カラ松はお手伝いがしたい


「#name#の手を煩わせる試練を払いに来たぞ・・・」
「うーん、今は大丈夫」
「・・・そうか」

私が台所に立っていると決まってカラ松がやってきて、手伝う事はないかと言い回しはたくさんあれど必ず聞いてくる。今日のメニューを聞く頻度より格段に多い。だって必ず聞いてくるんだもん。1人でするより楽しいしすごく助かる。でも今は本当にやる事がない。納得したような返事をされたけど、表情は全然納得していないやつだった。角度の鋭い眉をぐっと寄せてしょんぼりしている。いつもはかっこつけのクセに、こういう時にしゅんとするのはギャップ萌えでも狙ってるのかな。トド松ならまだしもカラ松にそんな器用な真似はできないはずだ。演技は上手いのに計算ずくで自分の好感度を上げられないカラ松は不器用カワイイ。それなのにまんまと萌えてる私って、一体。

それにしてもだ。なにか手伝ってもらう事はないのかと台所をグルリと見渡したけど、本当になにもない。ご飯は炊けるのを待っている状態だし、魚も焼けるのを待っている。煮物だってぐつぐつと煮えてる最中だ。カラ松はリビングに戻らないで私のエプロンのヒモをいじってる。なんたるいじらしさ。お手伝いの権化って呼ばれるほどのお手伝いを今すぐにでもカラ松に任命したい。まるで私がカラ松の事になるととんでもなく頭が弱くなると思われそうだけど実際にそうだ。だって前に「なんでお手伝いしてくれるの?」って聞いてみたら「#name#と一緒にいたいのと、少しでも役に立ちたいからだな」って即答したんだもの。頭も弱くならざるを得ない。弱体化の一途を辿る脳みそを絞っていると名案が思いついた。

「そうだ!カラ松、大根おろしてくれる?」
「!」
「魚の付け合わせが欲しかったの!」
「ああ、任せてくれ!」

大根をおろすのはなんだかんだで力がいるし、自分でやるのは少し面倒だ。でもカラ松がするとなると話は別。どうしたらそんなに早くできるの?ってくらい素早く大根がおろされていく。さすが力持ち。それに、真剣にお手伝いをしてくれるカラ松を見ているとやっぱりまんまと萌えてしまう。私って単純なのかな。カラ松が可愛かったりかっこよかったりするのも理由の1つだろうな。ほら、かつらむきをしようとしてできなくて、結局皮むきを手に取る姿だっていちいちきゅんときちゃう。

「手までおろさないようにね」
「#name#が見ているんだ。そんなかっこ悪い真似はしないさ」

ああん、もう!

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