昼間の屋上の床は暖かくて気持ちがいい。ここに転校してきてからは昼飯を食べた後は大体屋上に風にあたっている。たまに先客がいるが、その時は譲り合い精神で風にだけ当たって戻る。
今日はたまたま先客が居なく、屋上の高いところに述べればそのまま寝そべっていた。今日はこのまま午後の授業をサボってしまおうかと考えていると、ズボンのポケットから端末のコール音が鳴り響く。しょうがない、という風に起き上がり、狭いポケットから端末を取り出せば、電話に出ると、よく聞く声がぼんやり気味の頭を覚醒させていく。
『吉田くん?いま電話大丈夫?』
「大丈夫やで、田荘サン。それで、どないしたん?」
電話をしてきた人物はALIVEの指揮官、田荘万里乃。俺はとても危なっかしい彼女の事をALIVEから護衛を任されている。
『それならよかった。もうそっちに"あの話"伝わってるよね?…状況はどんな感じかな?』
「さァ?いつも通り騒がしいけどなァ。」
俺の耳にももちろん田荘サンの言うあの話は入っている。何にしろ俺の席の隣は久森晃人クン。未来視を持つ風雲児の"ヒーロー"だ。いやでも話に入ってくるし、情報収集にはうってつけだ。
「あぁ、そうそう。勇成クン、そろそろ戻ってくるみたいですわ。まぁ、もしかしたらもう、戻ってるかもしれんけど。」
「そっか。」
田荘サンはため息をつくと、一呼吸置いて「ありがとう。」と言うと、「それじゃあ、またね。」と電話が切れた。
俺は、電話が切れるのを確認すると、一度大の字に床に寝そべり端末をほっぽ投げる。
風が強いせいで、紙が揺れる。雲の流れが早い。
「これは何か起きるかもしれんなぁ。」
俺はすぐに起き上がると、目眩を必死に押さえながら荷物の中にリンクユニットと、通信機が入ってる事を確認する。荷物に不備はない。
嫌な気がするならやっぱり午後の授業をサボろうと、屋上を後にした。
空は相変わらず流れていってお天道様は雲に隠れる。
「これは荒れるかもなァ。」
それは一体どの意味なのか未来視を持たぬ自分自身でわからないまま、足を進めた。