【 専門学校二年生 夏 】

 ゲーム配信を始めて、研磨はますます忙しくなった。深夜に目が覚めてこっそり部屋を覗くと、わたしにはよくわからない折れ線グラフや数字とにらめっこしていることもあり、声をかけるのも憚られる。

 製菓衛生師の国家試験に合格した日、研磨がお祝いに業務用オーブン備え付けの部屋でも借りようかと言い出したのでびっくりしてしまう。恐縮して断ったけど、研磨はいったいどれだけ稼いでいるのだろうと不躾ながらも想像して、気が遠くなりそうだった。

 インターンシップで、横暴なオーナーパティシエにこっぴどくしごかれて泣きながら帰った日。
 そういう日はすぐにシャワーを浴びて、研磨と顔を合わせないように布団にもぐった。

 最近、専門学校で、わたしが嘘をついているという噂が流れている。同棲している彼氏の写真を一度も見せないので不審がられているらしい。
 研磨はすでに顔出ししているので、軽率に見せなくてよかったと心から思った。


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