銃弾とチョコレート
「アルバートくん」
聞き間違えようのない真っ直ぐな声に名前を呼ばれて、アルバートは立ち止まる。
振り向けば、間髪入れずに飛んできたのは二つの箱。くくられているわけでもないのに、綺麗にまとまって手の中に収まったそれらに、視線を落として首を捻った。
片方は有名なブランドチョコレートの小箱。そして、もう片方は。
「……銃弾?」
アルバートがいつも使っているものと同じ実弾だった。
今日が感謝祭であることを考えれば、チョコレートは純粋に喜ばしい贈り物である。だが、流石に銃弾の意味は図りかねた。
箱の送り主──コーディリアに視線を移せば、いつも通りに微笑まれる。恐らく、こちらの困惑は微塵も伝わっていない。
「あげるわ」
「それは……ありがとう、コーディリア」
コーディリアの簡潔な言葉に、アルバートは疑問を残したまま謝礼の言葉を口にした。
しかし、続けられた彼女の言葉に合点がいく。
「お返しは、実弾でいいわよ?」
楽しそうに首を傾げてみせたコーディリア。
それはつまり、この銃弾で訓練の相手をしろ──と。そういうことだろう。
彼女らしい要求に、アルバートは思わず苦笑を漏らした。
「……考えておくよ」
躊躇いから、一瞬だけ間をあけて返した言葉は無意味に等しい。
期待してるわ、といたずらっぽく微笑まれてしまえば、一ヶ月後の自分の行動は決まったも同然なのだから。
fin.
2012/08/09:公開
2019/01/14:修正
thanks!!
⇒アルバート(翡奈月あみ さま)
