【 高校二年生 秋 】
初めて孤爪くんの家に遊びに行った。バイト先の焼き菓子を手土産に持って行ったら、孤爪くんのパパとママはすごく喜んでくれた。
リビングでぶっきらぼうな態度をとっていた孤爪くんは、自分の部屋に入るとホッとして相好を崩した。いかにも思春期らしくてちょっと笑ってしまう。
二人でゲームをしていたら、「ちょっとちょっと聞いてないよ〜」とニヤニヤした男の人がやってきた。とても背が高くて怖気付いていると、幼馴染だと紹介された。黒尾先輩というらしい。彼は孤爪くんのことを「研磨」と呼ぶ。ちょっと羨ましかった。
黒尾先輩が手土産の焼き菓子を食べて、「うまっ」と言う。「うん」と頷いた孤爪くんの顔がほころぶ。
わたしも作れるようになったらいいなぁとぼんやり思った。
十月、孤爪くんは誕生日を迎えた。
アップルパイが好きだという彼のためにこっそり練習してみたけど、全然上手に作れなかったので諦めた。
代わりにモンハングッズの筆箱とボールペンをあげた。「さすがにキツイ」「目立ちすぎる」と言って教室では使ってくれなかった。でも、ウケたみたいだからよかった。
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