4.2/16(日)《3》自主練習の始り

「先生、今日から一週間よろしくお願いします」

家に帰ると、白衣姿の初老の男がリビングで苗字の帰りを待っていたので、挨拶をする。

「唯我苗字様でごさいますね。よろしくお願い致します。我々の手にかかれば一日一時間、一週間で苗字様の理想のボーダー隊員として活躍できる肉体になれるとお約束致します」

実は昨日、父親に短期間でボーダーで活躍出来るくらい強くないたいと話をして優秀な先生を強請っていたのだ。
トリオン体になった時にある程度動ける様になる為には必然の努力。
唯我家のバックアップがあれば短期間で某CMの様に変身出来るはず。
助けてドラえ〇んならぬ、助けてパパ作戦。

「お父様から先生の噂は聞いています。顧客満足度100%、この業界No.1だって。今日は何をするんですか?」

「本日は、イメージトレーニングです。まずはあらゆる動きを知識として身に付けて頂きます。このVR機を頭にセットして使うと、目の前に仮想空間が広がります。その仮想空間では、剣、拳銃、狙撃銃を使ってネイバーと戦うボーダーの主人公の視点で物語は進みますので本日はその物語が完結するまでの一時間、ただ見ていてください」

「見るだけでいいの?」

「はい。詳しくは話せませんが、この機械には見るだけで、脳に影響を与える機能が組み込まれているので、明日からサポート機を身に付けて頂き、実際に動く際にスムーズに身体が反応出来るのです」

「分かりました」

「それでは、早速始めましょう。」

感想としては、一時間ずっと戦闘していた。
ある時はビルの屋上から狙撃して、ある時は何百ものトリオン兵を斬ったり撃ったり、ストーリー激少、アクション激多の映画だった。
最後はネイバーが恐れる富国強兵となり、攻めてくる国もなくなって平和になるハッピーエンド。

「お疲れ様でした。お水をどうぞ」

「はい。ありがとうございます」

「どうでしたか?苗字様の為にお作りした映画は?」

「これ、私の為に作ったの?」

「勿論です。顧客の皆様お一人お一人に合わせたプランですから」

「一時間だから集中して見れて楽しかったし、あんなに動けるようになればいいなって思った」

「それは良かった。楽しくなければ何事も続きませんから。本日のプランはこれで終了になります。分からないことや、気になることがあればいつでもご連絡下さい」

「ありがとうございました」

一時間はあっという間であった。
肉体に関しては、これで問題なくなるだろう。
後は肝心のトリオンについてだ。



トリオン器官は鍛えれば向上するような事が書かれていた。
別の漫画でも魔力は涸渇させると少し増えるのが定番で、ワールドトリガーのトリオンについても同じ扱いらしい。
実際にトリオンを消費する事で増やすしかないので、日常の訓練でトリオンを消費させることにした。

それとは別に、これも漫画の知識だが、魔力を圧縮して、魔力が作られている器官に溜めれる量を増やす方法。
魔力が濃くなる為、質も量も増える。
これを試せないかと思い、心臓の横にあるトリオン器官を意識した。
何となくだが、トリオンの存在を感じる。
これを圧縮。
小さくなれ小さくなれ。
踏んでぎゅうぎゅうにして、固めるイメージ。
何分間か繰り返した所、トリオン器官に余裕が出来、トリオンが新に作られる感じがした。
何となくなので、実際はどうか分からないが、増えたトリオンをまた圧縮し、またまた圧縮し、の繰り返してトリオン器官の質を向上させる事に成功した気がする。
今度の定期診断でトリオン量がどうなっているかお楽しみである。
転生といえば、チートなのでそうであって欲しいと願う苗字だった。