好きな人(夢主視点)

そろそろ来る頃なんだけどなー。
今日は遅いな。いつもサソリが通る時間と同じ時間なのに今日はまだ姿すら見えない。

(授業が長引いたのかな…)

門の前にもたれかかって待つことにした私。それから20分は待ったけど、サソリの姿は見えない。今までこんなに遅くなることはなかった。時間に厳しいサソリは、授業がおわったらすぐに帰って来る。20分もずれることなんて初めて…。

諦めて帰ろうかと思ったその時、私が待っていた人物が遠くに見えた。私は駆け足でサソリの方へ近づく。

「サソリ!!大学お疲れ様」
「…捺。おまえ帰ってなかったのか」
「あ、えっと…、私も今丁度帰りで!デ、デイダラと話してて遅くなって!うん!」

待ってたなんて言えないからね。焦った…!私の返答に、サソリは優しく笑った。

「ククッ…。あの馬鹿髷の口癖うつってるぜ」
「…!あはは、いつも話してるからかも」

サソリの笑顔に私の体温が一瞬で上がる。好きだなー。本当に好き。そう思いながら、隣を歩く。

「あいつはまだ部活中か?」
「デイダラの事?うん。多分今日も遅くまでやってくんじゃないかな」

そうか。と答えると少し嬉しそうな表情のサソリ。デイダラは将来、サソリと一緒に作品を作っていきたいらしい。それをサソリに宣言している。始めは馬鹿にしてたサソリだけど、サソリと同じ大学に行く!と聞かないデイダラの姿や、芸術活動に真剣な姿を見てきたからね。だから嬉しいんだろうな。その夢の為に頑張ってるデイダラがいるのが。

「捺」
「んー?なぁに?」
「あの馬鹿髷にこの資料渡してやれ。うちの大学の受験問題だ。あいつ、勉強の方はどーせ全く手つけてねーだろ」

国語、数学、英語…たくさんの大学問題を渡される。サソリの高校って偏差値高かったもんね。

「きっとデイダラ喜ぶよ」
「わかんねーとこは聞きに来いって言っておけ」

デイダラに明日渡そう。絶対喜ぶけど、勉強嫌いだからきっと嫌な顔するだろうな。…想像したらちょっと笑える。

「なに笑ってんだよ」
「えっ?!うそ、私笑ってた?!」

想像して笑ってたなんて恥ずかしい…!サソリに見られてたし。

「デイダラの事でも考えてたんだろ」
「え!…いや、渡した時のデイダラの反応想像したらなんだか笑えて…」
「おまえが笑ってる時って大体あいつの事だからな」
「そ、そんなに考えてないよ!」

デイダラの事よりサソリの事考えてるよ!…こんな事言えないから言わないけど。

「…あ!ねぇ、サソリ!」
「ん?なんだよ」

カバンの中から一枚の紙を取り出してサソリに見せた。

「これ!一緒に行かない?」
「…花火大会?」
「そう!受験もはじまるし…、その、頑張る為に花火見たいなー…なんて」
「……」

だめかな。さすがに押しすぎたかな。サソリ花火嫌いだったから駄目元で誘って見たけど…。返事を聞くのが怖くて、目を瞑る。

「いいぜ」
「へっ?ほ、ほんと?!」
「嘘言わねぇよ。今度の土曜日だな。空けておく」

OKされるなんて思ってなかった。嬉しい…。どうしよう、本当嬉しい。サソリと花火大会!!

「ありがとう…。楽しみにしてるね」
「そのかわり勉強ちゃんとやれよ」
「わかってます〜」
「ならいい」

そこから何気ない話をしながら帰ってきた。いつのまにか、私の家の前に着いた。またね、とサソリと別れて家に入る。

(〜〜っ!サソリと花火大会!!)

喜びが隠しきれない私は家の中で小さくガッツポーズをする。オシャレしよう。髪の毛も!がんばらなくちゃ…!

(…告白できるといいな)

私は高校3年生。サソリは大学4年生。来年には就職で県外へ行ってしまう。今年言わなくちゃ、後悔しないように。
ちゃんと気持ち伝えなくちゃ。

私はそう決意して、花火大会の髪型を決める為に雑誌を開いた。今だけは勉強より大事なことだもん。…頑張る。