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病院に運ばれた藍毬は小宮に一人で大丈夫である事を告げると足早に病院の中に入っていった。
取り残された小宮は藍毬の行動を見て途方に暮れるが察しがついているのか、仕方ない、と苦笑いをしながら兵舎に戻った時の言い訳を考えながら来た道を戻っていった。
藍毬は慣れない病院の中を人に見られないように歩き回るが、焦る思いからその足も心なしか速くなる。
ふっとある角を曲がるとそこには一人だが兵士が立っていた。
確かに第七師団が使用している病院ではあったが最近は警備するほどの案件の病人・けが人などいない…一人を除いては!
藍毬は兵にばれないように身を隠すと痛む腕を抑え近くの窓に視線を向けた。
―――
腫れあがった頬を抑えるように見るも無残な姿でベッドに横たわる尾形に小さな影が落ちる。
開いた窓から冬の北海道の冷たい風がカーテンを揺らしながら部屋に入っていった。
まだ意識のない尾形の手を優しく取るとそっと自分の頬にあてる。
ぽつん、ぽつん
尾形のシーツに跡がつく、久しぶりの再会、傷だらけの姿、それまでの苦労が波となって藍毬におそいかかる。
「馬鹿か…」
消えそうになるほどの小さな声が藍毬の耳に届いた。
驚き顔を上げるとうっすらとだが目を開けて尾形が藍毬を見ていた。
驚きから声をあげそうになるが外の監視の事を思い出し咄嗟にのみ込んだ。
「こんな所まできて泣くなんて、相変わらずのべそっかき娘だな」
どうやら…皮肉を言うほどには回復しているみたいだ。
むっとしながら尾形の手から手を離すと涙を乱雑にぬぐう。
その様子を「目元が腫れる…」と少し不機嫌そうに尾形は眺める。
「べそかきに…来たわけじゃ…ない…グズ…百が遅いのが悪い…」
痛む腕がバレないように売り言葉に買い言葉で返す。
尾形は「はは」とだけ笑うと少し真剣な顔になって〔これから〕について語り始めた。