とあるECの嘲笑
「一回作ってみたかったんだよね、死体の山」
異様なまでの静けさの中で、少年の声だけが無邪気に空気を震わせる。楽しそうな色すら滲ませて吐き出されるその言葉は、未だあどけない幼さを残す顔には到底似つかわしくない、物騒なものだった。
「でも、思ったより小さいよねぇ? あんなに殺したのに」
そう思わない? と首を傾げて、足元にうずくまった兵士に言葉を投げ掛ける。半身はひしゃげ、呼吸すら儘ならないのだろう。大きく肩を上下させる度に、喉から空気の抜ける音が響く。
兵士は血の気の引いた顔で、かろうじて少年を見上げた。
「まぁ、人体は7割が水分だっていうし……こんなもんかなー」
自分から問いかけておきながら、みじろぐ兵士に興味を示すことなく、赤黒い液体を吸い込んだ地面を、少年はつまらなさそうに爪先で叩いた。
ぐずり、とぬかるんだ音を立てて、少年の靴が土に沈む。
何故、と掠れた声で兵士が問う。
静かすぎる空気の中に、ぽつりと響いた音に反応して、少年は初めて兵士へと視線を移した。
「何故って……なぜ? 『反政府勢力を殲滅出来れば、どんな方法を使っても構わない』って言ったのは、貴方たちの上の人だよ?」
問いかけの意味を正確に掴みながら、返す少年の言葉は不思議そうだ。
上手く回らない舌を必死で動かして、兵士は続ける。《味方に害を与えずに》という補足が付いていたはずだ、と。
「味方、ね」
兵士の言葉に、少年は一瞬で表情を失くす。無表情に相手を一瞥した顔の、口端だけが不自然につり上がった。その瞳は、酷く冷たい。
「ばっかみた〜い。ボクが、貴方たちを『味方』として見ていると思うの?」
おめでたい思考回路だね、と。
蔑むような言葉が、兵士に届いた最期の音だった。
fin.
2011/09/17:公開
2019/06/16:加筆・修正
