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「ここだよ」
おばあさんに引き連れられ、二階堂兄弟と藍毬、そして情報収集から丁度帰ってきた一部の兵が[入れ墨を探っている男]の待つ店へと訪れた。
店を何人かの兵で囲うと二階堂兄弟が我先にと店に足をいれる。
「どの男だ?」
「入れ墨のことを探ってる奴は」
その瞬間何者かが兄弟を蹴り飛ばし店の外に追いやった。
「ピッ!?」
自分も中に入ろうと乗り込んでいた藍毬の前にゴロゴロっと倒れこむ二人、瞬時に戦闘態勢に入り相手の様子を伺う。
出てきたのは[顔に傷を負った男]で、その男は控えていた兵の攻撃を難なくかわし、その流れのまま兵を投げ飛ばした。トドメに兵の顔を踏みつけようとする傷の男…杉元に、すかさず藍毬は間合いを詰める。
踏みつけようと足を振り上げた際バランスをとるため広げた両腕、藍毬はその隙間に入り、相手の腕に絡み動きを止めようとする…が、相手も手馴れているのか、すぐさま藍毬の腕を取ろうと腕を曲げる。
「!?」
しかし相手が大人なら折れていただろう、その動きも子供の…ましてや女の子の柔らかい体が相手では意味を満たさなかった。
造作もなく杉元の技から抜け出した藍毬は、相手の動きを封じる為、休まず今度は杉元の首めがけて攻撃を仕掛ける。
「(クッソ…!なんだコイツ!!!!動きが‥追いつかねぇ…!!!!)」
首を狙った藍毬の動きについていけない杉元は条件反射のようにまた腕を取ろうと動いてしまった。
「(しまったッ!)」
また逃げられる!しかし流れで動く体は止められずもう一度腕をとらえようとする…
ボキッ
「ッ…」
響き渡る嫌な音に周りに控える兵、そして折った本人が息をのんだ。
一同が止まる、そのスキに折られた張本人の藍毬が杉元の足を取り、大きな音と共に横転させた。その音で我に返った兵たちがすぐさま杉元に銃をむけ、一部の兵が藍毬を杉元から遠ざける。
すぐに起き上がった杉元だったが、周りを厳重に兵たちに囲まれる。
「ひざまずけ この状態で撃つとお前の顔から飛び出した弾が誰かに当たるかもしれん」
そういって杉元の後ろを取った二階堂だったが片割れが杉元の膝を銃で殴り、またもや横転させられる。しかも今回は立て続けに銃でガンガンと撲殺する勢いで殴る。
「さがれ 殺そう 殺そう」
杉元に向けられる銃口
殴られたせいであふれる血が杉元の口で泡となる
ダァァン
響く銃声
しかし引き金はひかれたのは二階堂達の銃ではなかった。
「そこまで まだ殺すな」
騒ぎを聞きつけやってきた鶴見中尉だ。
中尉の指示で杉元は兵たちによって拘束された。
「おや?高鳥君は…これは!珍しい…」
一連の指示が終わり、中尉は藍毬の方へ足を向けた。
そこには通常と変わらず凛とした顔をした藍毬が立っていたが、藍毬を回収した兵と思わる者が慌てた様子で介抱しているではないか。その先を見ると腕が不自然な方向に曲がっている。
今まで数々の任務を与えていたがこのような大きな怪我を負った所は見たことがなかったのだ。
藍毬は眉も曲げずただ中尉の次の言葉を待つ。どことなく悪い顔色が彼女に痛覚がある事を辛うじて思い出させてくれた。
「申し訳ありません。中尉、不覚にも腕を折られてしまいました。」
中尉は何かを考えるそぶりを見せた後、ため息を吐き、どうしようもないっと頭を横に振りながら結論を出した。
「仕方ない…小宮一等兵、高鳥君を病院に運んであげなさい」
「はっ」
大丈夫か?高鳥行くぞ。と藍毬は支えられながら過ぎ去る二人
その後ろ姿を無言で眺めた中尉であったが…すぐさま今回の本題である杉元の待つ兵舎へと足早に向かっていった。
一方、鶴見からの命をうけその場を去る事になった藍毬は中尉に背を向けてから、その顔に小さく笑みを浮かべるのであった。