神の涙で満ちた箱庭



造花の庭園


「空、青いね」

「そうですね」

 唐突に呟かれたその言葉に、空を仰いで頷くミュリエル。2〜3人分の距離を空けて、同じように校舎の壁に背を預けているのは、同学年のウルフ。
 学年が一緒というだけで、クラスも違い、仲が良いわけでもない二人。話したことも数える程度しかなく、今この時間に一緒にいることはただの成り行きであり、偶然であり、明確な意味は持たなかった。

「雲……見えませんね」

「快晴だよね」

 特に中身のある会話をすることもなく、他愛のない言葉だけが交わされる。
 綺麗だね、という呟きと共に向けられたウルフの瞳。海より青く、空より澄んだその色は、光を反射して宝石のように輝いて見えた。それは純粋に、綺麗と形容するのが相応しい。
 しかし、敢えて口には出さずに、ただ頷いた。

 お互いに踏み込まず、踏み込まれず。
 手を伸ばしても届かない、近すぎることのない距離感で、特に意味のない上辺だけの会話をする。
 そんな現状はぬるま湯に浸かるような感覚で。

「……明日も空が、青いといいです」

「……そうだね」

 少し、安心したりした。





fin.
2012/11/20
2021/05/29

thanks!!


⇒ウルフ(翡奈月あみ さま)

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