いつも私が何かを止めるのは、一足遅い。
ヴァニちゃんの時もそうだ。もっと早く、ヴァニちゃんの手を引いて、二人で逃げ出せたら良かった。そうすれば、彼がXブレードになるのを防げた。でも、それはヴァニちゃんにとっての苦しみや憎しみから逃れりための唯一の救い。私が躊躇わなければ、ヴァニちゃんと今でも一緒にいられた。苦しみも分かち合えた。
その二の舞に選ばれたのは、ソラくんから生まれたノーバディ──ロクサス。]V機関に所属していた彼は、シーちゃんの一件でソラくんの元に戻ろうとした。私はそんな可愛い"弟分"である彼を応援したし、助けになろうと、色々手を回したが、ダメだった。裏で賢者アンセム(今はディズだっけ?)とリっくんが動いてるのは知ってた。でもこんなやり方は強引で、ロクちゃんを人として見ていない様な扱いは、ヴァニちゃんと重なって悔しい。
◆
目の前で倒れたロクちゃんに走り寄るけど、私の手は届かなくて、フードが取れるだけだ。雨が冷たくて髪とコートを濡らしていく。
「…こんなことしなくても、ロクちゃんはソラくんのところにいったよ?」
「あぁ…」
地面にしゃがんでロクちゃんの頭を膝にのせる。こうして見ると、姿を補ったヴェンちゃんにそっくりだ、性格は少しやんちゃで……なんだか弟みたいで可愛らしい。
しばらく目覚めないであろう彼の頭を撫でていると闇の回廊が開いてそこから男が現れる──ディズだ。
「何故こんなことを?貴方はこんなことする人では…」
帰ってこない返事の代わりに、落ちてくるのは不機嫌そうな視線で、思わずたじろいでしまうけど負けていられない、と睨み返そうとしたが、私の代わりにリッくんが爪を立てるように突っかかる。私はそれを確認すると一呼吸して、気絶したままのロクちゃんに向き直る
「また会いましょう、闇の住人さん」
きっとその時までには、みんなが笑える世界になりますようにとこめかみにキスを落として、私はその場を後にした。
『また逢えるわ。必ず』