筋肉痛できつい中で学校へ行き授業を受けて、放課後はボーダーへ向かう。
トリオン体になれば痛みはないので楽になった。
今日は初めての通常狙撃訓練。
通常狙撃訓練では100m先の直径50cm弱の的を撃ち、5発撃つごとに的が少しずつ遠くなるルール。
15/128位で中々の成績だった。
「凄いな唯我。初めての通常狙撃訓練で、全体の上位15%に入れば上出来だ」
「東さんの教え方がいいので」
東から頭を撫でられ、テレる苗字。
大人の魅力あふれる東に頭を撫でられれば、誰でも顔を赤くしてしまうに違いない。
「次の標的に移る時に外しているな。撃つ瞬間に力が入ってずれているから、軸をずらさないように心掛けてやってみようか」
東に外した部分を優しく分かりやすく注意される。
もう一度、今度は1発ずつ標的が下がる様に設定してもらい、訓練を開始。
15回目でようやく連続成功して、それ以降は外さなくなった。
一時間程練習をしていると、横のブースで同じく練習をしていた東がいつの間にか後ろに立っていた。
「今日はこのあとチームミーティングがあるからそろそろ片付けるよ」
そう言われたので、それじゃあ自分も帰ろうと片付け始めた。
「東さん、ちは。その子新人のスナイパー?」
片付け終わるとリーゼントで背の高い男、当真勇が東と苗字の目の前に現れた。
「よう。当真。スナイパーとしては新人だが、お前も知ってる『はい唯我です。…了解です。今、東さんに狙撃訓練場で教えてもらっていたので、10分くらいかかります。えっ?いやいや無理ですって…切れた』
二人が苗字について話しているのは分かっていたが、太刀川から呼び出しの電話が鳴ったので取ると一方的に無理な条件を言われて電話を切られてしまった。
「東さん、隊長命令で5分以内に戻らないと地獄のアタッカー的役が待ってるみたいなんで、お先に失礼します。今日も色々教えて頂きありがとうございました」
「太刀川の奴何を考えているんだ。困った事があったらいつでも相談してくれていいからな。お疲れさん。明日はランク戦本番だから、次の練習は明後日な」
理不尽な太刀川の命令に怒って心配をする東。
弟子にしてもらったばかりなのに、そこまで心配してくれる東は三雲と同じレベルで面倒見の鬼だった。
「はい。よろしくお願いします。明日の試合、頑張って下さい!」
「ありがとう」
ペコと当真と東に頭を下げ、その場を後にした苗字。
残された二人は会話の続きを始める。
「太刀川隊の唯我の妹?」
「いや。……あの子は太刀川隊の唯我だよ」
当真の言葉を首を降って否定し、少しためらって正体を明かした。
「えーーーーー!」
当真の驚く声が響き渡り、うるせーぞと荒船から叱られる。
「驚きだよな。見た目も中身も変わっていて。それじゃあ俺はこれからチームミーティングだからまたな」
「おいおいマジかよ。変わってるつーか、別人だろ。こいつは楽しくなりそうだ」
当真から目をつけられた苗字。
狙った的は外さないNo.1スナイパーの腕は、伊達ではない。