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3.
「紹介するよセルティ。彼女は訳あって俺の所に居候中のみょうじなまえちゃん。
なまえちゃん、この人は首無ライダーのセルティ・ストゥルルソンだよ」

「セルティ……さん……」


臨也さんに聞いた名前を小さく反芻する。
そして私は、セルティさんに向かって宜しくお願いしますと言って頭を下げた。


『なまえちゃん、君は臨也が吸血鬼だって事知ってるのか?』

「はい」

『っ、じゃあ何でアイツと一緒にいるんだ?君は普通の女の子なのに……アイツといたら、いつ血を吸われるかー』

「そこまでだよ、セルティ」


臨也さんはあろう事か、自分の方に私を引き寄せた。


「余計な詮索はしないでくれるかな。彼女が俺の所にいるのにはちゃんとした訳がある事だから君に心配される筋合いは無いよ」

『……どうせお前が誑(たぶら)かしたんだろう』

「だから、してないって。どうして俺はアンタにこんなに信用されてないのかねえ」

『お前がそういう態度ばかりとっているせいに決まっているさ』

「それもそうか。ま、直すつもりはないけどね」


臨也さんは肩を竦めた。


「それじゃあセルティ。俺達はもう帰るとするよ。……またね」


クスリと笑うと、臨也さんは私の手を掴んで歩き出す。
チラリと後ろを見ると、セルティさんは私の事をじっと見つめているような気がした。
最も、彼女に目は存在しないのだけれど。


♂♀


「で、どうだった?首無ライダーに会った感想は」


私の手を掴んだまま前を行く臨也さんは、後ろにいる私の方を振り向いてそう尋ねる。


「単純に、良いライダーさんだと思いました。
喋れない事を除いたら、まるで人間みたいで……不思議と恐怖は感じませんでした」

「……へえ。俺の時はあんなに怯えてたのに?」


心なしか臨也さんの口調が冷たくなった気がして、私はビクリと縮こまる。


「ご、ごめんなさい」

「……」


臨也さんは暫く何も言わなかったが、最終的には「今日は気分が良いから許してあげる」と言ってくれたので、私は胸を撫で下ろした。


「でも、池袋では有名な首無ライダーさんと知り合いだなんて……
臨也さんは一体何者なんですか?」

「何者もなにも、俺は唯のヴァンパイアだよ。……と言いたいところだけど、まあ仕事ではアンダーグラウンドな情報屋みたいな事をしてるかな。運び屋には結構依頼を頼んでいてね。ま、セルティとはちょっとした仕事仲間みたいなものだよ」

「へえ……じゃあ臨也さんは、池袋の都市伝説のヴァンパイアでもあり、有名な情報屋でもあるんですね」

「ま、そういう事になるかな」


改めて私は、何だか凄い方にお世話になっているのだと知った。
だからと言って、これっぽっちも嬉しいとは思わないけど。



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