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1.
「わあぁ、空だ……!」
上昇を続けたユールが初めて目にしたものは、一面に広がる碧い空、そして、白い雲だった。
これが、空。
ユナンが教えてくれた知識の内の1つだ。
なんて美しいんだろう。
この空は、何処迄続いているんだろう。
下を見れば、此方も初めて見る、ユナン以外の『人間』が、玩具のように小さく見えた。
そして、青々と茂った森林。
ユールは、初めてのもので溢れ返っている外の世界に感動を覚えた。
―私は、こんなにも美しい世界を導く為に生まれたんだ……!
そんな事をふと思った少女は、これから自分を待っているであろう冒険への期待を、刻々と高めていた。
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「お腹、空いたなぁ……」
それから5日後。
予め用意しておいた食料が尽きてしまったユールは、絨毯の上でそう呟いた。
森ばかりだった風景はいつの間にやら消え去り、代わりに眼下に広がるのは一面の青、青、青。
それが海だと解った時はユールも嬉々としたものの、流石に潮風の中を2日程彷徨っているのは億劫というものだ。
溜息をついていると、突然後ろから声が聞こえてきた。
「おい、お前」
振り返ると、そこにいたのは自分と同じく絨毯に乗った、1人の青年。
長い黒髪を三つ編みに結い上げ、胡座をかいて座っている。
初めてユナン以外の人に話し掛けられたユールは、緊張の余り肩をビクリと震わせた。
「……んだよ。ちょっと声掛けただけじゃねーか」
「す、すみません……」
そう言ってチラリと彼を一瞥すると、ユールは彼の周りのルフが真っ黒に染まっているのに気がついた。
―何だろう、この嫌な感じ。
―それに、何でこの人のルフは、こんな色をしているの?
そんな不安が彼女の心を覆い尽くした時、青年が再び口を開いた。