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 未だに慣れない高校生活を必死にこなし、あっという間に午後になった。

 ちなみに昨日、私がオールマイトやら轟焦凍くんとゴタゴタして気がつかない間に天哉が委員長になっていた。
 正直誰でもいいかな、という気はあったけれど、天哉が嬉しそうだったのでなれてよかったね、と声をかけた。

「今日のヒーロー基礎学だが…俺とオールマイト。そしてもう一人の3人体制で見ることになった。」

 教室の前で担任が説明を始めた。今回は参加できる、と一人心の中で安堵をしつつ、みんなとは一つ遅れての初めての参加で気分が高揚していた。

 人命救助訓練。ヒーローの本分であるそれは、心躍る内容
 一時期ヒーローを諦め、そしてまた諦めかけている不安定な気持ちの私でも、受けたいと懇願してしまうほどの魅力がある。

 先生の説明が終わり、各々コスチュームをとり着替えなどの準備を開始する。

 しかし、コスチュームか……。要望は出したが、全身図を描いたわけではないので、どのようなものになっているのかわからない
 どうか、どうか変なことになっていませんように、と祈りながら私は自分のコスチュームを取り出し、更衣室へと足を運んだ





 周りは既に着替えを始めている中、私はコスチュームを見て絶望していた。
 私の要望は、周りに適応して擬態できるフードポンチョ……というより、フード付きマント。使わない時はマフラーのように首元に収まるようにできる。そしてもう一つは、色々と物を入れることができる腰巻。

 確かにこの二つだけの要望。しかも、私の個性はゴミを体から出すので、肌の露出面積が広くなってしまうのは仕方ない……のだが
 着る、と言ってもスポブラとスパッツの形をしているパツパツスーツ。上からマントと腰巻があるとしても恥ずかしい

「あら、塵岡さん着替えないと間に合いませんわよ」
「あっ、はい!き、着替えます!」

 すでに着替え終わっている八百万さんに言われ、制服を脱ぎ始める。
 ……八百万さんのコスチュームもなかなかに露出が激し………あれ?メーカー同じじゃない?八百万さんと同じだ……と、衝撃を受けながらコスチュームに手を伸ばした


ーー


 着替え終わり、バスに向かっているみんなの列の一番後ろでそっとついて行く。普段こんな露出する服を着ないので、恥ずかしいのだ。
 先程天哉に話しかけられたが、恥ずかしさでフードを被ってしまった。ああ、これは早く慣れないとまずいな……


 みんながバスに乗り始め、私は一番最後だった。既に手前の方は座っており、奥の方に誰かの隣が空いている程度だった。仕方ないので、近づいてみると、轟焦凍くんの隣しか空いていなかった。

「あの、轟焦凍くん。隣いいかな?他空いてなくて……」
「……ああ」

 承諾の返事をくれたので、私はありがとうと言って隣に座った。急に隣きてごめんね……、と言うと、彼は特に何の感情も含まずに、別に平気だ。と言った。
 案外この彼の感じ楽でいいな、と思ったのは内緒だ。

 前の座席に爆豪勝己がいるのが少し気がかりだけれど、隣になるより全然いいかな、と思う。失礼だけれども。
 そんなことを思っていると、バスは出発した。しばらくすると、前の方が騒がしくなり、何やら揉めているようだった。私はフードを被って、目的地に着くまでじっとしていた。

 ……この場で浮いている存在であろう私の気持ち。それでも諦めきれない自分に嫌気を感じながら。


ーコスチュームー



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