【 高校一年生 冬 】

 モンスターとか気持ち悪い。と一蹴していたわたしは今、PSPで一狩りしている。
 つまり、まるで風見鶏のように、わたしはすっかりモンハンに夢中になっていた。
 きっかけはやはり兄で、でも、とにかく負けず嫌いのわたしはまんまとドツボにはまり、借りるだけでは飽き足らず、少ないバイト代とお小遣いでゲーム機本体とソフトを買った。
 基本はソロで、時間が合えば兄とマルチプレイ。でも、世界はもっと広いのだということを知ってしまった。

「お兄ちゃん、通信のやり方教えて!」

 兄に設定してもらった、顔も知らない誰かと一緒にゲームをやる楽しさ、手軽さ。助け合ったり役割分担したり、ゲームに深みが生まれてますます熱中した。
 なかにはプロハン≠ニ呼ばれる熟練のプレイヤーがいて、出逢えたときは興奮して手が震えた。
 だからKODZUKEN≠ニいう名前を二度目に見たとき、あっと思った。
 ──大剣使いのプロハンだ……!
 わたしが苦戦していたクエストに彗星の如く現れ、完璧な立ち回りで颯爽とモンスターを討伐し、お礼を言う間もなく風のように去っていった幻のハンター。
 まさかの巡りあわせにわたしは再び興奮した。でも、今日のKODZUKENは大剣じゃなくて狩猟笛だ。いったいどういう風の吹き回しだろう? ──といぶかっていると、なんと今回は完全なサポート役に徹していた。
 対象モンスターの特徴はもちろん、仲間の武器種や立ち回りを正確に把握してバフをかけ、虎視眈々と控えておきながら隙があれば頭部を殴って気絶スタンをとり、そつなく貢献する──。
 味方の長所や弱点までをも巧みに操るような戦術はどこまでも冷静で、悠々と狩りを楽しむ華麗な姿にわたしは脱帽した。
 思い立ってチャットを立ち上げ、兄の部屋でキーボードを叩く。

CAKEGURUGURU:[ありがとうございました]

 ──送信。
 どきどきしながら画面を見つめていると、

KODZUKEN:[b]

 簡潔なメッセージ。うれしかった。
 でも、もう二度と巡り逢えないかもしれないな──と名残惜しい気持ちで解散すると、報酬目当てか気まぐれか、彼は再び同じクエストに参加してくれた。
 武器はライトボウガン。たぶん全武器種扱えるなこの人。わたしはすっかりファンになった。


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