暗雲のその先に
晴れた空の下、踏み出した足元に、ぽつりと小さな染みができる。あっという間に地面を覆っていく水滴に、テンは思わず嘆息した。
雨が降っている時間に《跳んだ》のだろう。青かった空は一瞬にして黒い雲に覆われ、見る陰もなくなってしまった。
「……参ったなー」
傘を出す間もなく、肩を濡らしていく雨粒を避けることは早々に諦めて、足早に行き交う人々を横目にゆっくりと歩き続ける。水を吸って重くなっていく上着に体温を奪われるのがわかって、肩をすくませた。
「風邪引くかなぁ……ねぇ、オーロラ?」
静かに話しかければ、同意するように耳元で鳴くリス。その小さな身体が雨に打たれないように、帽子をずらして被せてやる。
見上げれば、暗雲。
光を遮る厚い雲は、当分は晴れないような気がした。
fin.
2012/07/22 公開
2018/10/19 修正
