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相変わらず世界はバグのように歪むが、波の音だけがしっかりと聞こえて気持ちが悪い。
ヴァニタスが歯の奥を噛み締めた時。何者かは、相変わらずバグのようにノイズの入る手のようなものを差し伸ばした。ヴァニタスはその手が一瞬コールのものに見えた気がして、その手を取ろうとするが、それは斬撃音と衝撃で叶うことはなかった。
視線を少し上げると、何者かの胸は、どこかで見た気がする鍵状のもので貫かれていた。シルバーの刀身はステンドグラスのように彫られていて美しいが、貫かれたのと同時に何者かの姿がどんどん変わり、果てに、ケープを揺らしたコールの姿に変わったことで、美術品の美しさと、不気味さがでていた。
ヴァニタスは目を見開いて一歩下がる。
「間に合ってよかったぁ!・・・大丈夫?ヴァニちゃん」
その声は、今、鍵で貫かれている少女と同じ声だった。そんなはずはない、とヴァニタスが顔を挙げると、バグとノイズで形が不安定になった"少女"から鍵を引き抜く、"コール"が居た。ヴァニタスはその光景に目が釘付けになり、息を止める。コールはそんなカレを見て、優しく微笑んだ。
「少し、話そうか」
いつのまにか、"少女"は消えていて、世界もバグから解放されたのか、ノイズのない夜の色に包まれた浜辺に二人は立ちすくんだ。
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