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 最初大食堂に行こうかと思ったけれど、結局教室に戻った。でも、結局轟焦凍くんは教室にいた。 正直ハードル上がった気がする。この場には他にもクラスメイトがちらほらとおり、大抵の人は自分の席で大人しくしている人ばかりだった。

「(うーーーん。この状況まずくないですか?)」

 目立つように話しかけるつもりはないが、こうも静かだとかえって目立ってしまう。本当に大した用事じゃないから余計話しかけにくくなる。メンタルそこまで強くないから嫌なんですよ……これ……。
 どうしようか迷っていると後ろから嫌な気配を感じ、とっさに振り返った

「っ…!!!」
「おい。どけ。」

 とても会いたくない人物がいた。もはや理由を言うまでもない。
 とにかく関わるのが嫌なので、即座に道を開けた。そして私を見てまた彼は「チッ」と舌打ちをした。そのあと彼はずんずんと進み、自分の席に座った。本当に彼は何がしたいのだろうか。

 いや、今はそんなことどうでもいい。轟焦凍くんだ。いい加減話しかけないと、本当に時間がない。
 ああ、中学の時あんまり話してこなかったのがここになってあだになるとは。高校に入ってから頑張って話しかけていたが、やっぱりいやだな……。


「轟焦凍くん」
「……?なんだ」
「えっと、昨日のことなんだけれどさ…」

 そういうと彼は少し考えた後、「ああ」と言い、そのまま話をつづけた。

「床で休んでたやつか。確か……塵岡だったか?」
「床……それは忘れて……。うん。塵岡希沙っていうの。昨日はありがとう。先生にまで伝えてくれて…。」
「目の前で意識失った状態のやつを放っておくなんてできないだろ。」

 それはごもっともです……。同級生だけど、つい萎縮してしまった私は、申し訳なくなり目を伏せた。

「それに関してはごめん……。助かったよ。」
「別にいい。」

 すると鐘が鳴り響いた。次の時間はたしか……金曜日だから英語のはずだ。うわ、プレゼント・マイクだ…。雑に受けたのがばれたのか、前回の授業の終わりらへんにやたらとさされたんだよね……。おそらくだが、今回の授業でやたらと指される気がする。
 轟焦凍くんに再度お礼を言って、自分の席に座った。




「Hey!塵岡!集中してるかあああ!?」
「はい」


 感情を殺しながら受け答えをする。思ってた通り、私を注意して見ているようだ。やだなぁ……と思いながらふと右前を見る。
 すると轟焦凍くんと目が合った。私は首を傾げた。いったいどうしたんだろう……?
 彼は再度黒板を見て、板書を再開した。私も気を取られている場合じゃない……!

 これでクラス内の人…轟焦凍くんとは少し話したクラスメイトに昇格しただろう。


ーお礼ー





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