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 あの事件から数ヶ月経った今日。
ついに私は「雄英」一般入試実技試験を受ける。目の前にそびえ立つ建物がとてもとても威圧感を感じる気がして怖いと思ったのは私だけなのだろうか……。
 私は今日まで個性と向き合い、個性と身体を鍛えあげてきた。私の個性は何ができるのか。活用性はどんなものなのか。そして自らの肉体も筋トレして鍛えた。それを活用するため、入試で落ちてはいけない……!

 会場に入ると、沢山の人で溢れかえっていた。前ではプレゼント・マイクが概要説明をしている。ふむ、どうやら会場は多々あるらしい。
 そんなことを考えていると、前にいる男子二人は連番なのに会場が違うと話している声が聞こえた。まぁ、私 同校なんていないんですけどね。 前の男子二人は同校だけど協力する気元々なさそうだなぁ……。
 すると周りがガヤガヤ言い出した。どうやら移動するようだ。ふう、私も頑張らなきゃ……!

 会場に行くと、すでに多くの人が待機していた。 こういう場所は初めてなので、ついキョロキョロと周りを見てしまう。中には先程の男子二人組の一人 ツンツン髪の方がいた。

「(同じ会場か……あの人の個性強そう)」

 そんなことを考えていると、後方から「ハイ スタートー!」という声が聞こえたので、瞬時に走り出す。 周りの人は「え?」という顔で後ろを振り返っていた。

「賽は投げられてんぞ!?」

 プレゼント・マイクさんの声大きいから離れても聞こえるな……。あ、前方に1ポイント発見。 幸い相手は気づいていないようだ。素早く近づき、手で触れる。それだけでロボットは腐蝕して、鉄砂になった。 この試験 私にとって有利なものかも……
 そう思った瞬間 後方からものすごい爆破音が聞こえた。瞬時に後ろを向くと、さっきのツンツン髪君がロボットを爆破したようだった。何事かと思うし、心臓に悪いからやめてくれ。そのツンツン髪君は近寄ってきたロボットをどんどん爆破させている。

「(……P稼がなきゃ)」


ーーー



「ハァッ、ハァッ」

 38P……。さっきのツンツン髪君が爆破したロボットの破片がいろんな人に飛んでいって危なかったから、破片を食べたり腐蝕させたりしてたからな……その分稼げてないや。あと意外とロボット美味しかった。


「終了〜!!」


 プレゼント・マイクさんの声が響き渡る。え、もう終わり?……うう、自信がない。 終わった瞬間 私へ風がブワッと吹いた。周りの鉄砂が舞い上がった。それを少し吸ってしまい、むせる。誰だこんなことしたの……鉄砂は私ですね。はい。 でも風は違う……。
 風が吹いた方向をみると、ツンツン髪君が私を見て……いや、私の後ろの0Pを見ていた。私が足を腐蝕させ、ゴミで身動きを取れないようにした0Pロボットを。最後の爆破を途中でやめたから風が出たのかな……? あと多分なんでPになんねーやつやってんだコイツとか思ってんだろうなぁ……。

 その後 無事入試試験は終わった。筆記の方は、実技よりはまだいい結果だろう。結果が返ってくるまで、兄が五月蝿かった。私は兄に言われて試験のことを思い出す程度だったので、あんまり気にしていなかった。 それを言うと兄が五月蝿くなるので言わないが。

 一週間後 私の家に雄英から通知が来た。内容はどうであれ、無事通知が家に来たことに感動した私は兄に頭を叩かれた。だって住所とか間違えられてたら困るじゃんか……。

「結果は!?結果は!?」
「これから部屋で見てる。兄いは待っててよ」
「……わーったよ」


 そして私は 試験結果を目の当たりにした。



ー入試実技試験ー



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