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 目を開けると、見慣れない天井だった。カーテンもかかっており、一体どこかと思ったが、すこし考え 保健室だと判明した。 ああ、そうだ。倒れたんだった
 …倒れたということは誰かに運んでもらったということか…? はっきりしない頭ですこしの間考える。

 ……足をくじいて、倒れた後 轟焦凍くんが来て…それで。 って、つまり私は 轟焦凍くんに運ばれたってこと……?
 記憶がないので、確証はないがそうとしか思えない状況だったのは覚えている。ああ、お礼を言うのが正直面倒だ。
 ややテンションが下がったところで周りから声が聞こえてくるのがわかった。いったい誰…?

「あまり大きな声でワン・フォー・オールのことを話すのはどうか……」

 この声は……オールマイト先生? でも声がやや高いのはなぜ…?

「この……周知の事実………個性………秘密…」

 ……いま絶対聞いちゃいけないことだったよね。時々聞こえなかったけど、秘密ってことは……。 私が聞いてはいけなかった ということ。
 それがわかった瞬間私は現実逃避をするため即座に再度寝た。



「塵岡! 起きな!放課後だよ!」
「ぅ……ぅん」

 私はリカバリーガールに叩き起こされた。 目覚めが悪いのをリカバリーガールはわかったのか、あまりしつこく起きろと言わないでくれた。 言われると本当に気がおかしくなってしまうのでありがたい。

「あ、出久……」
「!?! 塵岡っさん!?」
「ははは 希沙でいいよ? 私も出久って呼んでるんだし」
「う、ん……」

 隣を見ると、出久がぼーっとどこかを見ていたので話しかけたが……ボロボロだった。 恐らくオールマイト先生のヒーロー基礎学で負った傷だろう。ああ、ヒーロー基礎学やりたかった……

「あの、なんで希沙…さんはヒーロー基礎学の時いなかったの…?みんな心配してたよ。特に飯田くんが」

 みんな…?意外だなぁ。あんま私のこと心配してくれる人いないだろうって思ってたのに。 というか天哉は心配性じゃないか? 出久の話によるとすっごい騒がしかったって……。

「ほら二人とも もう起きたんなら戻りな」
「あ、すみません…!ありがとうございました!」
「ありがとうございました。あの、リカバリーガール…」
「ん?なんだい?」

 さっきから気になっていたので、絶対知っているであろうリカバリーガールに聞く

「私を運んだ人って…轟焦凍くんですか?」
「ああ、そうだよ。会ったらちゃんとお礼言うんだよ」

 ……まさにShitって感じだ。



 保健室を出久と一緒に出て、教室に向かう。

「相澤先生に怒られそう…」
「大丈夫だよ 私なんて無断だったし…」
「あ、でも轟くんが先生になんか言ってたよ?」
「え゛っ」

 雑談をしながら歩いているとあっという間についてしまった。出久が先に教室に入っていくと、いろんな人が出久を取り巻いた。 私は目立たないようにそっと帰りの支度をし、教室を出た。
 私はまだああいう場所には慣れていない。中学の時は今みたいに話しかけたり、希沙でいいよなんて言わなかった。 そこの変化は大きいけど、やっぱりまだ慣れない…


 私が職員室の前を通ると、いきなり扉が開き 中からオールマイト先生が出てきた

「やあ塵岡少女!!」
「!?」
「驚かせてしまったようだね すまない! ちなみにヒーロー基礎学の時の話は轟少年から聞いているから大丈夫だ! 話が…」

 そういうとオールマイト先生は窓の外を見て止まった。 話が…?

「すまない! 明日話をしよう!じゃあ気をつけてね!」

 そして目の前から消えた。 否、ものすごいスピードで消えていった。 さすがオールマイトというところだ
 …兄に怒られるし、心配かけるから今日の事は黙っておこう。



ー午後ー



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