カラ松を瞳に映す


(F6)


いいなあ、と呟いた#name#の視線はカラ松の目にしっかりと注がれていた。当然ながら目が合う訳で、青っぽさの混じる黒い瞳を揺らめかせ、後ろに何かあるのではとくるりと振り向いた。何も無かったためまた視線を巡らせばやはり#name#と視線が絡む。いいなあと言われたのが自分であるとは信じていないカラ松は「何がいいんだ」と潔く問いを投げる。

「カラ松の目」

ピンポイントではあるが羨望の眼差しを独り占めしていたのが自分であると分かるや否や、明らかにあたふたと髪をいじるカラ松。照れ隠しが下手なようだ。その間も#name#が視線をブレさせる事は無い。

「たれ目なのが羨ましいの」
「そうか?」
「うん」

かく言う#name#の目はきゅっと吊り上がっており、たれ目とは正反対の、所謂つり目であった。決して威圧感を与える存在ではないが、表情によって大分異なるだろう。羨望が嫉妬に変わり、はたまた憎悪へと行きつく事もあり得るが、#name#は穏やかなままだ。

「私なんてこの目でしょ。普通にしてるのに『怒ってる?』って聞かれるの」

いやになっちゃう、と溜息を吐いても吊り上がったままだった。瞳の色はカラ松と同じくぼんやり青めいているのに、たれ目かつり目かでこうも印象が変わるのも面白い。カラ松は#name#に帯び出した憂いを拭うためか、手持ち無沙汰な白い指をすくい上げ握り込んだ。やっと#name#の意識がそちらへ向く。

「目がどうとか関係なしに、お前はいい女だろ」
「そうかな」
「ああ。この俺が愛を注いでるんだ。間違いない」

聞いている方が恥ずかしくなりそうな台詞を臆面もなく、また違和感もなく言ってのけたカラ松は、その流れで件の目元にキスをする。「愛してるぜ、#name#」と付け足すのを忘れずに。対して#name#はカラ松の愛を一心に受け、あれほど執着を見せていたたれ目かつり目かはどうでもよくなってしまったようだ。微笑む表情はただ柔らかい。――しかし、少しだけ、もしカラ松がつり目だったらどうだろうと考えてしまうのだった。

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