カラ松は調子こき


折角の日曜日であるのに予定も用事も何もない#name#は、幼なじみである六つ子が暮らす家へと遊びに来ていた。その六つ子もまた、暇を持て余しては居間へと集結している。テレビを見る者、読書をする者、スマホをいじる者、素振りをする者など、一口に集結していると言ってもてんでバラバラに行動している。#name#は読書(メンズ向けファッション誌のようだ)をしているカラ松を観察するというよく分からない事をしていた。#name#的には右へ行ったり左へ行ったりする瞳や、時折跳ねる整えられた眉、いそいそと折り目をつける指など見所満載であるようだ。中でも注目しているのは肘の辺りまで袖が捲られ、露わになっている腕であった。

「カラ松、ちょっと腕見せて」
「ああ」

雑誌をちゃぶ台に伏せた流れでずいと差し出された腕。突然の要求にも理由を尋ねず応えてやるのがカラ松らしい。はっきり浮き出た筋を確かめるように擦る#name#。自分も袖を捲って並べてみると差は歴然だった。へー、だのはー、だの感嘆の息をこぼす。

「意外と筋肉質なんだね」
「惚れ直しただろう?」

褒められて調子に乗ったカラ松は前髪を流しつつそう口にする。何だかんだで#name#が気になる他の兄弟達はずっと聞き耳を立てていたのだが、十四松を除く全員が「ねーよ」と思っていた。エスパーにゃんこがいたらとんでもない事になっていただろう。――さて、未だ答えを返していない#name#はというと、一瞬きょとんとした後、はにかむ。正に花も恥らう乙女の微笑みだ。

「うん、惚れ直した」

臆面もなく言ってのけた#name#に問いを投げかけたカラ松ですら「えっ」と素で驚く。他の兄弟はその比でなく「えええええ!!?」と間延びした悲鳴を上げた。前述の通り、各々が好きな事をやっていたが、今となっては腕を並べる2人に視線を集めている。カラ松は一瞬で頬を赤く染めると「えっと・・・き、恐縮です・・・」などとぼそぼそ呟き顔を伏せる。自分から話を振った割にこのザマである。
悲鳴を上げて固まったままの5人は、しばらくして復活し#name#に質問攻めする事だろう。それよりも先に、#name#は捲った袖をそのままに、カラ松の腕へと絡めるのだった。

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