「花火大会っスね〜。デイダラ先輩」
「…そうだな」
オイラの席の前の席に座るトビ。同い年なのに先輩をつけて呼んでくる変なやつだ。ちなみに本名はオビトだが、オイラはトビって呼んでる。トビは今週の土曜にある花火大会のチラシを見ながら携帯を眺めていた。
「あぁ〜リンと行きたかったなぁ…」
「グダグタ言うならさっさと誘ってこいよ。うん」
「だから言ったじゃないっスか!リンは土日は朝から晩まで夏期講習で誘えないんスよ〜」
「知るか。誘ってもねーのに諦めてんのはテメーだろうが」
夏期講習ぐらいで誘わねーとかだせぇんだよ。大体オイラから言わせたら、両思いの癖にそんな事で悩むなっつーんだ。…ま、本人どもは知らねーんだろうが。
「おまえさっさと告れよ」
「あー!またそう簡単に言いますねー!」
「簡単に言ってねぇ。グダグタ悩むなら言えばいーだろってことだ」
「言えたら確かにいいんスけどね。…でも先輩も…」
「あ?なん「デイダラ!!!!」…は?」
廊下からでけぇ声がして振り向くと捺がいた。封筒をもってオイラの席に向かってきた。トビにもおはようと挨拶をして空いてる席の椅子を借りて座りだした。
「これ!サソリからだよ。大学の入試問題の勉強に使えって」
「ゲッ。こんなにあんのかよ…」
オイラの反応にクスッと笑う捺。なんだよと言うと「予想どうりの反応ありがとう」とお礼を言われた。
「わからないとこは聞きにこいってさ」
「ん。さんきゅ」
「捺さん優しいっスね〜。こんな優しい幼なじみがいて先輩が羨ましいっス」
「トビはいい子だね。わかってるね〜」
「うるせぇやかましい幼なじみの間違いだろ、うん」
「なんだとこの芸術ばか髷」
今までずっとこんなかんじで口喧嘩をしてきたオイラ達。多分異性で1番距離が近いのはお互い同じだろうな。…まぁ、旦那に取られちまったらそれも終わりなんだろうがな。
「デイダラ?どうしたの?」
「あ、あぁ…なんでもねーよ」
「わかった!問題が難しすぎて不安になったんでしょ〜」
「え!!そうなんスか?先輩?!」
んな訳ねーだろ。トビの奴まで捺にノってきやがって。
ポンポンっ
「大丈夫だよ!デイダラならきっと!不安になったら話ぐらい聞くからさ」
そう言って頭を撫でられ、ニコッと笑う捺の笑顔に不覚にもドキッとした。何も言葉を返さず固まっていると授業が始まるチャイムが鳴り、慌てて捺は自分の教室に戻っていった。
「……」
「…先輩もそろそろ告ったらいいじゃないですか」
「馬鹿いえ。オイラはもう結果わかってんだよ」
「サソリさんの事っスよね?そんなん分からないッスよ。それに…」
「…いいから前向け。授業はじまんだろ。うん」
無理やりトビを前に向かせる。おまえとリンとは話が変わってくんだよ。あいつの見てる相手はオイラじゃねーんだからよ。
ブーブー
「…ん?」
机の上に出していたスマホが鳴る。見てみるとトビからのLINEだった。
『そんな嬉しそうな顔するくらい捺さんの事好きなら諦めない方がいいっスよ。』
うるせぇよ。オイラだって諦めたくねーよ。何年あいつの事見てきたと思ってるんだ。…ただあいつに幸せになってほしいだけだ。その相手がオイラじゃ駄目なだけだ。そう思いながら、スマホを閉じた。