三雲が、大福を手土産にもって太刀川隊の作戦室にやってきた。
主人公だ!といった感動はなく印象は真面目なメガネくん。
「…というわけで、今回はちょっとやってみたいことがありまして………」
ソファに座ってもぐもぐと大福を食べる出水と苗字。
原作では苗字は立って食べていたが、今はソファに座らせてもらっている。
少しずつ原作とは違った展開になっているようだ。
「おー、いいぜいいぜ。うちのほうはいつでも」
「三雲くんはこの前より良い顔をしてるね。何かいい方法を見つけたのかな?勝負の続きが出来ないのは残念だけど、気にしないで。次の機会を楽しみにしてるから」
きっと、ここに来る前に嵐山隊の作戦室に寄って、木虎からスパイダーを教えてもらったのだろう。
「はい、お二人ともありがとうございます。…唯我先輩、雰囲気変わりました?」
「こいつ、記憶障害になって性格が変わったんだ」
「え!?記憶障害って大丈夫何ですか?」
心配そうに苗字の顔をうかがう三雲。
記憶障害と聞けば、たとえ苦手な人の事ですら心配になるようだ。
「大丈夫大丈夫。今までの記憶はあるし、別の記憶がよみがえってちょっと性格が変わっただけだから」
「メガネくんみたいに努力して太刀川隊エンブレムの三本目の刀になるんだって言うくらい性格が変わったんだぜ」
「ちょっ出水先輩、捏造しないでください。三雲くんみたいになんて言ってないてすから」
恥ずかしくて、出水の肩をバシバシ叩き、その姿を見て出水はニヤニヤと笑っている。
「三本目の刀になるっていう部分は事実なんですね」
「うん。今はね、とっても貪欲に強くなりたいって思ってる。お互いチームの中では最弱だから頑張ろうね」
「うっ…はい」
チーム内最弱。
痛い所を疲れて言葉につまりながらも、笑顔で応じる三雲。
「おれ、次の試合の解説頼まれてんだ。面白い試合見せてくれんだろ?」
「ご期待に添えるよう全力を尽くします」
出水の言葉でそういえば次の試合は出水が解説で、ガロプラ戦に出水の出番がなかった事を思い出す。
あれ、という事はあと3日足らずで初防衛任務ということに。
こんな所に座って大福もちを食べている場合ではない。
訓練をしなくては。
そう思い、三雲を見送った後ですぐに苗字も家に帰る事にした。