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 …起きたはいいけど学校に行きたくない。そんな時期がまたやってきてしまった。

 中学の時はそんなことが頻繁にありよく休んでいた時期があった。「いじめ」まではいかないが 避けられた時期もあった。 ああ、私は高校生にもなってもまた体験するのか…?あんな目で見られなければいけないのか…?

 深く考えれば考えるほどネガティブになっていく。 やめよう。 そう思い、思考を停止する。考えなければ何も思わない


「おはよう 希沙 朝ごはんできてるよ。…相変わらず眠そうだね」
「おはよう… あにい…」


 料理は昨日私が作っておいたものを温めてくれた。兄いの料理は美味しくないし、変な味するときあるから基本的に私が作っている

 椅子に座り、朝ごはんを食べていると兄いが私をじっと見ているのがわかった。寝癖が酷いのだろうか


「…休む?」
「………あー、平気。」



 また 休むわけにはいかない。







 下駄箱につき、靴を入れ 上履きに履き替えていると、後ろから声をかけられた

「おはよう!塵岡くん」
「あ、おはよう。天哉」

 大体同じ時間帯に登校する私たちは校門の前や下駄箱で出会う。 私の方が早く家は出ているが、天哉の方がスピードが速いので同じ時間帯に学校に着くようだ。
 朝早く人がいる嬉しさ それは私と天哉 お互い初めて知った嬉しさということもあり 今では当たり前のようになっている

「体調は大丈夫か?」
「あ、うん。 ごめん 心配かけて」
「塵岡くんが大丈夫ならいいが……何かあったら是非頼ってくれ」
「ありがとう」

 こうして学校の朝は過ぎていった。 何よりも問題なのは轟焦凍君にお礼を言えてないということ。
 21人のこのクラスの席順は窓側の一番後ろに一人席がある。そこにいるのは私だ。なので轟焦凍くんとは席が近い。右斜め前にいるのだ。

「(……昼 言おう)」

 私はそう決めた後 授業に集中した




 ー昼ー



 授業が終わり、みんな食堂に向かった。私は轟くんに話しかけようと決意を固め、教室の扉を開けた。

 途中天哉に昼食を誘われたが、断った。断る時、天哉はものすごく落ち込んでいて、胸が痛かった…… 恐らく落ち込んだのはまだ一緒に食べれてないからだろう。なんで私なんかと食べたいと気にするのかわからないけど……嬉しいからいいかな。

 教室から一歩出た瞬間 目の前には大きな壁が出てきた。 一瞬目を疑ったが、ワンテンポ遅れてきた風、そして言葉によって正体がわかった


「やぁ塵岡少女 お昼 私と食べないかい?」
「……ハイ…」


 私はその言葉以外出てこなかった。
 






 私は人気がない秘密のスポットのような場所でお昼を開始した。 何故なら隣で座って食べているこの人により連れてこられたからだ。
 別に嫌ではない。むしろあのオールマイトとご飯だなんて光栄に思えるべきだろう。 二人でベンチに座り、お昼を食べ始める。

「あー 塵岡少女 今回君をお昼に誘ったのは話がしたかったからだ」
「…この間の授業の件とかですか……?」

 ごくんと食べ物を飲み込み 再度話し出す。

「ああ。非常に心配したが、元気そうで何よりだ。」
「ご迷惑をおかけしてすみません…」

 そういうとオールマイトは頭をそっと撫でてくれた。なにこの状況。心臓バックバクなんですけど!?

「え、と……昨日の授業についていろいろ教えてくれませんか!」
「!!……ああ、もちろんだ」


 それからお昼を食べている間、授業の話を聞いた。みんなの勇姿が見れなかったのが残念だなー……
 私が出てない分の授業はどうなるんだろ……と思って聞いてみたところ、授業や放課後に時間があるときにできたらやるらしい。多分今後の授業で必要なんだと思う。たまにオールマイトが席を外したりしてたけど、すごい有意義なお昼を過ごせた……


「ふぅ……ごちそうさまでした。」
「話が聞けて良かったよ。ありがとう。」
「いえ……こちらこそありがとうございました。」

 少し待たせてしまった……。でもこうして話ができる存在にいるんだなっていう違和感半端じゃないんですけどね……
 ……ああ、でもこうして話したせいか、余計ここにいるべきなのか…な

「塵岡少女!」

「!?……は、はい」

 そろそろ教室に帰ろうとしたら急に呼びかけられ、高い声が出た。恥ずかしいな……。
 でも一体何のようだろうか。今さっきまで話していたから特にないと思うんだけど……

「どんな個性だろうとヒーローには成れる」
「!!!!」


 それ、は……その言葉は……

「忘れるな。君を待っているものは必ずいるんだ」

 そう言ってオールマイトは去っていった。
 ああ、だから、だから彼は

「さすがNo.1ひーろー……だなぁ……」


 自然と涙が出てきた。私は今も昔も、変わってなかった。何も……変わってなかった。ただの臆病者で、逃げてばかりの私。変わったと勝手に思ってただけなんだ。……うん。もうおしまいにしよう。このことはまた別の時に考えないと。

 さてと……あれ、なんか忘れてる気が

「……轟焦凍くん…」

 昼食の時間はまだ残ってる。オールマイトと話してる時間自体は結構早く終わったから、このまま大食堂に行って、まだいるかどうか……。
 どうしよっかな……

 ーおはなしー


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