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2.
「それで、話って何?ユナン」
互いに向かい合うようにして椅子に腰掛けると、ユールは目の前のユナンに尋ねた。
真っ直ぐに自分を見つめてくる大きな瞳に、ユナンは一瞬だけ目を見張った。
「……ユール、君ももう16歳になった訳だし、伝えなきゃいけない事があるんだ」
勿体をつけるようにして話し出すユナンに、ユールは少し違和感を抱いた。
(今までこんな事無かったのに……どうしたんだろう、ユナン?)
「……君が『マギ』だって話は、もうしたよね?マギとは創世の魔法使いで、ルフに選ばれた特別な存在。魔導士は自らの体内にあるマゴイのみを糧にして魔法を使うけれど、ルフに愛されたマギは周りからルフを呼び寄せ、幾らでもマゴイを作り出す事が出来る」
「うん。そしてマギは、世界のあちこちに迷宮を作ってそこに自分が選んだ王の器を導き、国を作り、世界を作ってきたんでしょう?」
「その通り。でもね、よく聞いて、ユール。君は普通の『マギ』とは違うんだ」
「……え?」
「此処からは君には初めて話す内容なんだけど、世界には本当は『マギ』は3人しか存在しない筈なんだ。そして、既に世界にはマギが3人存在している。君の存在は、本来ならば『異端』なんだ」
「で、でも……。それじゃあ私、本当は『マギ』じゃないんじゃ……?」
「まあ、正確に言えば、君は『マギだけれどマギではない』のかもしれないね。でも君は、ルフ達を周りから呼び寄せてマゴイを作り出しているだろう?自分の体内から消費する事なく。それが『マギ』である事の証拠だよ」
「じゃあ私の存在って何?何で私は生まれてきたの?」
「落ち着いて、ユール。まだ僕の話は終わってない。
……君はね、僕達とは少し違う存在のマギなんだ」
「?」
「君はマギだけど、迷宮を生み出す事は出来ない。王を導く事は出来ないマギなんだ」
「!!な、何、それ……。だって王の器を選べなかったら、幾らルフに愛されていても、本来の『マギ』の存在意義がないじゃない。私はっ……私は何の為に生まれてきたのか、解らないじゃない!」
思わず立ち上がり、ユナンに向かって叫ぶユール。
彼女を見つめるユナンの顔も、彼女と同様に、酷く悲しげに歪んでいた。