.




「希沙ー!!!よがっだぁぁぁあ!」
「うるさい。ホント何なの。いい加減ぶっ飛ばすよ」
「だっでぇぇぇぇ!!」
「……はぁ」

 朝っぱらから泣かれるのって結構疲れるんですけど。 泣きついているのは私の兄。昨日通知結果を報告してからずっとこれだ。迷惑にもほどがあるだろう

「……ウザい。生ゴミ食わせてあげようか?」
「……」
「……」

 意外とメンタルが弱いこれが兄だ。今日は雄英高校入学日なんだ。制服もシワが付くし、早く学校に行きたいんだ。離せ。
 そんな思いが通じたのか、兄は冷静になり離れてくれた。

「ごめん。……おめでとう希沙」
「うん。ありがと。じゃあそろそろ行ってくるね」
「あ、朝ご飯」
「ジュア飲んだし、パックも食べたから大丈夫。いってきます」
「…いってらっしゃい」

 そして私はこれから通う高校へと向かった。


ーーー


「……登校時間ピッタリ。」

 腕時計で確認すると、ジャストで校門に着いた。すると反対側から丁度別の人が来た。あれは……ああ、入試実技試験の時質問してた人だ。声でかいし、手の動きが凄かったから印象に残っている。

「おや、君は?」
「初めまして 一人で入るのもアレだったんで、一緒に行きませんか?」
「ああ、ボ…俺は飯田天哉だ」
「私は塵岡希沙 よろしくね えっと、天哉でいいかな?」
「もちろん」

 話をすると、同じクラスの人だと判明した。朝とかみんなが来るまで待たなきゃいけない時間結構寂しいんだよね……。人がいると話せるしから助かった……

「塵岡くんは中学から早く登校してきていたのか?」
「うん。遅刻とかしたことないんだ。朝家にいると兄が構ってくるから……」
「兄がいるのか!奇遇だ 俺も兄がいるんだ」

 教室で他の人が来るまで兄弟話で盛り上がった。やっぱり人がいるっていいね…! 人が来た後は会話をやめ、軽く自己紹介などをして他の人たちと親交を深めた。みんないい人ばっかりで、安心した。
 ガラッと扉が開いた。誰が入ってきたんだろうと見てみると、ツンツン髪君だった。同じクラスかぁ……仲良くなれるかな……そんな雰囲気出してないけど。 彼は席着くと 足を机の上に乗せた。 うん。すっげー態度悪りぃって事はわかったよ。 それをみた天哉は「会話を切り上げてしまい すまない」と私に言い、ツンツン髪君のところへ行った。真面目だなぁ……。多分もめるな。

 結果 案の定もめた。「てめー どこ中だよ 端役が!」とかサラッと出てくるってすごいね。端役とか全く使わない言葉だし、言葉の容量広いな。
 そんな話を聞きながら、周りを見渡す。みんなちゃんと席についていて偉いなぁ。私もついてるけど。 こうやってみると、本当に色々な人がいるんだなぁと思う。

 いつの間にかもめ事も収まっており、誰か立っていた。……なんか見たことあるような無いような……プロヒーローなんだけど、名前が……

「担任の相沢消太だ よろしくね」

 ……もういいや。
 その後即座に先生に体操服に着がえてグラウンドに出ろと言われたので、体操服に着替える。 みんなが移動している今が先生に言えるチャンスかな

「あ、相沢先生」
「なんだ。」
「その、先程飲んでいたゼリー飲料のゴミって捨てますよね。……よければなんですけど、それをいただけないかなぁって……」
「……何に使うつもりだ?」
「お腹が空いてしまいまして……」

 そう言うとゴミを渡してくれた相沢先生。しかもゼリー飲料のだけじゃなく、ポテーのゴミ袋もくれた。……優しい先生だ……!

 更衣室に行くと、女子メンバー意外と少ないことが判明した。 多い方なのかなこれ……
 グラウンドに集合し、先生から言われた言葉は個性把握テスト。個性禁止テストを今までやってきたが、今度は個性を使ってテストをやれと

「爆豪 中学の時ソフトボール投げ何mだった」
「67m」

 あ、ツンツン髪君の名前爆豪なんだ。下の名前ってなんだろう。てか個性禁止で67mとか……


「死ねえ!!!」


 ……………死ね?
 ものすごい爆発と掛け声と共にボールは飛んでいった。高く高く。測った結果は705m。638mも結果は伸びている。


「よし トータル成績最下位の者は見込み無しと判断し、除籍処分としよう」


 ……うそやろ。

「(入試に受かったのにここで落ちるわけにはいかないな……)」

 入学初日から……さすがヒーロー科 自由だなぁ……。 そんなことを考えながら、始まった個性把握テスト。 初日から疲労がハンパなさそうだ。


ー入学初日ー


TOP