていた。

「面倒だな。的が小さくて」

「数も多くてダルいっすね」

穂刈と半崎の会話を聞きながら、穂刈はやっぱり倒置法なんだと、変な所に感動していたら木崎の号令がかかる。

「射程圏内に接近。迎撃を開始する」

全員一斉射撃開始。
苗字もイーグレットでトリオン兵の顔を狙い撃ちするが、狙い通りに当たる前にシールドで弾かれてしまった。

「おお!?なんだぁ!?生意気にもシールド重ねてガードしやがるぞ!」

当真が驚く顔を横に見ながら、原作で知っているのでそこまで動揺はしなかった。

「ととと止まんないっす!どどどどうします?」

別役が、慌てて周りに判断を仰ぐ。

「1体ずつ集中して倒しましょう」

戦闘慣れしている古寺が、すぐに次のプランを提案する。
さすがA級。
こういう時の判断力も鍛えられるので、実戦はやるべきだなと改めて思う。

「OK!左端からいくか!」

古寺の提案に異論がなかったメンバーは、木崎側にいた佐鳥の言葉で左右一斉射撃することに決まったようだ。

「じゃあ、俺らは右端からだ」

当真の言葉で、右側にいた苗字も右端のトリオン兵を狙って撃った。
6発の弾丸でシールドごとトリオン兵を倒す。
地上戦では嵐山、烏丸、木虎、来馬、諏訪隊3名が側面から攻撃し狙撃班の援護を行っている。

スナイパーとガンナーが協力して、どんどんトリオン兵をやっつけるボーダー達。
これならなんとかついていけそうだと思ったら、花火の様なものが夜空に上がり屋上に何かが突き刺さった。
そこからゲートが開き、犬型のトリオン兵が出現。

「犬型!」

咄嗟にシールドを展開。
拳銃をホルダーから取り出して、飛びかかる犬型トリオン兵を攻撃する。

「お、ひゅーひゅー!唯我ちゃん格好いいね」

口笛を吹かれて、一斉に周りの注目を浴びる苗字。

「当真先輩、からかわないで下さい」

当真に抗議すると、別役がお約束の言葉を掛けてきた。

「誰かと思ったらまさかの唯我ちゃん」

「別役くん、太刀川隊服着てるんだからすぐに気付いてよ。当真先輩、武闘派狙撃手ツートップには劣りますけど、元アタッカーとしては前に出るべきですよね?」

呆れた視線を別役におくるつもりだったが、それよりも犬型トリオン兵が襲ってきそうなのでアタッカーに助太刀すべきか右側の班長の当真に判断を仰ぐ。

「そうだな」

「了解です」

拳銃では威力が弱いのでホルダーにしまって近接系のスコーピオンを両手で握る。
地面を踏み締め距離を縮め、犬型トリオン兵の首に一撃を浴びせれば、固さも無く簡単に倒せた。
映画で見た主人公の様な動きをイメージして、手を休める事無く次々と目標を撃破する苗字。

「助けて唯我ちゃん」

途中、別役が襲われそうになって助けを求められる。
距離があったので、スコーピオンを投げると、狙い通りトリオン兵の首をスパッと切断出来た。

「唯我ちゃんに殺されるかと思った」

「この距離なら外さないって…たぶん。やったのは初めてだけど」

「荒船さん助けてー」

何故か皆荒船に助けを求める様になってしまった。
敵は弱いが、数が多い。
永遠に続くかと思っていたら、上空から辻くんが降ってきた。

「おっ、辻ちゃんじゃねーの」

嬉しそうな当真の声がする。
狙撃手にとっては距離を縮められると対抗する手段が無くなるので、アタッカーの登場は非常に有り難かった。
隣には緑川が到着しているようだ。

「犬型は俺と荒船とアタッカーで受け持つ。あとの全員は下を狙え!」

「「「「了解!」」」」

木崎の号令に従い、イーグレットを作成する。
先程の様に右側から狙撃していたら、当真が横に来ていて話し掛けられた。

「唯我ちゃんはアタッカーじゃねえの?さっきは大活躍だったじゃん」

「今後はスナイパー希望なので、実物訓練が出来るチャンスは逃しません」

それにこちら側は苗字が手伝った分、犬型トリオン兵の数も少ないので、問題ないたろうと判断して狙撃にまわった。

「なーるほど。唯我ちゃん、トリオン兵一体のシールドなら脚を狙って崩れた所を撃つといいぜ」

「こんな感じですか?」

「そうそう。上手いじゃん」

当真の言う通り、脚を撃ったら態勢が崩れて隙が生まれたので、一瞬を逃さず狙い撃つ。

「ありがとうございます、とても参考になります。やっぱり実戦経験のある人って凄いですね」

こうやって会話をしながらも、次々と目標を撃破する当真。
それにならい苗字も負けじと狙い撃つ。

「当然だろ。まあ、習い始めてすぐに狙撃手をこなす唯我ちゃんも凄ぇよ」

「東さんの教え方が上手いので」

「記憶障害って怖ぇな。別人みてぇだし。唯我ちゃんなら、“当然ですわおーほほほほ”とか言いそーだが」

当真が記憶障害の話を知っていた事に驚きながら、再現率100%の物真似を披露され声を荒らげる。

「それは恥ずかしい過去なので忘れて下さい!」

「おい、てめぇら。くっちゃべってないで真面目にやれ」

荒船から怒られてしまった。

「おいおい、くっちゃべっても、一番倒しているだろ」

「すみません荒船先輩!当真先輩、他の人の集中力の邪魔にもなるのでここからはお口チャックでいきましょう。後でさっきみたいに気付いた点教えて貰えると有り難いです」

口に人差し指を当てて、しーと言う苗字の姿が可愛いと当真側のスナイパーと辻は思った。

「OK。さっさと終わらせますか」

途中スナイパー組から地上戦の応援に何人か行ったが、苗字は居残り組となる。
どんどん下がる敵に、どこまで狙えるかと撃っていたが、以外とイーグレットの射程は長く最後まで参加出来た。