あれから10日ほど経っただろうか、私のファン(?)は増えに増えていき、休日には公園に私の歌を聞きた人は30人を超え、なかなかの人気者となった。心ちゃんもあれから何回か私の歌を聞きにきてくれたので、たまにお菓子をあげたり、歌い終わった後に2人で噴水の淵に座ってお喋りをしたりした。
そんな中だ、心ちゃんが来なかったある日、私はいつものように歌い終わり心ちゃんがいないのを確認すると、いつも寝泊まりさせてもらってるネットカフェへと向かうのだがそれを阻むように目の前に美少年____いや、美青年が立ち塞がっていた。
「あ、あの!!天使様!!!」
なんと、この美青年はよろこばしいことに私のファンの1人であったらしい、彼のグレーの髪が冷たい風に吹かれてキラキラと輝く。瞳は憧れからか、キラキラと宝石のサファイヤのように輝いて、真っ直ぐに私を映していた。
『なにかな?おにーさん』
「あの、ですね、天使様の歌、いつも、いつも聴いてます。それで、それでですね…」
ニコッと微笑んで問いかけると、彼は一瞬顔を紅くしたが、違う違うというように頭をぶんぶん横に振ると、なにやらもじもじして話がなかなか進まない…と思ったら突如私の両手首を掴んだ。思わずへぁっ?!と間抜けな声が出る。
「天使様の歌っている姿、My Tubeにアップしていいですか????」
・* ✩ * ・* ✩ * ・*・* ✩ * ・* ✩ * ・*
「これでよしっと」
本日2回目の間抜けな声を出した私は彼の"お願い"を聴いてあげることにした。理由は簡単、わたしにも利益が少なからずあると考えたからだ。ネットにあげれば多くの人の目と耳に触れ、そのうち事務所からスカウトなんて____という夢話がわたしの頭の中に広がった。彼はわたしのことをもっと評価されるべきだと、言っていた、だが、ネットにあげることにより、養父様たちの目に触れることが怖い。時間の問題でもある。これは賭けだ。わたしはもっとこの広い世界を見るための。
『きみ、こんなこと思いつくなんて、すごいね!ねぇ、よかったらさ_______』
彼はわたしの"お願い"も快く聴いてくれた。彼はこの時に、わたしの"保険"となったのだ。
彼はわたしの"お願い"を聴いた後、用事があるからと帰ってしまった。わたしは1人残されたネットカフェで自身が歌っている動画を見て1人、静かに目蓋を閉じた。起きたら再生数がとんでもないことになってるとも知らずに。